| 携帯サイト  | 感想  | レビュー  | 縦書きで読む [PDF/明朝]版 / [PDF/ゴシック]版 | 全話表示 | 挿絵表示しない | 誤字脱字報告する | 誤字脱字報告一覧 | 

ハイスクールD×D イッセーと小猫のグルメサバイバル

しおりを利用するにはログインしてください。会員登録がまだの場合はこちらから。 ページ下へ移動
 

第47話 GODの行方、オカルト研究部鍛えてもらいます!

side:小猫


「さあ遠慮しないでドンドン食べてくれ!」
「うわぁ、凄いご馳走です……!」


 こんにちは、小猫です。
 今私達はIGO会長である一龍さんと食事を楽しんでいます。新鮮な海の幸をたっぷりと使った料理はとっても美味しくて思わず顔が綻んじゃいます。


「親父、随分と豪勢なもんを用意したんだな」
「そりゃお前のお友達が来ると聞いていたからな。奮発しといたぞ」
「初めて友達を連れてきた小学生の母親かよ……」


 この料理は私達の為に用意してくれたのでしょうか?とっても嬉しいです。


「まあ積もる話もあるじゃろうが、まずは食事といこうじゃないか。イッセーの友人達よ、思う存分食べてくれ」
「ありがとうございます、一龍さん」
「まあ確かに折角の料理が冷めたら台無しだもんな。まずは親父の用意してくれた料理を堪能しようぜ。じゃあいつものやるぞ」
「はい、お願いしますね先輩」
「おう。それじゃこの世の全ての食材に感謝を込めて、頂きます!」
『頂きます!』

 
 部長が一龍さんにお礼を言って先輩が合掌をしました。
 さて、まずは何から食べましょうか?あっ、あのパスタは美味しそうですね。まずはあれから頂きましょう。


「イッセー先輩、そのパスタを取ってもらえますか?」
「ああ、いいぜ」


 イッセー先輩にパスタを取ってもらい、私はさっそくパスタを口の中に含みました。


「んっ……かかっているソースは蟹を使っていますね。濃厚でクリーミーな感じが最高です」
「ふふ、美味いじゃろう?そいつは『ルビークラブ』の身を全部使い、更にクリームのミルクは『ヘブン牛』から取れた牛乳を使っておる」
「どっちも最高級品の代物じゃねえか、気合入れ過ぎだろう」
「言ったじゃろう、奮発したってのう」


 私達の為に高級品を用意してくださったなんて、とても嬉しく思います。他の皆さんも普段は食べられない超高級食材に舌鼓をうっています。


「しかしイッセーよ、お前も最近は中々の活躍ぶりを見せているようじゃな」
「まあな、親父に比べればまだまだだけど……」
「捕獲したのは『虹の実』に『フグ豚』、『不思議の肉』に『G1コーン』じゃったか?多くの食材を捕獲したものじゃな」
「いや虹の実以外全部違うんだけど!?」
「お前の活躍を聞くとワシは嬉しくてな、酒もカパカパ進むんじゃ……ぶゃ――――!?この酒つよっ!?」
「酒弱いじゃねえか!!」


 イッセー先輩がお土産に持ってきた虹の実のワインを飲んだ一龍さんが、ワインを勢いよく吐いてしまいました。大丈夫でしょうか……?


「ところで、そこの白髪のお嬢さん。もしかすると君が塔城小猫ちゃんじゃないか?」
「はい、私が塔城小猫ですが……名前を知ってくださっていたんですか?」
「うむ、イッセーから話を聞いとるよ。心から大切だと思える女性が出来た、今度紹介したいとな」
「お、親父!」


 一龍さんの言葉にイッセー先輩が慌てた様子で立ち上がりました。でも私は一龍さんが言った心から大切に想える女性が出来たという言葉に注目していました。
 そんな風に想っていてくださったんですね……嬉しいです♡


「なんじゃ、何を慌てとるんじゃ」
「いや何サラッと恥ずかしいセリフを皆に暴露しているんだよ!」
「自分で言った事じゃないか、恥ずかしがる必要があるか?」
「小猫ちゃんに聞かれたのが恥ずかしいんだよ!」


 いつもは余裕を崩さずに私達を導いてくれているイッセー先輩が、今は年相応の子供のように感情を露わにして一龍さんに食って掛かっています。
 身長や雰囲気で凄い年上に見えてしまいますが、よく考えれば私と先輩は年が一つしか離れていませんでした。きっとあれがイッセー先輩の素の状態なんでしょうね。


「あんなイッセー君は初めて見ますね」
「ふふっ、イッセーもやっぱり育ての親の前では子供らしくなるのね」


 普段はあまり見ることの無いイッセー先輩の姿に、祐斗先輩と部長がほっこりとした笑みを浮かべています。


「そういえば他にも嫁さん候補がいるんじゃったな。確か朱乃という子とアーシアという子じゃったか?その二人はどの子じゃ?」
「イッセー君のお父様、初めまして。わたくしがイッセー君の恋人の一人、姫島朱乃ですわ」
「ア、アーシア・アルジェントです!宜しくお願い致します!」
「おお、なんとまあ凄い別嬪さん達じゃのう!」


 一龍さんに名前を呼ばれた朱乃先輩とアーシアさんが、ここぞと言わんばかりにアピールをしてきました。


「こんな別嬪さん達を捕まえるとはイッセーもやるもんじゃのう。これでワシも孫の顔を期待することが出来そうじゃ」
「気が早いんだよ、今俺達は学生だぞ?そういう期待はまずココ兄達にしろよ」
「お前、あいつらが結婚する気があると思うのか?ココは事情もあって仕方ないが、サニーとゼブラが結婚するイメージがあるか?」
「……無いな」


 そ、それは流石に失礼じゃないんですかね?
 ゼブラという方はまだ知らないですがイッセー先輩の様子からするとサニーさんにも負けないくらいインパクトの強い方なのかもしれません。


「ちょっ、ちょっと待った―――――!!」
「ぶふっ!?」


 そこにイリナさんが立ち上がって待ったをかけました。
 隣で料理を幸せそうに食べていたゼノヴィアさんは、驚いて食べ物を喉に詰めてしまったようです。祐斗先輩が慌てて水を渡していました。


「イッセー君!私もイッセー君の恋人だよね!?どうして私の紹介はしていないの!!」
「いや、最近再会したばかりだから言う暇がなかったんだって……イリナを忘れていたわけじゃない、本当だ!」
「本当?じゃあ私はイッセー君に必要とされているの?」
「当たり前だ、イリナは俺にとって大切な存在さ」
「イッセー君……」


 むむっ、いい雰囲気ですね……でも流石に空気は読みますよ。でも次からはそうはいかないですけどね。


「なんじゃ、もうまた別の女性を引っかけておったのか。こりゃ本当に直に孫の顔を見られそうじゃな」
「あはは、今度会う時はもっと増えているかもしれませんね……」


 驚く一龍さんと祐斗先輩がそんな会話をしていました。


 それからは昔のイッセー先輩の事や美食屋としての活動などを一龍さんと話していましたが、一龍さんはイッセー先輩の学園生活が気になるようで私達に先輩の普段の様子を聞いてきました。


「皆さん、イッセーの奴はちゃんと勉強を受けておるか?誰かに迷惑をかけたりしておらんかのう?」
「止めろって!恥ずかしいじゃないか!学園生活の事はちゃんと話しているだろう!」
「お前は黙っとれィ!こういう事は他人から聞くのが一番なんじゃ!」


 一龍さんは話を止めようとするイッセー先輩を、簡単に抑え込んでしまいました。先輩は私達に話さないでくれ……と訴えるような視線を向けてきました。
 でも先輩、ごめんなさい。先輩の義父さんである一龍さんの質問ですから答えないわけにはいかないですよね。


「そうですね、イッセーは良い意味でも悪い意味でも有名ですよ」
「1年の時は授業中に食事を取り出したこともあったね」
「後、暴走族を1人で壊滅させたというもの有名ですわね」
「ほうほう、そんな事があったのか。ワシはそんな事は聞いておらんがどういう事なんじゃ、イッセー?」
「す、すみません……」


 部長、祐斗先輩、朱乃先輩の話でイッセー先輩の悪い所を知った一龍さんはジト目で先輩を見つめ、先輩は罰が悪そうな表情で顔を下に向けていました。


「ふふっ、でもイッセーはとても友達想いの男の子ですよ。私達も凄くお世話になりました。私は自分の家の事情を解決する為に何の見返りもなく協力してくれた事に心から感謝しています」
「はい。僕も彼には返しきれないほどの恩を貰いました。弱い僕すら受け入れてくれて手を差し伸べてくれた……そんな彼と出会えたのは本当に奇跡だと思っています」
「わたくしも過去を受け入れる勇気をもらいましたわ。イッセー君がいなければ今も自分に言い訳をして過去と向き合おうとはしなかったはずです」


 部長、祐斗先輩、朱乃先輩は自分達が思うイッセー先輩への感謝の思いを一龍さんに話しました。


「私なんて行く当てもなかったのに引き取ってもらって学校にまで通わせてもらいました。イッセーさんは私にとって主に匹敵するくらいの恩人です。だ、だからできれば一生をかけてご恩を返していけたらいいなと思っています……」
「私は今のイッセー君を知らないけど、昔と変わらない優しいイッセー君だって事は知っています!」
「私は皆程彼の事を知っている訳ではない。でも信頼に値する男だとは思っている」
「師匠は私にとって最高の師匠です!ねっ、テリー」
「アォン!」


 アーシアさん、イリナさん、ゼノヴィアさん、ルフェイさん、テリーが同じように先輩に際する気持ちを答えていました。


「私も皆と同じ気持ちです。イッセー先輩は私達にとって掛け替えのない大切な存在なんです。だから私達はずっと一龍さんにお礼が言いたかったんです」
「ワシに礼じゃと?」
「はい。一龍さんがイッセー先輩を助けてくださったから私達はイッセー先輩と出会う事が出来ました。だからありがとうございます」
『ありがとうございます』


 私達は一斉に一龍さんに向けて頭を下げ、感謝の気持ちを伝えました。


「皆……」
「イッセー、お前は素晴らしい友人達を見つけることが出来たようじゃな。それは人生において最も手に入れにくく最も大切な宝となるじゃろう、大事にするんじゃぞ」
「……応っ!」


 イッセー先輩は目に涙を浮かべて泣いてしまいました。一龍さんはそんな先輩の背中に手を優しく置いてニカッと笑い、先輩も同じようにニカッと笑っていました。
 それを見た私達もニカッと笑みを浮かべました。




――――――――――

――――――

―――



 楽しい食事会も終わり、私達は一龍さんに私達の世界で起きた事を話しました。


「なるほど、遂に向こうの世界でグルメ細胞を手にしてしまった者が現れたか……」
「親父、済まない。こうなることは予想していたっていうのに……」
「起こってしまった事は仕方あるまい、今はそのコカビエルという奴らにグルメ細胞を渡した人物についてじゃ」


 コカビエルにグルメ細胞を渡した人物ですか。そいつは一体何者なのでしょうか?


「奴がグルメ界にいるのかあっちの世界にいるのかそれすらもわからない状況だ。完全にこっちが出遅れている」
「ふ~む、こうなったらIGOの人員を何人か向こうの世界に送り調査させたほうがいいのかもしれんのう」
「えっ?それは無理だろう?シュウとマイは俺たち以外の人間が触れたら死んでしまうんだぞ」


 異次元七色チョウのシュウとマイはイッセー先輩やオカルト研究部、最近ではイリナさんやゼノヴィアさんが触れても大丈夫ですがそれ以外の人間に触られると死んでしまう習性を持っています。
 どうして私達は大丈夫なのでしょうか?


「安心せい、もう少しでシュウ達を入れているケースのパワーアップ版が完成する。それがうまくいけばシュウ達に触れなくても2つの世界を行き来することが可能になるわい」
「そうだったのか?それなら早く教えてくれよ」


 シュウとマイに触れなくても異世界を行き来できるようになれば、確かに誰でも移動できるようになる……う~ん、確かにイッセー先輩側の味方を連れてこれるのはいいかもしれませんが、他の第三者に利用されたりしないのでしょうか?


「でもそれだと他の奴にも使われてしまうリスクもあるんじゃないか?」
「無論対策は考えてある、決まったグルメIDのデータを入力されてある特別なカードがなけれが使用できんようにしてある。他にも幾つかのの対策は用意してある。さすがはブルマってところかのう」
「ああ、あの人が作ったのなら安心だな」


 ブルマ?そういえば球技大会の前ですが私たちのグルメIDを作るために、IGOの研究施設でブルマという人を紹介してもらいましたね。


「しかしそれだけでは人手が足りんじゃろう。最悪は向こうにも協力者を作る必要がある」
「……それは」
「お前の言いたいことは分かる。じゃがな、もうこれはこちら側だけの問題ではない。下手をすれば向こうの世界が滅茶苦茶になってしまう恐れもある」
「……」


 確かにコカビエルみたいにグルメ細胞がバラまかれていたら、とんでもない事になってしまいますね。
 それにこっちよりも小さいとはいえ地球全てを監視するなど不可能です。できれば協力してくれる人物が欲しいのは分かります。


「お前から見て3大勢力のトップはどう思った?」
「……まだ少しのコンタクトしかしていないからよく分からないな。リアスさんの兄は油断ならない感じだしイリナとゼノヴィアの前で済まんがミカエルって人も信用はできない。アーシアと祐斗の事があるからな。まあアザゼルって人も怪しいっちゃ怪しいがあの中ではまだ信用できるほうかもしれない」
「なぜそう思った?」
「まあ……美食屋としての感かな?」
「なるほど、お前の感は当たるからな。まあそれ以外にも神話勢力とか別の組織もあるようじゃし見極めていくとするしかないようじゃのう」


 なんだか大変な話になってきましたね。それだけグルメ細胞というものが驚異の可能性を秘めているということですか……


「しかしコカビエルにグルメ細胞を渡した奴は何者なんだろうな。俺は美食會が絡んでいるんじゃないかと思うんだが、親父はどう思う?」
「美食會か、確かに奴らも怪しいが正直この件に関しては関係ないと思うぞ」
「どうしてそう言えるんだ?」
「あ奴は向こうの世界など興味ないじゃろう。何せ奴の狙いは美味い食材、そして最終的にGODを手に入れることじゃ」
「なんでそんなに詳しいんだ?」
「ワシと美食會のボスは古い知り合いだからな」
「ボ、ボスと知り合いだって!?」


 ま、まさか美食會のボスと一龍さんが知り合いだったなんて思いませんでした。イッセー先輩もどうやら知らなかったようですね。


「ワシと美食會のボス、そしてノッキングマスター次郎はかつてアカシア……いや先生より食のいろはを授かった直弟子なのじゃ」
「ア、アカシアの弟子!?親父が!?」
「しかも次郎さんも……?」


 イッセー先輩と祐斗先輩が驚きの表情を浮かべています。以前私達を助けてくれたあの次郎さんも美食神アカシアの弟子だとは……


「ちょっと待て!アカシアは100年以上も昔の人物だぞ?だったら親父は少なくとも100年以上は生きているって事か!?」
「そういう事じゃ。グルメ細胞と深く適合できた者はワシらのように長寿になることもある。イッセーも相当強いグルメ細胞を持っておるからワシらより長生きするかもな」
「知らなかった……」


 じゃあ先輩も一龍さんのように長生きできるのでしょうか?私は転生悪魔なので寿命の短い人間であるイッセー先輩やアーシアさんとは近い将来別れる時が必ず来ます。
 だからどうにかしたいとは思っていましたがこれは良い事を聞けたかもしれません。


(それでも数百年くらい……やっぱり先輩やアーシアさんとはずっと一緒にいたいです……)


 私の我儘なのですが二人と直にお別れしちゃうなんて嫌です。でもイッセー先輩は悪魔にならないでしょうし何とか人間のまま悪魔位に寿命を延ばす方法はないでしょうか?
 イリナさんも人間ですから話をすれば乗ってくれるかもしれません。


(まあ今はそんな事を考えている場合じゃないですよね……)


 いずれは向き合う問題でしょうが、今は一龍さんの話を聞く事にします。


「アカシア先生は世界中の食材を余すことなくワシらに受け渡してくれた。じゃが『GOD』を始めとした自らのフルコースをワシらにすら一切明かす事はなかった」
「美食神のフルコースだって……!?」
「想像もつきませんわね」


 神様と呼ばれた人のフルコース……全く想像ができません。


「先生は知っておったんじゃろうな。かつて戦争を止めたGODが新たな戦争を引き起こす原因になりかねんとな」
「戦争に……!?」
「うむ、GODは全ての人間を魅了する食材じゃ。今は味を知る者はいなくなったがその伝説は人々の記憶に残っておる。それが近い未来に現れるとしたら……」
「GODの奪い合いになる……という事ね」


 リアス部長の言葉に私達はGODの持つ危険性を初めて知ったような気がしました。
 戦争を止めてしまう位の美味……それがまた現れると知れば次はそれの奪い合いで戦争が始まるかも知れません。


「じゃあ親父は世界中の人々にGODを分け与えて争いの無い世界を作ろうとしていたんじゃなくて、逆にGODが争いの種にならないようにしようとしていたのか?」
「うむ、GODの危険性を知っているワシがそれを狙う者たちからGODを守る……それがアカシア先生の弟子たるワシの最後の使命じゃと思っておる」
「……じゃあGODを狙っている俺も親父の敵になるのか?」


 イッセー先輩は不安そうな表情で一龍さんにそう聞きました。それを見た私と祐斗先輩は「あっ……」という何かを察した表情を浮かべました。


〈前に私がイッセー先輩の家の浴室に隠れていた時に、先輩は祐斗先輩に一龍さんの夢について語っていましたね……)


 イッセー先輩は一龍さんに救われて強く慕っていると分かりました。なぜならその時の先輩の表情は年相応の子供みたいな純粋な笑みを浮かべていたからです。
 でもイッセー先輩がGODを手に入れようとすれば、一龍さんと敵対する可能性もあるってことですよね。それは不安にもなります。


「……イッセー、わしがIGOを作ったのはGODを守るのに都合が良かったというのは確かじゃ。じゃがワシが世界中の人々が平等に腹いっぱい食べさせてやれる世界を作りたいと思ったのも事実なんじゃ」
「親父……」
「ワシはかつての戦争をこの目で見た生き証人じゃ。あの戦争は凄まじいものでな、空腹に苦しみお互いを傷つけ合い食料を奪い合う……まさに地獄じゃった」


 確かかつての戦争は食料の奪い合いから始まったんですよね。
 私達は食べたいときに食べれて飢えに苦しむなんてことはありません。それがどれだけ幸せな事なのか改めて知りました。


「戦争が終わっても飢えが無くなることは無かった。アカシア先生とフローゼ様はそんな者達の為に食べ物を恵んでいた」
「フローゼ?初めて聞く名前の人だね?」
「フローゼ……『神の料理人』と呼ばれる程の料理人でアカシアとコンビを組んでいた女性だったな、親父はそんな伝説的な人とも知り合いだったのか」
「うむ、そうじゃ」


 祐斗先輩はフローゼという初めて聞く名前に首を傾げ、先輩はフローゼという方について説明してくれましたがその中にあったコンビという発言が私は気になりました。


「先輩、コンビというのは何なんですか?」
「コンビというのは美食屋と料理人とのタッグの事さ。優れた美食屋は優れた料理人とコンビを組んで旅をすることもあるんだ」
「じゃあ先輩にもコンビの方がいるんですか?」
「いや、俺にはコンビはいないよ」


 優れた料理人ですか……もし叶うなら私が先輩とコンビを組んでみたいです。なんて未熟者の私がそんなことを言うなんて烏滸がましいですよね。


「ワシはその二人を見て、いつか二人のように飢えに苦しむ人達を救ってやりたいと思いIGOを作ったのじゃ」
「そうだったのか……」
「イッセー、お前がワシを慕ってくれているのは嬉しいがいつまでもワシの影を追うな。GODはワシが何とかする、じゃからお前は学生生活を楽しんでくれ」
「親父……」


 イッセー先輩の肩にポンと手を置いた一龍さん、その表情は子を思う親の表情でした。


「……悪いが親父、それはできない」
「なんじゃと?」


 でもイッセー先輩が返した答えは拒否でした。


「親父、俺はあんたに憧れて美食屋になった。そして親父の力になりたくてGODを探していたのは事実だ、前までの俺だったらすんなりと受け入れていたと思う。でも今は違うんだ、俺はここにいる皆とGODを食べてみたいんだ」


 イッセー先輩は私たちを見ながらそう言ってくれました。


「GODの危険性は分かった。でもだからこそ俺は思うんだ。GODを世界中の皆と分け合えばみんなが幸せになって争いもなくなるんじゃないかって。俺は親父から分け合うという言葉の素晴らしさを教わった。だから今度は俺がその気持ちを誰かに教えてあげたい、だから美食屋になったんだって今ならハッキリ言えるよ」
「イッセー先輩……」


 先輩は一龍さんの目を見ながら真剣な表情でそう話しました。その顔が余りにも凛々しくて私やアーシアさん、朱乃さん、イリナさんはちょっと顔を赤くしちゃいました。


「……ふふ、ずっと子供じゃと思っておったがそれは勘違いじゃったようじゃのう」
「親父、じゃあ……」
「じゃが覚悟だけで乗り越えられるものじゃない、それがグルメ界という場所じゃ。もしお前が……いやお前達が本気でGODを追うと言うのならワシが試してやろう」


 一龍さんは立ち上がると静かに闘気を出しました。ですがその闘気を感じ取った私達は今まで感じたことのない恐怖を味わった気がしました。


「イッセー、久しぶりに遊んでやろう。ワシを殺す気でかかってこい」
「……っ上等だ!」


 こうしてイッセー先輩率いる美食連合軍とIGO会長の一龍さんとの戦いが始まろうとしました。ですが私たちは直ぐに思い知ることになります。
 

 本当の強者の強さを……



 
 

 
後書き
 小猫です。一龍さんと戦うことになるとは思いませんでした。でも格上の存在と戦えるなんて貴重な体験になりそうですね……なんて考えていた私がバカでした。
 私たちは知ることになります、この世界の5本の指に入る最強の一角の強さを……
 次回第48話『刮目しろ、最強の存在。美食連合軍VS一龍』でお会いしましょうね。
 無謀だとしても気持ちでは負けません……! 
ページ上へ戻る
ツイートする
 

感想を書く

この話の感想を書きましょう!




 
 
全て感想を見る:感想一覧