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夢幻水滸伝

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第八十四話 江戸城入りその七

「遠藤ってのとな」
「では遠藤殿を交え」
「そうしてですね」
「お話をされますか」
「そうするぜ」
 実際にという返事だった。
「飲みながらな」
「仲間に迎えられて」
「そうしてから」
「ああ、絶対にな」
 それこそともだ、幸田は供の達に笑って話した。
「仲間にしてな」
「そしてですか」
「この街で遊ばれる」
「そうされますか」
「そうするぜ、じゃあ行こうな」
 その長屋までとだ、こう言ってだった。
 幸田は供の者達を連れてその長屋まで向かった、遠藤がいる場所は長屋の片隅ごく普通の部屋であった。
 部屋の障子の前でいるかというとだ、すぐに返事がきた。
「何でしょうか」
「ああ、おいら幸田吉三郎ってんだ」
 明るい声でだ、幸田は障子の向こう側の部屋にいる者に答えた。
「兄弟で一番上だが字画がいいから三郎になったんだよ」
「幸田殿ですか」
「ああ、そうだよ」
 言った通りだとだ、幸田は障子の向こうの相手に笑って答えた。
「そしてあんたはな」
「お待ち下さい」
 慌てた声だった、そしてその声と共に。
 黒帯の空手着を着たリザードマンが出てきて幸田に言ってきた。
「まさか本当に」
「この前武蔵の主になったな」
「お話は聞いていましたが」
「ああ、それであんたとな」
「今からですね」
「話したいがいいかい?」
「それでは粗末な場所ですが」
 長屋の中だがとだ、遠藤は幸田に前置きして話した。
「宜しいでしょうか」
「いいさ、じゃあな」
「今からお話をですね」
「しような」
「では」
 遠藤は幸田の言葉に頷いた、彼はこの時気付いていなかったが驚いた時点で話はおおよそ決まっていた。それでだった。 
 幸田に自分の陣営に入る様に入れれると返答はすぐだった。
「わかりました、では」
「ああ、仲間になってくれるな」
「はい、まさか棟梁の方が自らここまで来られるとは」
「いや、それだけの相手だからな」
 遠藤がとだ、幸田は彼自身に話した。
「おいらも来たんだよ」
「三顧の礼ですか」
「実際に何度でも来るつもりだったぜ」
 遠藤が一旦誘いを断ってもだ、幸田は実際にそうするつもりだった。
「星の奴は一人でも多く欲しいしな」
「人材としてですか」
「仲間だよ、それでな」
「自分がですね」
「ああ、仲間としてな」
「自分を迎えてくれるのですね」
「そうさ、じゃああんたは基本戦とこの下総と上総の方を頼むぜ」
 この二国の統治を頼むというのだ。
「宜しくな」
「それでは」
「しかしあんた何で長屋暮らしだったんだ?」
 幸田は遠藤にその長屋の中で尋ねた。
「そもそも」
「はい、この前寝るとこの世界に来る様になりましたが」
 遠藤は幸田にすぐに答えて話した。
「ですがどうするかわからず」
「それでか」
「暫く考えていようと思い」
 それでというのだ。
「この柏の長屋に入って情勢を見ていました」
「そうだったんだな」
「それだけでした」
「わかったぜ、それで今からはだな」
「幸田さんに誘われたので」
 それだけにというのだ。 
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