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ソードアート・オンライン~遊戯黙示録~

作者:マローン
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FILE229 死のカーチェイス続行・・・終わらぬ死銃の脅威!

オズマが運転するS2000と死銃が乗るロボットホースによるデッドレース・・・!逃げ突けるオズマ一行と、後を追う死銃・・・・が、2シーターのS2000に無理矢理4人も乗っているが故にオズマ側は不利!確実に迫りくる死銃とロボットホースの脅威っ・・・!お互いの距離はついに100メートルを切っていた! by立木ナレ


スネーク「奴が持っているハンドガン、あれは五四式・黒星(ヘイシン)かっ!」

俺「あん、何だよそりゃ?」

H&K MG4での銃撃を続けつつ、スネークは右側のサイドミラーにも映っている死銃の黒い拳銃を見て、そう呟いていたが、俺はそれが何の銃なのか分からない。

スネーク「旧・ゾ連軍が1933年に正式採用したトカレフTT-33を中国軍がコピーした自動拳銃だ!――だが、あれは別に希少(レア)な銃でも何でもない・・・むしろ安価な値段で売られているような代物だが・・・」

スネークの言葉が終わる前に、かぁん!と高い衝撃音を引きながら、赤い弾道予測線の出現とほぼ同タイミングで銃弾が俺の後頭部の数センチ横を通過していた。
前方に転がっていた廃車に命中したのだから、俺達4人の中で今の弾丸をまともに食らった者はいないはずだったが――

シノン「嫌ああぁっ!!」

シノンが後ろでその辺にいる年頃の娘のような悲鳴を上げていた。直後に、二発目がS2000のバンパーに直撃したようで、その衝撃音が俺にも伝わってきた。

シノン「やだよ・・・助けて・・・助けてよ・・・・」

俺「助けてほしいのはこっちだってのっ・・・・!」

後ろで赤ん坊かお前は!と突っ込みたくなるように身体を縮ませて、弱々しい言葉ばかりを吐いているシノンに対して愚痴を零す俺だった。
そんなシノンに対してキリトは声を再びかける。

キリト「シノン・・・・、聞こえるか、シノン!シノン!!」

スネーク「本当に彼女はどうしてしまったと言うのだ・・・・?本当にあの孤高のスナイパーのシノンだと言うのか・・・・!?」

キリトがシノンの全身を叩き、シノンの悲鳴はようやく止まった。

キリト「シノン、このままだと追い付かれる。――君が奴を狙撃してくれ」

シノン「む・・・・無理だよ・・・・」

俺の後ろでキリトがシノンに狙撃を頼むが、シノンは相変わらず弱気で怯えたような声を上げるだけだった。
俺はその間にもその辺に転がっているタイヤや廃車を6速の状態にしたままで避け続けて走るが、やはり死銃のロボットホースがその度に距離を縮めてきやがる!

キリト「当らなくてもいい!牽制だけで良いんだ!」

シノン「・・・・・無理・・・・あいつ・・・・・あいつは・・・・・」

スネーク「それしかあるまい・・・俺のH&K MG4ではこのスピードで走りながらでは満足に当たらん!やはり狙撃用のライフルでなくてはっ・・・・!」

シノン「無理・・・・絶対に無理・・・・不可能よ・・・・」

無理、不可能。俺が光太郎に家から追い出されたあの日に、光太郎に対して俺自身が口にした言い訳の言葉だが、傍から聞いてみると・・・・軽くイラっとくる言葉だな。まあ、俺の場合はいきなりあの家を出て学校に行けとか働けだとか・・・・無謀極まりない事を言ってくる光太郎の方にも落ち度はある・・・・様な気もしたが・・・・。

キリト「ならそのヘカートⅡを貸してくれ!俺がそれで撃つ!」

俺「どっちでも良いから撃ってくれ!これはもう・・・ドラテクだけで引き離せそうな状況じゃねぇぞ!」


キリトのその言葉は・・・シノンの中にわずかに残った何か・・・それはプライドか、その僅かな欠片か・・・・それを揺り動かす!

ヘカートは・・・・私の分身。私以外の・・・誰にも扱えない・・・・。途切れ途切れの思考が、同時に名が得る微弱電流の様にシノンの右手を動かし、ノロノロとした動きで肩から巨大なライフルを外し。身体を恐る恐る起こして、スコープを覗く! だが・・・・っ!by立木ナレ


シノン「・・・撃てない」

掠れた声で囁くだけだった。

シノン「撃てないの。指が動かない。私・・・・・もう、戦えない」

こりゃどうにもならねぇ。――いっその事、死銃に殺される前に俺がシノンをこの場で撃ち殺して戦線離脱させちまえば死銃に撃たれる事もねぇし、車から降ろして軽くできるし一石二鳥か・・・

キリト「いや、撃てる!!」

が、即座にキリトの強く厳しい声がシノンに浴びせられていた。

キリト「戦えない人間なんかいない!戦うか、戦わないか、その選択があるだけだ!」

俺「ホント、カッコ付けまくりやがって―――ゲームの中だけだけどな・・・・」

リアルじゃ荒事とは無縁でむしろひ弱そうにしか見えない・・・あ、いや。今はアバターの見た目が見た目だから猶の事華奢な外見になってしまっているにも関わらず、キリトの言葉はシノンに何かしらの切っ掛けを与えるんじゃないか。根拠は無いがそう思わずにはいらないように思えてならなくなる。

スネーク「キリト、何をしてる?」

それは、シノンの隣でシノンの身体を支えていたキリトが、シノンの背中に覆いかぶさって右手を伸ばし、ヘカートのグリップから剥がれる寸前だったシノンの右手を包み込んで強く握りしめる光景を見ての言葉だった。

キリト「俺も撃つ!だから、一度でいい、この指を動かしてくれ!」

スネーク「一丁の銃を二人で撃つと言うのか!?システム的に可能かどうか分からんぞ!」

キリト「システムがどうだろうと関係は無い!撃たなくちゃいけないんだ!」

スネークの懸念に対してキリトはハッキリと言い切っていた。

シノン「だ、だめ・・・・。こんなに揺れていたら、照準が・・・・」

キリト「揺れか・・・オズマ、どうにかしてくれ!」

激しく揺れるS2000の車体の上で照準を合わせられない様子のシノンの弱々しい呻きを聞いたキリトが、俺の耳元付近でそう叫んでいた。

この時速100キロを軽く超えるスピードでのカーチェイスで揺れを止めろってか!?難しい注文してくれやがるなまったく・・・!

俺「5秒待て。一時的に揺れが止まるからその時に撃て・・・!」

キリトは無言で首を縦に振る姿がサイドミラーに映っていた。そしてその時、大きな音とショックと共に、次いで揺れが止まる。

スネーク「ジャンプしたぞ!」

俺「丁度ジャンプ台になりそうなRX-7が路面に突っ伏してたんだよ!俺が出来る事はこれでやったぞキリト!」

キリト「ああ、後は俺達がやる!」

その声の直後、シノンのヘカートⅡは激しい轟音と、発射炎を吐き出していた。やはり不安定な態勢だったのか、射撃の反動をこらえきれずに、シノンは後方に弾かれたが、ナビシートのスネークと隣のキリトがしっかりと抑え込んでいた。

俺「下降するぞ!」

ジャンプの頂点を過ぎて、S2000はが下降し始めていた。サイドミラーに一瞬映った弾丸の行方は、ロボットホースと死銃のほんのわずかに捉えそこねて、逸れていった。

俺「外したのか・・・?」

スネーク「いや、待て・・・・あれは!?」

俺「さっき通り過ぎたトラックか?」


巨大な対物弾がアスファルトに虚しく穴をあける代わりに、路上に横転する大型トラックに直撃・・・!
GGOのフィールドに配置された人工オブジェクトの大半はプレイヤーが掩体として利用する為の物――しかし、MMORPGでありながらFPSの流れも汲んでいるゲームである為か、そこには落とし穴―――リスクが仕掛けられていた。
ドラム缶や大型機械類は、一定以上のダメージを受けると炎上、爆発する可能性があるだった。路上に放置され朽ちかけた廃車量もタンクにガソリンを残している場合があり、そこに銃弾が命中すると――

大炎上・・・・・っ!!それは、ブログやTwitterなど、ネット用語で使われる炎上ではなく、まさにそのままの意味・・・凄まじい勢いで火炎、爆炎が燃え盛る瞬間であった!

その真横を通過しようとしていた死銃がそれに気が付き、道路の反対側にロボットホースをジャンプささせようとしたのだが――それよりも一瞬・・・一瞬早く、巨大な火球が膨れ上がり、トラックと騎馬を眩いオレンジ色の光が包む! by立木ナレ


スネーク「やったか!?」

ジャンプを終えたS2000が着地して激しいバウンドと、凄まじい衝撃波がメインストリートを揺るがしたのはほぼ同時だった。

俺「どうだろうな、そもそも爆発そのものも俺にはよく見えなかったからな・・・・」

キリト「ああ、オズマがジャンプ台にしたスポーツカーにさえぎられてたから俺もそれはよく見えてなかった・・・けど、バラバラになったロボットホースの残骸が散らばるのは見えた―――確かに確認できた」

俺「ひとまず、これ以上執拗に追われる事は無くなったのは確かだがな・・・・」

だが、それで死銃を倒せたかどうかは疑わしい。ロボットホースを破壊したのなら時間稼ぎとしては充分だが、奴が生きているのならその脅威は再び何時牙を剥くか分かったもんじゃない。

俺はひとまずS2000のスピードを落として、落ち着いた運転で砂丘の間を走っていた。デカいサボテンが無数に通り過ぎていく中で俺は――

俺「次のサテライト・スキャンはもうすぐか?」

キリト「いや・・・まだ午後9時12分だから、後3分くらい先だな」

俺「マジかよ・・・」

俺のふとした疑問に対してキリトが左腕の時計を見て今の時間を答えると、俺は自分の時間間隔を疑わずにはいられなかった。

スネーク「モルターレとの戦いから10分程度しか経っていなかったのか・・・」

俺「一旦停めていいか?ここは見晴らしが良すぎて隠れようがねぇぞ」

キリト「ああ、全プレイヤーが初期配布された緊急キットがあったよな?今のうちに使っておこう。俺とシノンもそうだが、オズマもスネークもHPが減ってるだろ?」

スネーク「それはそうだが、あのアイテムはヒール速度がかなり遅い。安全に体勢を立て直そうとするのなら、ただ砂丘やサボテンの陰に隠れるだけでは不足だぞ」

そんな時、のろのろと指を少し離れた場所の岩山に向けて指したのはシノンだった。

シノン「・・・あそこ。多分、洞窟がある」

キリト「おっ、そうか。前にも言ってたな、砂漠エリアには衛星スキャンを避けられる洞窟があるって」

スネーク「うむ、死銃ならそれを見越して洞窟を狙う可能性も否定は出来んが――俺達の居場所が次のサテライト・スキャンで丸わかりになるよりはマシだろう。オズマ、岩山を目指してくれ」

俺「そんじゃ、もうしばらくお前らとご一緒って事か」

俺がキリトの方に視線を一瞥してそう言い放つと、完全な女顔のキリトは柔らかい微笑を浮かべて首を小さく縦に振っていた。
一瞬この男をだまくらかす顔をぶん殴りたくなったが、それは後に取っておくことにしてS2000を回転させると、道から外れて走らせ、数十秒で岩山に到着し、周囲を回ると、予定通り北側の側面に大きな口を見つけた。
俺は速度を落としてS2000ごとその中に入り込んだのだった。


オズマの驚異的ドライビングテク・・・・そしてトラウマと懸命に戦ったシノン・・・・シノンを鼓舞したキリト・・・・あらゆる力が組み合わさり、死銃の追跡をどうにか回避成功!――だが、その脅威から完全に開放されたわけではない!未だ終わらなぬ戦い・・・第三回BoB本戦ロイヤル・・・続行! by立木ナレ 
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