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夢幻水滸伝

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第八十四話 江戸城入りその二

「正直これからどうしようかって思っていたしな」
「そうか、しかしだ」
「おう、何でい」
「貴殿達が考えると共に私も考えているのだ」
 そうだとだ、日毬は予想外だと言う幸田に話した。
「その結果だ」
「ここに来てだな」
「話しているのだ」
「そうだよな、言われてみれば」
「そうだな、貴殿達が考えてだ」
「そっちもだよな」
「人にはそれぞれ思考と感情がある」
 その二つがというのだ。
「それは私もでだ」
「考えてか」
「そして感情もあるのだ、それでだ」
「ここに来ておいら達と話したんだな」
「そういうことだ、では今夜のうちにな」
「江戸城入りだな」
「そうしてもらう、すぐに来てくれ」
 日毬は幸田にあらためて頼んだ。
「いいか」
「いや、いきなり言われたからな」
 それでとだ、幸田は日毬に答えて話した。
「心の準備も引っ越しの用意もな」
「この屋敷にあるものは全て後で人をやって本丸に移すが」
「そうしてくれるか」
「うむ、だから着のみ着ままで来ても構わない」
「じゃあお布団もですか」
 麻友は日毬に寝る場所のことを尋ねた。
「ちゃんとお部屋があって」
「そうだ、そこに布団も用意させる」
「そうしてですね」
「今夜のうちに寝られるが」
「そうですか、本当に用意がいいですね」
「これ位は普通に出来る」
 日毬は麻友に即座に答えた。
「だから安心することだ」
「江戸城では」
「人が多いからな、二人共江戸に入ればな」
「家事とかはしなくていいみたいだな」
「そうだ、政に専念出来る」
「そのことはわかったぜ、じゃあな」
「それならだな」
「今から江戸城に入らせてもらうな」
「あたしも」
 麻友も続いてだ、こうしてだった。
 幸田と麻友は日毬に案内されて江戸城の秘密の出入り口、ある井戸に入りそこから井戸の桶をつないでいる縄と伝って中に入り井戸の底から横道に入ってだった。
 江戸城からも一見空井戸の場所から出た、幸田は麻友より先に井戸から出たところで日毬に対して言った。
「ここに来るのに使った井戸は本来あれだよな」
「本来は抜け道だ」
 日毬も幸田の方に顔を向けて答えた。
「いざという時のな」
「やっぱりそうだよな」
「我々の江戸城にこうしたものがあったかは知らないが」
 それでもというのだ。
「この江戸城にはあってだ」
「こうした時にも使えるんだな」
「そうだ、それでだが」
「ああ、こうして江戸城から江戸の街に行けるんだな」
「お忍びでな、そして戻ることも出来る」
 幸田に淡々とした調子で話した。
「今そうした様にな」
「便利な場所だな」
「私もそう思う、それではな」
「ああ、これから御殿に移ってだな」
「そこで休んでくれ」
「わかったぜ」
 幸田が笑顔で答えてだ、そしてだった。
 日毬は二人を目の前の御殿の中にも案内してだ、自身は密かに西の丸に移ってそこの屋敷で休むとした。
 幸田は麻友と共に御殿に入るとすぐに着替えた、着替えの着物も用意されていた。 
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