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ロックマンX~Vermilion Warrior~

作者:setuna
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第45話:Change

エックスはハイパーギガクラッシュの反動のダメージによって長期間のメンテナンスが必要になり、レプリロイドの病院とも言える施設に入院することなった。

「………おお、これが100年前に運用されていたメカニロイド・メットールか。今の時代に運用されているメットールと比べてこんな表情も浮かべるのか」

今では珍しい紙媒体の書物を読んでいたエックス。

入院期間中は退屈だろうと言うことでケインが気を利かせてこの書物を送ってくれたのだ。

これは…エックスが封印されていた研究所にあった物だと言う。

エックスの製造時期は今から100年前だが、当時のことは一切知らず、知っているのは親であるライト博士の顔と自分が寝かせられている研究室くらいである。

エックスは自分が生まれた時代のことを知らなさすぎたために、ケインに頼んで当時の書物を読み漁っていた。

量も量なために丁度いい暇潰しにも一役買っていた。

すると扉をノックする音が聞こえて振り向く。

「どうぞ」

「入るわよエックス」

入ってきたのはエイリアである。

今日はオフなのか、普段纏めている髪を下ろしていて、ハンターベースで会う彼女とは少し雰囲気が違うような感覚をエックスは覚えた。

「これ、お見舞いの品。後で飲んで」

エイリアが差し出してくれたのは今では手に入りにくいE缶である。

「これ…良いのかい?こんな希少な物を…」

「良いも何も…あなたはE缶1つだけじゃ足りないくらいの活躍はしてるわ。と言うより飲んでくれないと困るわ。Drに頼んでようやく入手したんだもの」

「あ、ありがとう…それじゃあ早速…」

E缶を開けて一口飲むと疲労が抜けてエネルギーが満ちていく感覚を覚える。

成る程、100年前のロボット達がこれによるエネルギー補充を好む理由が何となく理解出来る。

「それ、今では珍しい物ね?何なの?」

「ああ、これはケイン博士に頼んで送ってもらった100年前の資料とかだよ。ライト博士の研究所跡にあった物なんだ。」

「100年前の…それはとても貴重な資料ね…見せてもらってもいいかしら?」

「勿論、だけど他言無用だよ」

100年前の資料は今の科学者からすれば喉から手が出る程に欲しい代物だ。

自分にとってこれはライト博士が遺した物なので出来れば自分の手元に置いておきたい。

「分かってるわ……」

100年前の資料を読みながらエックスとエイリアは穏やかな時間を過ごしていく。

「そう言えばエックス、ゼロが第0特殊部隊の隊長に就任したようよ。」

「ゼロが第0特殊部隊の隊長に…確かにゼロなら実力的に申し分ないかもしれないな」

第0特殊部隊はヒャクレッガーのような隠密能力に長けたレプリロイドが所属する部隊である。

ゼロなら戦闘能力も申し分ないだろうし、必要な技術は短期間で扱えるようになるだろう。

「でもゼロが隠密かあ…少しアーマーの色がミスマッチかも」

「それ、私も思ったわ」

気配さえ消す技術があれば大した問題ではないのだが、紅いアーマーに金髪と言うゼロの容姿は少し隠密部隊にはミスマッチだと思ってしまう。

部屋にエックスとエイリアの笑い声が響き渡る。

「エックス、セカンドアーマーのレプリカが完成したから退院したら装着して欲しいの…これも必要にならなければ良いんだけどね…」

セカンドアーマーのレプリカとは言え、それが必要になるような事件など起きない方が良いと言うのはエックスとエイリアの共通する想いである。

しかし今回の戦いで劣化レプリカとは言え強化アーマーの有用性が分かったので用意しておくに越したことはない。

「…そうだね…」

「…あら?もうこんな時間だわ、それじゃあエックス。また来るから」

時間を見ると、自分はそろそろ戻らねばならない時間となっていたので空となったE缶をゴミ箱に捨てると部屋を後にしようとする。

「うん、エイリア、E缶ご馳走様。」

「どういたしまして…そうそう、エックス。あなたが退院したら近い内にDrが知り合いのDr.ドップラーのいるドッペルタウンに足を運ぶそうよ。エックスも連れていくそうだから覚えておいて」

「分かった、ありがとう」

エイリアが退室し、エックスは再び資料を読み始めると資料の1つから1枚の写真が落ちてそれを拾い上げるとエックスは思わず微笑んだ。

写真に写っているのはホログラムで出てくるものよりも若いライト博士と…エックスよりも前に製造された自分の兄弟達の姿であった。

こうして2回目のシグマとの戦いを乗り越え、ゼロが復活したことでハンターベースでも明確な変化が起きていく。

ゼロの帰還を喜ぶ同期の者、そして新たな隊長として彼に忍びとしての技術を教える者…そして……彼を憎悪する者も。 
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