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狡猾な魔王

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本編
  時は来たれり

 
前書き
それじゃ行きますかね。 

 
《オールマイト》と伝説のヴィラン《オール・フォー・ワン(AFO)》の決闘が行われてから早くも5年という歳月が流れていた。


「シュトラ、どうだい様子は?」

「オール・フォー・ワンか。今日も特に変わり無えよ。間に合う場所で起きたヴィラン犯罪に気づけば体一つで飛んでいく。あんだけ弱ってるっていうのに『平和の象徴』は他のヒーローに率先して動かなきゃならねぇのかよ? 俺だったら社会的な地位や名声を得られるとしても、あんな風になるのは御免だ」


オール・フォー・ワンが声を掛けたのはかつて異国の地で自分が救った男。

名を《シュトラ=アウギュステ》と言い、狙撃手のヴィランとして世界各地で知られる。

彼は今、いや、この何年間かはオールマイトのヒーロー事務所を見張っていた。

オール・フォー・ワンが瀕死の重傷を負わせたオールマイトの状態を知る為だ。

オール・フォー・ワンはこの5年間、全国に居る仲間や部下にオールマイトを観察させ、そのデータを逐一自分のところへと報告させていた。

その成果も有って判ったことが有る。


「腹に穴を開けられながらも(はらわた)を振り乱しながら逃げる僕を追ってきた頃の怖さはもう彼には無い。平和の象徴はもはや風前の灯火だ。これなら大丈夫かな? そろそろ事を起こす為の準備をしておこうか」

「ようやくか」

「シュトラ。悪いが【雄英高校】の入学試験前日まではオールマイトを見ていてくれ」

「了解。こっちは任せときな」


オール・フォー・ワンはその場をシュトラに任せると笑みを浮かべ去って行った。


◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆


《オールマイト》の衰えは彼自身が想像していたよりも遥かに早いものだった。

宿敵AFOとの決闘から僅か1年で全盛期の10分の1にまで力を落としたのだ。

呼吸器官が半壊した上に胃の全摘出まで行う大手術を受けた後も休まずヒーロー活動を続けていては無理が(たた)ってしまうのも仕方がない。

仮にAFOと戦った後で引退していたとしても後遺症によって苦しんでいただろう。

満身創痍のままで5年も日本ランキング1位のトップヒーローとして活躍した代償は大きい。

現在のオールマイトは個性の【ワン・フォー・オール(OFA)】を使っても全盛期の2%止まりであり、ヒーローとして許される1日の活動時間は3時間にまで減ってしまっている。

それ以外はヒーローとしての筋骨粒々な長身の[マッスルフォーム]とは打って変わった痩せっぽちの骸骨のような姿をした[トゥルーフォーム]で日々を過ごす。


「そろそろ後継者を探さねばならないな。やはり有力なのは【雄英高校】の生徒か。《根津(ねづ)》校長も声を掛けてくれたことだし教師の話を受けてみることにしようか」

(《オール・フォー・ワン》は先の事態を、今の状況を見越していたからこそ、敢えて決闘を放棄したのだろうな。私を殺す絶好の機会を捨ててまで。あの時に奴の挑発で頭に血が昇ってさえいなければこんな怪我はしなかったし逃がすことは無かったかもしれない)


もし次にオールマイトとAFOが会った時に死ぬとしたら間違いなくオールマイトの方だ。

AFOは5年前に受けたダメージがオールマイトと比べ物にならないほど小さく軽かった。


「責任を後に押し付ける形になったのは心苦しいが私にはもうAFOと戦う力が残っていない。出来るだけ見込みの有る人間を見付けワン・フォー・オールを託し継承させなければならないのだが、果たして私の考えているような後継者が都合良く見付かるかどうか……」
 
 

 
後書き
次は何時書けるかな。

原作だと1巻の少し前をイメージ。 
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