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レーヴァティン

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第九十三話 ローマからその三

「今はだ」
「麺を食ってだ」
「それから話そうな」
「しかもこの食堂のラーメンは美味い」
 英雄はこのことについても指摘した。
「餃子も炒飯もな」
「そうなんだよな、これが」
「この食堂の料理自体が美味い」
 中華系に限らずだ。
「それならだ」
「しっかりと食ってからな」
「話そう」
「じゃあな」
「今はラーメンだ」
「コシも風味もしっかりしてるしな」
 だから美味いとだ、久志はまた英雄に応えた。
「スープだっていい」
「薬味も効いている」
「昔ながらのラーメン屋さんの味になってるな」
「街にあるな」
「最近そうした味減ってるな」
 街にあった中華料理屋のラーメンの様な味がというのだ。
「どうもな」
「それな、美味いラーメン屋は増えてもな」
 それでもとだ、久志も英雄と同じ考えだった。
「どうもな」
「昔ながらのラーメン屋の味はな」
「減ったな」
「街の中華料理の味だが」
「何とか軒とかいう名前でな」
「うどんもそうだな」
「だよな、繁華街にあるみたいなな」
 人々が寝起きしている街ではない、街といっても様々だ。
「家の近所にあるな」
「そうしたものはない」
「だよな、本当にそんな味のラーメンが減ったな」
「残念だがな、しかしだ」
「この食堂はそんな味だな」
「餃子も炒飯もな」
「餃子なんてな」
 久志は今度はこちらの話をした。
「最近は蒸し餃子とか水餃子とか出てな」
「本場のな」
「ラーメン屋の餃子か」
「そこは違うな」
「元々あれだろ、水餃子とかが主流だろ」
「中国はな」
 その本場はとだ、英雄も答えた。
「北は餃子、南は蒸し餃子だ」
「そうなんだよな、けれどな」
「日本の昔ながらの中華料理店だとな」
「焼き餃子なんだよ」
 中国の東北部にあるそれだというのだ。
「それが独特の味でな」
「美味いがな」
「それがな」
 その餃子がというのだ。
「最近は変わってきたからな」
「やはり昔ながらの焼き餃子が減ってきている」
「そうなんだよな、これが」
「街にある様なな」
「そこも変わったな」
「そうだよな、ラーメンも餃子も」
「本格的になってきたというのか」
 ラーメンにしても餃子にしてもというのだ。
「それか繁華街の味になってきた」
「チェーン店もあるしな」
「何か決定的にだ」
「昔の味と変わってきたな」
「とにかく街の中華料理の味が減ってきた」
 ラーメン、そして餃子もというのだ。
「どうもな」
「それは事実だよな」
「しかしこの食堂は本当にな」
「昔の味でな」
「この味が食いたい時もある」
 街の中華料理屋、まさにこの味をだ。 
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