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【完結】猫娘と化した緑谷出久

作者:炎の剣製
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猫娘と回想、I・アイランド編
  NO.100 回想《5》 集まる者たち、その2

 
前書き
100話目の更新です。
一年内にここまで来れました。
これからも頑張ります。 

 





爆発音が聞こえた方へと出向いてきた出久達が見たものとは、そこはなにかしらのステージが催されており、そこに設置されている大型スクリーンには髪がギザギザで体が硬化している、まさしく雄英高校1-A在籍の切島鋭児郎の姿が映されていた。

「き、切島くん!?」
「デクちゃん、あの人も……?」

メリッサの質問に「はい、クラスメイトです」と出久は答えた。
それでメリッサは思う。
こうまでおんなじ学校、しかも同じクラスの人たちが集まるだなんてご都合主義と言うか、なにかしらの縁が働いているのだろうなと思うのであった。
MCの人が『タイムは33秒です!』と答えていた。
どうやらここの岩山の聳え立つステージは個性を使って仮想的である機械のロボットを倒していく、所謂雄英高校の入学テストのようなもので、名前はまんまの『ヴィラン・アタック』というらしい。

「切島くんはどうやってここに来たんだろう……?」
「誰かに着いてきたのかな?」

と、出久はお茶子と話しているとまさしくそれに該当しそうな人が次のチャレンジャーとして顔を出してきた。
その人は髪を爆発させたような感じの目つきが鋭い、そして出久の幼馴染である爆豪勝己の姿があった。

「か、かっちゃんもいるの!?」

出久が驚く中で、MCが『それではヴィラン・アタック!レディー……ゴー!!』と叫んだと同時に爆豪は両手から爆破による高速移動で次々とヴィランロボットを破壊していく。
その口から出てくる言葉は爆豪を知っているものならお馴染みのセリフで、

「死ねぇ!!」
「(死ね……?)」

そんな、いつも通りでもこんな場所ではいささか不謹慎ではないかと言う言葉を言い放っているもので思わず出久も困惑するだけであった。
そして叩き出したタイムは、

『す、すごいですよ! クリアタイム15秒です。これは現在トップのタイムです! これを越える挑戦者は果たして現れるのでしょうか!? さぁ、お次はどなたでしょうか!!』

と、MCは盛大に煽る発言をして周りの観客はさらにヒートアップしていく。
それで爆豪は「へっ!」としたり顔をしながらも「いるわけねぇ」と思っていたのだが、

「お? おい、爆豪。あれって緑谷達じゃねー?」
「あ゛!?」

切島の言葉で爆豪は指が示した方を見て、出久達の姿を確認するなり、

「(な、なんでデクがいやがる!? 俺は雄英体育祭で優勝したから招待されてここにいやがるってのに……)……なんでここにいるんだよ、デク!!」

と、さすが頭の回転が速い爆豪はそんな事を考えつつもすでに爆破で出久達のいる場所の手すりまで移動していた。

「あ、あはは……かっちゃんこそどうして?」

なんとかはぐらかそうとする出久。

「俺はなぁ、雄英体育祭で優勝したから招待されたってのに、なんで準優勝のてめぇがここにいるんだよ!」
「えっと、企業秘密でもいいかな……?」
「ふざけてんのか!?」
「やめたまえ爆豪くん! 緑谷くんが怯えているだろう!? 婦女子に対して失礼だろ!」
「うるせぇよ! こんなところでも委員長ヅラしてんじゃねーよ!」
「委員長はどこでも委員長だ!」

と、飯田と言い争っている爆豪。
そして間で仲裁をしている出久という三竦み状態。
そんな三人を見ながらメリッサは女子達に「なんであの子、怒ってるの?」と聞くと、

「まぁ、爆豪は緑谷に対してはツンデレなんだよ。前はそんな雰囲気じゃなかったんだけどねー」
「そうですわね。緑谷さん関係で色々ありましたから……」

と、耳郎と八百万にすでに察せられてしまっている爆豪、いと哀れ。
そして一人お茶子はというと、

「フフフ……爆豪くん、また私からデクちゃんを取ろうとするなんて……成層圏の果てへの旅がご希望かな? かな?」

と、先ほどまでの麗らかな顔とは似ても似つかない表情をしていた。
……最近、この子の黒化が激しいなぁ……と、端の方で思っていたが決して口には出さない上鳴と峰田。被害を多く被っているが故に学習している証である。
そんな事はいいとして、ヒートアップしていく爆豪達。
切島も会話に参加してきて、

「俺は爆豪のお付きで来たんだけど、なに? お前らもやるの?」
「デクが俺のタイムを越えられるわけがねぇ!」
「うん、そうだね」

と、もう条件反射で答えていた出久であったが、そこに勝気な顔をしたお茶子が立ちはだかって、

「いんや! デクちゃんなら爆豪くんを越えられるタイムを出せると思うわ! だって、デクちゃんは雄英高校入試試験一位通過で主席だもんね!」
「んだと、まるがお!? そんな過去の記録なんざ知らねぇよ!」
「あわわわ! 二人ともやめようよ!」

と、話題はさらにヒートアップしていく。

「デクちゃんて雄英高校主席なの!? すごい!」
「ええ。大人しそうに見えてかなりできますわよ、緑谷さんは」
「そうだね。戦闘能力に関しては爆豪に雄英体育祭で負けて結果が出ちゃったけど、総合で見ればかなりすごいし……」

と、すでにメリッサに対する解説役と化している八百万に耳郎であった。

「んなら、いっちょ恥でもかいてこいや!!」
「えぇー……」

と、爆豪の言葉で出久のヴィラン・アタック参加が強制的に決まってしまった。

『さーて、なにやら知り合いのもめ事でしょうか? そばかすと猫耳に尻尾がチャームな女の子の挑戦が始まります! いったいどんなタイムを叩き出すのでしょうか!?』

MCの言葉で少し緊張する出久であったが、

「(うう……でも、やるからには本気で行かないと!)」

そう思ってやる気を出していた。

「いくよ!(ワン・フォー・オール、フルカウル! 15%!!+身体強化・怪力!!+脚力強化!!)」

一気に強化系の個性を上乗せして出久の体に紫電が走っていき、気合とともに腕を振るうと風が巻き起こる。

「それではヴィラン・アタック……スタート!!」

MCがそう告げた瞬間、出久の姿はまるで蜃気楼でも起きたかの如く一瞬でその場から消え去って次にはあちこちで爆発音や破砕音が何度も発生して、一気に最後の一体のロボットにまで拳を迫らせていた。

「(すごい! まるでマイトおじさまみたい! でも、一瞬だったからよく確認できなかったけど……違和感があるわ。まるで力を抑えているみたいな……)」

メリッサがそう思っている間にも出久は最後の一体をその拳で粉砕していた。
そしてそのタイムが、

『…………えっと、私の見間違いでしょうか? タイムは11秒……です! よく分からなかったので、スローモーションによる確認映像を見る事にしましょう!』

そう言ってMCがモニターを見るように観客を促す。
そこには同時に左手では炎を出して、右手では硬質化した爪を展開して伸ばして貫いている光景が映った。
それも一瞬の事であり、次には足蹴りによるただの蹴りとは思えない破壊力でもってして通過するだけだったというのに粉々に粉砕していて、最後の一体を拳で砕いているという光景が映し出されていた。
それらの動きがたったの11秒であったのは驚きを通り越して観客のほとんどが呆気にとられるという感じであった。
中にはこんなに個性を何個も持っている出久に興味を持ちだすものも少なからず存在していた。






そして帰ってきた出久を歓迎する飯田とお茶子の二人。

「さすがだな、緑谷くん!」
「すごいよ、デクちゃん!」
「あ、あはは……でも少し張り切りすぎちゃったかも……」

対して爆豪は口をあんぐりと開けてしまっていた。

「な、な、な、な……」
「……爆豪、認めろよ。スピードに関しては緑谷が一枚上手だってな……」

切島が爆豪の肩に手を置いていた。
そんな、驚愕が冷めやらない中でさらに次の挑戦者がいたようで、

『すごいすごい! すごーい!!』

というMCの声が聞こえてきて全員が見ると、そこには岩山を覆うように氷山が聳え立っていた。

『タイムは14秒! 現在2位です!』

氷と言えばお馴染みである轟焦凍の姿がそこにあった。

「と、轟くんもいたの!?」
「もしかして、彼も……?」
「は、はい……」
「なにかの奇縁なのかしら? でも、さすがみんなヒーローの卵だね」

と、素直に称賛していた。
だが、ただ一人爆豪はというと、出久には抜かされても諦めがつくというものであったが、たった一秒でも自身の記録を抜き去っていった轟に思うところがあるのか、すでに突撃をかましていた。

「おいこら! 半分野郎!!」
「爆豪?」

突然の爆豪の登場にも轟は驚くそぶりはせずに、出久達の方へ顔を向けて、

「緑谷達もいるのか」
「おい、てめぇ! 俺を無視すんじゃねー!」

それでなんでいるのかと爆豪が怒りながら尋ねるが、冷静に親父―――エンデヴァーの代わりに来たという轟。
MCがおずおずと『えっと、次のチャレンジャーがいるのですが……』というと爆豪が「次は俺だ! ぜってー抜かしてやる!!」ともうしっちゃかめっちゃかな事になってきていた。
飯田はそれを見て、

「切島くん、止めるぞ! 雄英の恥部をこれ以上世間の目に晒してはいけない!」
「お、おう!」

そう言って飯田と切島が飛び出して行って爆豪を抑えつけていた。
そんな光景を見てメリッサはフフと笑みを浮かべながら、

「あ、ごめんなさい。でも雄英高校って楽しそうなところなんだなって……」

それを聞いた出久含む女性陣は『タシカニ』とまるで他人事のように、しかし恥ずかしそうに頷くしかできないでいたのであった。








…………そんな騒がしい現場とは打って変わって、とある場所では何やらきな臭い事が行われていた。
警備員数名が拘束されていて、顔に傷がある男が、

「ブツは受け取った……予定通りで助かる……。なに? オールマイトがここにいるだと……? いや、大丈夫だ。予定通り事を進めるぞ」

果たして傷の男と会話しているその連絡相手とは一体……?
そしてなにを起こそうとしているのか……。


 
 

 
後書き
黒くなるお茶子。
NGお茶子は果たして登場するのか……?
読者の皆様は望んでいるのか……?
私の書き方だとどうしてもお茶子が少し黒くなってしまう。改めるつもりももうないのですが。 
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