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ソードアート・オンライン~遊戯黙示録~

作者:マローン
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FILE223 沈黙の暗殺者

BoB本戦ロイヤルの開始から既に30分以上が経過していた。オズマはS2000に乗った二人の襲撃者を撃退しS2000を入手。
更に相棒のスネークと再会し、死銃の容疑者の一人であるモルターレの追跡を再開していた・・・by立木ナレ


スネーク「奇遇だな。まさかこの鉄橋で強敵()を見つける事になるとはな・・・」

俺「何が強敵と書いて友だよ。向こうはそうは思っちゃいないだろうに」

俺達は森林地帯で車に乗った状態で身を潜め、50メートルほどの長さの鉄橋で新たなる戦闘が始まりそうな状況を静観していた。結局モルターレを発見するには至らなかった俺達だが、別の死銃候補のプレイヤーを捉える事に成功していた。


プレイヤーの一人は俺とスネークが交戦したギルドのリーダーのダインだった。両手で構えたSIGの使い手は滑らかなフォームで石敷きの小道を疾走していた。数秒で森から抜け出すと、そのまま錆びた鉄橋に突入し、50メートルほどの川端を渡る橋を岸辺に一気に渡り終えていた。

スネーク「なるほどな、この状況であれば橋を渡ろうと追って来るペイルライダーを一方的に撃てるが・・・」

俺「川の岸辺側に敵がいたら、無防備に背中を撃たれちまうよな。んで・・・アイツがBoBの予選トーナメントでスネークを任したペイルライダーって奴か」

スコープを覗き込み、鉄橋を捉えると岸川の、深い森の底に伸びる細道の奥から一人のプレイヤーが姿を現した。
痩せた長身で気味の悪い青白い柄の迷彩スーツを着用している。クロノシールド付きのヘルメットを被っているせいで顔が見えない。

スネーク「あれだ・・・あのアーマーライト・AR17ショットガンが脅威だったんだ・・・!」

鋭い緊張感を帯びたスネークの声。橋の反対側ではダインが伏せた状態で両肩を緊張させている様子だった。

俺「あのペイルライダーとか言う奴、本当に強いんだろうな?」

スネーク「ああ、間違いなく猛者だ」

ペイルライダーは今回のBoBが初参戦。つまろ4人の死銃候補の一人なわけだが、今の段階では奴の実力を全く見ていない俺にはその強さは未知数だ。
いくら弾道予測線(バレットライン)と言う、ゲームならではの近未来予知的なアシストがあるとは言え、フルオートのライフルやマシンガンを構える敵に近づくのは容易ではないはずなのに、ペイルライダーはユラユラとした動きのまま、まるで全身を無防備に晒したまま、滑るような足取りで端に踏み込んでいた。

俺「あれじゃ蜂の巣じゃねぇか。弾丸を防いでくれるような地形も何もありゃしねぇしな」

スネーク「だが、ダインも流石に戸惑ってるだろう。この状況では普通であれば追う側の方は掩体から掩体へ全力でダッシュし、距離を詰めていくものだからな」

だが、それでもダインの方はスグに踏ん切りを付けたようだった。一秒後、ダインのSG550アサルトライフルは、作動音を響かせながら10発以上の5.5ミリ弾を貫く――はずだった。

俺「アイツ・・・橋を支える為のワイヤーロープに飛びついて避けただと!?」

スネーク「あの動き・・・俺の時にも見せた軽業(アクロバット)スキルか!」

左手だけであっという間に登り始めたペイルライダーに対してダインは慌てて銃口で追おうとするが、屈んだ体勢だったので情報は狙い難いだろう。二度目の射撃は照準が見れて、その対を狙ったペイルライダーはワイヤーの反動を利用してからのロングチャンプ。橋のダインにかなり近い位置に着地していた。

スネーク「STR型のはずだが装備重量を抑えて、三次元機動力をブーストしてるんだ・・・そして軽業スキルを徹底的に鍛えている。」

俺「ダイン、今度は膝立ちになってトリガーを引いたな」

だが、今度もその攻撃はペイルライダーに読まれているようだった。右腕気に放たれた火線の真下の僅かなスペースに、ペイルライダーは頭からのぞき込んでいた。転倒する事など無く、左手で地面を突き放して前転。立ち上がる頃にはダインから僅か20メートルの距離に達していた。

ダインは罵り声をあげて、空になったマガジンを素早くリロードしようとしていたが。流石に間に合う事は無く、響くような発射音と共に、ペイルライダーの左手のアーマーライトが弾丸を吹き放つ。

スネーク「あの距離であれば、ショットガンを全弾外すなんて事はあり得んだろう・・・」

ダインの身体の各所に着弾エフェクトが閃くと、大きく奴は後ろに仰け反った。だがダインはそれで手を止める事無くマガジンの交換を終えて、反撃に転じようとしたところで二度目の発砲。

俺「さっきよりも距離が縮まった分、猶更後ろに大きく仰け反るよな」

スネーク「そうさ、あれがショットガンの恐ろしだ。ダメージもそうだが仰け反り(デイレイ)効果が高いからな。一旦ああなるとそのまま何もできないまま連続で撃たれ続けるんだ」

俺「SIGを腰だめにで全弾バラまけばまだ何とかなったかもしれねぇよな」

スネーク「それも既に後の祭りだな・・・」

スネークの言う通りまさに手遅れだろう。ペイルライダーは更に距離を詰めてAR17をリロードし、目と鼻の先のダインに向けて段度目の引き金を引いた。
放たれた弾丸の雨が残り僅かと化していたHPを完全に消し飛ばした。

俺「そう言えば、この大会中に倒されたプレイヤーは場折るロイヤルから脱落はするが、あの状態からログアウトは出来ないんだっけか?」

身体の上に【Desd】という赤い立体文字列が出現した状態のダインを見て俺は大会のルールを思い出しながらそうスネークに聞くと、助手席で前のめりの態勢になっていたスネークはその態勢のまま答える。

スネーク「そうだ、これは参加者がリアルで情報のやり取りを防ぐ為、大会中はログアウト不可能の仕様になっているんだ」

俺「となると奴はあの屍に意識が残った状態で、中継画面を見ながらひたすら決着が付くのを待ち続けるってわけか・・・」

スネーク「それはともかくだ、あのペイルライダーはやはり強い・・・もし奴が死銃だとしたら・・・」

スネークがその先の言葉を口にしようとしたその寸前。再び予想だにしなかった光景を俺達は見せつけられる事になった。
ペイルライダーの、青い迷彩服の右肩に小さな着弾エフェクトが閃き、同時に弾かれた様に左へ倒れ込んでいた。

俺「なんだ・・・一体?銃声は聞こえなかったよな?」

スネーク「消音機(サイレンサー)銃か・・・元から作動音の小さい光学(レーザー)ライフルか・・・」

俺「サイレンサーは発射音を抑えられる点に関しては便利だが、あれって命中率や射程にマイナス補正が掛かるんだよな・・・」

おまけに消耗品の割に値段は高く、おれは今に至るまでサイレンサーを自身の銃に装着した事は一度も無かった。
一方で地面に倒れたペイルライダーは、そのまま起き上がろうとしない。だが、それで一撃で死んだわけでも無く、少し離れた場所にいるダインの様に身体の上に赤い【Dead】タグが浮いているわけでも無い。

俺「どうなってる・・・何故奴は逃げも反撃もしない?」

スネーク「そもそも妙だな・・・10分ほど前のサテライト・スキャンのマップで、周囲一キロ圏に誰もいない事は俺もお前さんも確認してるだろう」

俺「つまり、今ペイルライダーを狙撃した奴はかなりの遠距離から襲いやがったわけだな・・・」

スネーク「それは勿論だが、そうなると使用したライフルはかなりの大口径だ。だがGGOでは銃器が大きければ大きい程サイレンサーの消音効果は減少し、命中率や射程減少のデメリットばかりが目立つようになるんだ・・・・それなのに銃声がまるで聞こえなかったのはどういう事だ・・・・?」

俺「サテライト・スキャンに位置を表記されない方法とかでもあるのか?」

スネーク「それは・・・無いとは言い切れんが、少なくとも俺はそんな方法は把握していない。あったらあったで利用価値はあるがな・・・」

俺「スネーク、スコープの倍率をもっと上げてみろ!」

俺はスネークの言葉を途中で遮り、そう指示を出した。スネークは何事かと思っただろうが、俺の急を要するような真剣な口調に何かを察したようで、すぐに俺と同じようにスコープの倍率を上げたようだった。
そして、スネークもペイルライダーの異変に気が付く。ペイルライダーの青白い迷彩服を細くはい回る様に青いスパークのようなエフェクトが発生している事に。

スネーク「あれは・・・電磁スタン弾か!」

俺「その電磁スタン弾ってのが青いスパークの原因って事か?」

スネーク「ああ、命中した後はしばらく高電圧を生み出して、対象を麻痺(スタン)させる特殊弾だ」

この世界にも麻痺(スタン)効果がある事を俺は初めて知った。麻痺にはSAO時代に第二層のフロアボスのトーラス王戦などで苦しめられた苦い思い出が未だ数多く残ってるんだよな・・・

スネーク「しかし、かなりの大口径ライフルでなくては装填は出来ない上に、そもそも一発当たりの値段がとにかく高いからな・・・・対人戦で使う者がいるとは思えん。あれは基本的にパーティーでの大型MoB狩り専用の弾だぞ」

俺「分かりやすく説明してくれてる最中にも、スパークは薄れてきちまってるな・・・あの数十秒くらいで消えちまうんじゃねぇか?」

HPはほとんど減っておらず、これではいったい何のために高難度の遠距離狙撃を成功させたのかまるで意味が分からない―――

スネーク「ん、誰だあれは・・・?」

俺「おい・・・いつの間に・・・どこから湧いて出た?」

それは、Dead状態のダインと、麻痺から回復しかけているペイルライダーのちょうど中間、橋を支える電柱の陰から、ゆらっと滲み出た黒いシルエットだった。
全身を覆う濃い灰色のフードマントがボロボロに毛羽立っている上に、それは風になびいて不規則な動きになっていた。

俺「アイツがペイルライダーを撃ったスナイパーなのは間違いないな・・・!」

スネーク「だが、いつの間に橋を渡った?隠蔽効果の高いギリ―マントを付けたとしていても、何もない鉄橋の上を移動していれば必ず気が付かれるはずだ・・・!」


そして次の瞬間・・・オズマとスネークの全ての疑問を吹き飛ばすほどの衝撃・・・・荒波が二人を襲った!・・・ぼろマントのプレイヤーがゆらりと動き始め・・・これまで身体に潜めていた右手のメインアームが露わとなった! by立木ナレ


スネーク「あれは…サイレント・アサシンだぞ!」

俺「どんな銃なんだ?」

驚嘆の声を絞り出したスネークに対して俺が説明を求め声を掛けると、スネークはつぶらな瞳をギラギラと鋭くして応える。

スネーク「シノンのヘカートに迫る善良の大型ライフルだ。あれの橙の特徴は、銃の先端に装着されたサイレンサー・・・と言うよりも最初からサイレンサーの仕様を前提として設計されてる銃なんだ・・・正式名称はアキュラシー・インターナショナル・L115A3だ」

俺「無茶苦茶なげぇからL115で良いか?」

スネーク「あのライフルが使用する弾はシノンのヘカートⅡに比べて絶対的な威力こそは劣って入るが・・・そもそもL115は対物ライフルではないからな。人間を狙撃する為の銃なんだ」

俺「人間を狙撃する為の銃・・・って事は狩猟用とかに関しては完全度外視か?」

スネーク「そうだ、最大射程は2千メートル以上。撃たれた者は射手の姿すら見る事無く・・・死にゆく間際に銃声も聞く事すら出来ぬ・・・故に与えられた通り名は・・・・沈黙の暗殺者(サイレント・アサシン)だ・・・俺も実際に見たのは初めてだったがな」


突如として姿を現した謎のぼろマントのプレイヤー・・・そして沈黙の暗殺者(サイレント・アサシン)の異名を持つライフル! by立木ナレ 
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