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ソードアート・オンライン~遊戯黙示録~

作者:マローン
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FILE221 本戦ロイヤル直前・・・

GGO本戦が行われる日曜日の真昼間に、俺は助手席に芽瑠を乗せて峠道をしばらく走った後、自宅に戻ったところだった。

芽瑠「お兄ちゃんってさ・・・運転うまいよね」

俺「藪から棒に何だよ」

自宅アパートに戻って、芽瑠が儚げな笑みを浮かべながらそう漏らしていた。

芽瑠「芽瑠ね、本当は車に乗ると酔いやすいんだけどね・・・お兄ちゃんの運転なら全然平気だったよ~」

俺「ベンツの彼氏と仲良くしろよ」

芽瑠「ベンツの彼氏なんていないし~」

って、何のやり取りをしてるんだ俺は・・・・妹(偽)と意味不明なやり取りをしつつ、車を駐車スペースに停めて降りると、俺の車にフラフラとした足取りで見覚えのある高齢者が――

「車拾ったぁぁぁ!車を拾ったぁぁぁぁ!!」

俺「車拾ったじゃねぇだろ・・・・思いっきり駐車スペースに停められてるだろ!」

芽瑠「あっははははっ!お爺さん変なの~、車拾ったなんて・・・これお兄ちゃんのなんだぞ~」

俺が停めた車をまるでその辺に落ちていた小銭を拾ったかのように自分の物であるかのように主張し始めた老人は松坂冬二(まつざかとうじ)と言う元生活保護受給者で現・無職ホームレスの爺さんだった。

松坂「ち、違う・・・これはワシが拾ったんだ!ほ、欲しかったら1000円払え!」

俺「自分の車を1000円で買い戻せってか・・・・これがアンタのだって言うなら車のキーを持ってんだろうな?」

松坂「ワシのだ!こ、これであの娘とワシはデートに誘うんじゃ!」

俺「何処の娘を誘うかしらねぇが、アンタの年齢で手を出せる相手は限られてるて自覚しろ・・・・」

俺は松坂の爺さんを車から無理矢理追い払い、ようやく家の中に入る事が出来る。階段を上がって二階の小田桐家が借りている部屋に入ると、その中にいるのは相変わらず平日だろうと土日祝日だろうと家の中でゴロゴロとしている中高年の男二人。

芽瑠「ただいま~!超楽しかったよぉ~」

時生「おう」

芽瑠が元気いっぱいの声で帰宅した事を告げ、それに対して短い一言の返事の親父だった。爺さんは昼間っから早速酒を飲んでいたようで空っぽの缶ビールを床に転がして自身も横になってウトウトとしている様子だった。

俺「真昼間からこの爺さんは・・・」

時生「弭間、オメェ中学生くれぇの娘にも手出ししてるとか覚えるか?」

俺「また藪から棒かよ・・・」

帰ってきて早々に親父からなんっつう質問されるんだ俺は・・・・

俺「さ~な、色々と相手はいるからその中にもしかしたら年を誤魔化して・・・なんてのもいるかもしれねぇけどそれが何だよ?」

時生「ああ、大したことはねぇんだけどな・・・」

親父は本当に大したことはなさそうに、大欠伸をして一旦言葉を区切り。タバコに火をつけてから話を再開する。

時生「オメェが出かけてる間にな、ここのアパートの周辺を中学生くらいの小娘が一人でウロウロとしてやがったからな、珍しいもんだろこの山谷で年頃の娘が一人でなんてよ?」

俺「そりゃ、確かに珍しいかもしれねぇけど、そんなのが来るたびに俺の事を疑ってかかるなよ・・・・」

中学生くらいの娘と聞いて、以前に俺がキリト達と共にエギルの店で寛いでいた時に俺に妊娠させられたなどと嘯いた赤髪ショートヘアーの小娘の事を思い出していた。

まさかまた奴が俺の正確な住所を割り出して訪れて・・・責任を取れ!なんてお決まりの台詞を言いに来たわけじゃあるまい。
そう言う事なら中学生くらいの娘だけじゃなくて保護者も同伴してるだろうし・・・つうか俺はそもそも本当にあんな小娘は知らん!

芽瑠「お兄ちゃんってイケメンだからモテちゃうからね。芽瑠だって妹じゃなかったら惚れちゃってるし!」

俺「元々妹じゃねぇだろ・・・」

俺の背中に抱き着いてくる自称妹に対して俺はそう言い放つが効果は無い。



※ ※ ※


再びGGO世界の首都であるSBCグロッケン。ログインと同時に総督府タワー前に出現した俺を待っていたのは、GGOでの相棒にしてぬいぐるみのスネークだった。

スネーク「ちゃんと来たな」

俺「そりゃ来るさ。何のために予選トーナメントを優勝で勝ち抜いたと思ってんだよ」

スネーク「それも当然の事だな・・・と言うかこのGGOの全プレイヤーが注目しているBoBの本戦ロワイヤルをドタキャンなんて事をすりゃ、予選トーナメントで敗れたプレイヤー達に合わす顔がないだろう」

スネークが上空を見上げると、数あるネオンの中でひときわ存在感を放っているのは、これから開始されるBoB(バレット・オブ・バレッツ)第三回大会の告知だった。

スネーク「とにかく大会のエントリーを済ませておくべきだろう」

俺「面倒だが、どうせこの総督府で済ませられるしな・・・・」

ふと、大通りの両側にいるプレイヤー達がとある一人のプレイヤーへと視線を向け始めていた。ジロジロと眺められてる方としては気分は良くないだろうが、声を掛けてくるまでの者は一人もいなかった。

スネーク「オズマ・・・あれで本当に男なのか・・・?」

俺「マジで男だ」

そう、それはキリトだった。実際の性別はまごう事無き男なのだが、公開されている出場者の情報は名前と参加回数だけに留まっているので、性別は公開されていない。キリトと言う名前は男とも女とも取れる微妙な名前なだけあって、殆どのプレイヤー達は美少女アバターを得たキリトを美少女剣士プレイヤーとして見なしていた。

そのキリトが俺の横を通りすがる瞬間に、キリトは俺の方にそっと視線を向ける。どうやらキリトも流石に気が付いてるらしい。
今のこの伸ばし放題の長髪の、ヒキニート丸出しの姿の『オズマ』が自分の知っているオズマである事、そして自分の正体についても・・・とっくに俺に気が付かれている事を察している。


赤の他人の振り!オズマとキリト、姿こそ普段と違えど・・・お互いのキャラクターネームから両者の正体に気が付きつつも、敢えて他人の振り!・・・・関わらぬが賢明!そしてその理由は、お互いに弄られたくないからである!・・・・奇跡的な利害の一致! by立木ナレ


スネーク「ともかくだ、本大会出場者の30人のリストには流石に死銃の名前は無かったが、かと言って出場していないとは思えんな」

俺「ああ、奴の目的の一つにはGGOの世界で自分の力の誇示だって言うのなら、BoBほどうってつけの舞台はないしな・・・あくまで死銃(デスガン)ってのは通り名みたいな通称であって、本来のキャラクターネームは別にあるんだろう」

スネーク「ひと先ずはその名前を割り出して、大会中に接触で切れば猶の事良い。SAO時代の名前さえ分かれば、そこからリアルでの本名も割り出せるはずだ。」

俺「ああ、進藤なら本来なら極秘扱いの旧SAOプレイヤーのアカウントデータにアクセスできるらしいからな」

まさに総務省権限様々って所か・・・ともかく本名さえ分かれば、その死銃が本当にゼクシードや薄塩たらこを殺したのかどうかも突き止められる。

スネーク「それはそうとオズマ、本戦バトルロイヤルの詳細はちゃんと理解してるだろうな?メールに書かれていたはずだが・・・」

俺「それならちゃんと読んだよ。確か初期の配置時点でどのプレイヤーとも最低は千メートルは離れてるんだっけか?」

俺は事前に呼んでおいたメール内容を思い出しながら、内容を覚えている範囲内で言葉にする。スネークは現実世界(リアル)であればご法度な歩きタバコをしながら首を小さく縦に振る。

スネーク「そうだ、それ故に俺とおまえさんもゲーム開始時点では別行動・・・下手をすればお互いに一度も遭遇しないまま大会終了なんて事も有り得る。なにせ本戦のマップは直径10メートルだからな」

俺「つうか、そんなんでお前どころか他のプレイヤーとちゃんと遭遇できるのかよ?下手すりゃ大会時間終了までに誰とも出くわさず仕舞いとかにならねぇか?」

俺の懸念に対してスネークはちっちっちと手を振りながら、タバコを口から離した。

スネーク「オズマ、これは銃で撃ち合うゲームだ。それくらいの広さは必要なんだ。シノンが使っているようなスナイパーライフルの射程は1キロ近くあるし、アサルトライフルでも500メートルほどは狙える。狭いマップに30人も収まっていれば、開始と同時に近距離での打ち合いになり、瞬く間に半分以上が消えるだろう」

俺「なるほどね・・・確か、参加者たちの場所がマップ上に表示されるのは15分に一度だっけか?」

再び俺はメール内容に書かれていいた文面の中から自分が明確に覚えていた一文を確認がてら聞いてみる。

スネーク「ああ、それについてはサテライト・スキャン端末と言うアイテムが全員に自動配布される。それで15分に一度、上空を監視衛星が通過すると言う設定でだ。その時に全員の端末にマップ内の全プレイヤーの位置が送信される。更にマップに表示されているフリップに触れれば名前も表示される」

俺「それなら、そのサテライト・スキャン端末でプレイヤーの位置情報が送信された時に、お互いの名前を見つけた時が相手に会うチャンスかもな・・・」

スネーク「言うほど簡単じゃない。一度に複数も表示されるフリップの中からお互いの居場所を正確に確認する為には片っ端からフリップに触れて名前を確認しなくてはならない。仮にその場で俺とおまえの場所を確認し合う事が出来たとしてもだ、15分間の間に両方が相手を探そうと動いていたら入れ違いになる可能性も高いしな」

俺「なら、無理に合流しようとすると却って生存率を低めちまうかもしれねぇよな・・・」

スネーク「そうだ、そしてこのシステムの影響で一箇所に潜伏し続けられるのは15分が上限と言う事になる。相手が探しに来てくれるのを期待して同じ場所で待機し続ける・・・なんて事をしていたら、何時背後から奇襲を受けてもおかしくないだろうからな」


本戦ロイヤルの最終確認の後、オズマとスネークが次に確認するのは今回の第三回BoBが本戦初出場と思われるプレイヤーの名前の確認であった・・・。
恐らくはその中に死銃と思わしきプレイヤーが潜んでいるのではないかと言う推測・・・オズマとスネークがそう推測する理由は、死銃はこれまで本来の名前を厳重に伏せ続けて来たであろうこと。仮に死銃をそのままプレイヤーネームにした場合は、それによりスパムメールが大量に送り付けられる、予選トーナメントの段階でトラブルを招くと言った事態になりかねないのであるからだ!
かと言って本来のプレイヤーネーム早々に流布してしまえば、それまで作り上げた死銃のイメージが崩れる・・・それ故に今日までは、ひたすら本来の名を誰にも触れさせずに来たと言う考えから来た推測であった! by立木ナレ


スネークが知り得る限りで、初めて見たと言う名前は俺とキリトを除いて以下の通りだった。

銃士X

ペイルライダー

スティーブン

モルターレ

俺「銃士X以外はアルファベット表記・・・俺じゃ絶対に読めねぇよ」

スネーク「まあ、このスティーブンに関しては無理も無い。Sterbenと表記しているがこれは恐らくstevenのスペルミスだろうな」

俺の場合はそのスペルミスすら全く気が付く事すら出来ないわけだ・・・とにかくその4人こそが死銃を調査する上での要注意人物。
大会中に何としてでも接触する必要性の高いプレイヤー達と言うわけだった。 
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