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怨霊の謎

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第四章

「表向きは大衆の為の新聞と言っていますが」
「その実はなのね」
「多くのヤクザ者やならず者達と結託していて」
「その利権をなのね」
「擁護しています」
 そうした新聞社だとだ、坂本は武者小路に話した。
「そして市長はヤクザ者やならず者達を取り締まっていてです」
「その伊藤という男もですね」
「はい」
 坂本は遠藤の問いに答えた。
「警察に調査を命じていましたが」
「ああ、だからなのね」
「新聞でも誹謗中傷を繰り返していましたが」
 それでもと言うのだった。
「警察の手が及ぶ前にとです」
「怨霊を使ってですか」
「はい、ただこの伊藤という者は只の無頼漢出身です」
「自分も元はヤクザ者ですか」
「その者がです」
「仲間を擁護していますか」
「こうした新聞社があることも」
 坂本は嘆く顔になって遠藤に話した。
「高知市の問題になっています」
「新聞こそ気をつけろ」
 ここでだ、遠藤は腕を組み深刻な顔で述べた。
「そういうことですね」
「一見良識を謳い世を啓蒙しようとしていても」
「その実は」
「おかしなことを虚言や詭弁を並べ立てて良識にしようとする」
「そうした新聞社も多いですね」
「ですから」
 それでというのだ。
「市長も危険視されていて」
「そうですか、ではその伊藤という者をですね」
「調べればと思いますが」
 それでもとだ、坂本は述べた。
「伊藤という男実に狡猾で用心深く」
「手掛かりはないですか」
「はい、我々も怪しく思い」
 それでというのだ。
「警察が捜査していますが」
「手掛かりはないですか」
「はい」
 坂本は遠藤に苦い顔で答えた。
「左様です」
「おそらくですが」
 遠藤はここまで話を聞いてだ、話をしてくれた坂本に話した。
「伊藤という者がネクロマンサーを雇うなりして」
「そのネクロマンサーにですか」
「そうです、怨霊を使わせて」
「市長に憑かせていますか」
「そうかと」
「そうですか」
「ではまずはです」
 遠藤は坂本に話した。
「市長さんの周りを調べてです」
「そこからですか」
「怨霊の手掛かりを得て」
 そうしてからというのだ。
「そこから伝って」
「ネクロマンサーにですか」
「辿り着きそこからですか」
「伊藤も捕らえましょう」
「それでは」
 こう話してだ、そしてだった。
 遠藤は武者小路と共にだ、まずは市長の周りを調べはじめた。市長は確かに完全に憑かれていて欝にも見える。
 その市長の周りを調べるとだった。
 市長室の窓のところに羽根があった、その羽根は。
「鸚哥と梟か」
「そうね」
 その羽根を専門家に調べてもらうとこういった鳥達の羽根だった、そして。
 市長室を今度は水晶玉の映像で離れた場所から見てみるとだった。常に市長室に人形の様にいる市長をだ。
 窓から昼は鸚哥、夜は梟がよく来て市長を見ていた。これでだった。 
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