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レーヴァティン

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第九十一話 商人達の会合その九

「左様でござるな」
「今はな」
「これでいくでござるか」
「それぞれ任せた」
 政所等に置いた十二人に述べた。
「治めてもらうぞ」
「わかりました」
 今度は謙二が応えた。
「その様に」
「ここからだ」
 英雄は鋭い目になりさらに言った。
「城も築くが」
「大坂城っちゃな」
 愛実が城と聞いて応えた。
「あの巨大な城を築城するっちゃ」
「急にではないがな」
「徐々にっちゃな」
「まだ本丸だけでいい」
 大坂城、豊臣秀吉のその城で言うとというのだ。
「内堀と治める場所さえあればな」
「天守閣もいいっちゃ」
「色々考えたが銭がかなりかかる」
 天守閣の普請、それにだ。
「城全体がそうだしな」
「だからっちゃな」
「俺達はまだ大坂を手に入れただけだ」
「拠点で人口はかなり多いっちゃが」
 新たに調べると百万近い、この島で最大の街だ。
「周りに田畑も多いっちゃし」
「そうした場所も手に入れていくが」
「まだ銭が足りないっちゃな」
「銭があればそれは政や戦を優先させてだ」
 そうしてというのだ。
「築城についてはな」
「後回しっちゃな」
「そうしたい」
 こう言うのだった。
「今はな」
「こちらもことが進めばっちゃな」
「やがて城を拡大してな」
 そうしていってというのだ。
「天守閣もだ」
「築いていくっちゃな」
「だから今は本丸だ」
 それを囲む内堀と城壁、石垣等も含めてだ。
「その中で俺達が住んで政を行うな」
「そうした場所も築いてっちゃな」
「今はそれでいい」
「そうっちゃな」
「鎌倉幕府と江戸幕府を比べるとな」
 政ということにおいてだ。
「どうしてもな」
「仕組みの充実度が違うわね」
 奈央もそこを言う。
「江戸幕府のそれはかなり完成されているわ」
「細かいところまでな」
「分権でいて各藩を強くさせないし」
「参勤交代等でそうしていた」
「そうしたことを見てもね」
「江戸幕府の政は成熟している」
 鎌倉、室町という二つの武家政権を見て参考にしてのことだ。そうして江戸幕府はかなり整った統治機構を整えたのだ。
「それを見るとやはり江戸幕府だ」
「だからやがては移していくのね」
「勢力が拡大するにつれてな、だがな」
「今の時点では」
「このままでいい」
 鎌倉幕府の仕組みでというのだ。
「暫くこのままでいき」
「やがては江戸幕府ね」
「そちらに移る、ではな」
「いよいよね」
「旗揚げはしたも同然だが」
 それでもと言うのだった。
「しかしな」
「正式にはこれからね」
「そうだ、大坂城を築城して本丸に入ってからだ」
「ではまずは」
「ここで大坂の政を執りつつな」
 大坂の主に推挙されたからだ、もうそれははじめているのだ。 
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