| 携帯サイト  | 感想  | レビュー  | 縦書きで読む [PDF/明朝]版 / [PDF/ゴシック]版 | 全話表示 | 挿絵表示しない | 誤字脱字報告する | 誤字脱字報告一覧 | 

ソードアート・オンライン~遊戯黙示録~

作者:マローン
しおりを利用するにはログインしてください。会員登録がまだの場合はこちらから。 ページ下へ移動
 

FILE216 開幕・・・第三回バレット・オブ・バレッツ

西暦2025年12月13日。この日はGGO(ガンゲイル・オンライン)にて、最強ガンナー決定戦とされるバレット・オブ・バレッツ、通称BoBの予選が開催されようとしていた・・・!
参加登録が行われている総督府にはBoBの参加者達であろう戦意に満ち溢れた者達が次々と集い・・・・中には、膝に乗せた恐ろしげな銃を音高く排莢(はいきょう)して見せる者までいた! そして、当然そこには死銃事件の調査目的のオズマとスネークの姿もあった・・・・ by立木ナレ


俺「実際に総督府の中まで入るのは初めてだな」

スネーク「ゲーム開始地点のメモリアル・ホールの丁度反対側だからな。ここは通称ブリッジと呼ばれてる場所だ」

俺「なんでブリッジなんだ・・・・?」

何かの英単語かもしれないが、あいにく小卒の俺は難しい英単語は一切知らない。知っているのはOKとかYESとかNOとか・・・・学校に通わずとも日常で知り得そうな単語くらいだった。

スネーク「ここでいうブリッジは橋を意味する通称ではない」

あ、ブリッジって橋って言う意味だったのか。ま、どうせすぐに忘れるだろうけどな。

スネーク「この場合は艦隊と言う意味で使われている。グロッケンが宇宙船だった時代の司令部だから、そう呼ばれているらしい」

それはそれでまた何で司令部だとブリッジなんだ?と言う疑問が生まれるが俺の無知ゆえの質問を繰り返しているとキリがないのでその質問は押し留めておく。そして代わりに出た言葉が―――

俺「言われて見りゃ、この街ってやたら縦長だよな」

スネーク「そうだ、正式名称に付いているSBCは『宇宙戦闘巡洋艦(スペース・バトル・クルーザー)』の略でな、イベントのエントリー、その他のゲームに関する手続きはすべてここで行われる」

スネークの説明がそこまで進む頃には俺達は、ブリッジ一階のエントランスを通り抜けていた。内部は広大な円形のホールだった。

スネーク「見ろ、イベントの告知やら、実在企業のCMとか、薄暗いホールの中で宣伝されてるのは派手だろう?」

俺「ああ、知ってる企業も幾つかあるな・・・お、マツダのNEロードスター宣伝してやがる」

俺が車のCMに関心を寄せると、スネークは珍しそうな様子で――

スネーク「なんだ、ロードスターに興味があるのか?」

俺「ああ、俺は初代のNA6の・・・Jリミテッドに乗ってるんでな」

スネーク「NA6って・・・初代の中の初代だぞ!お前さんの世代で車好きなのも珍しいが・・・もはやクラシックカーに等しいNA6とはな・・・俺が生まれたのとほぼ同時期の車だぞあれは・・・」

スネークは俺の車趣味に色々と驚きつつも気を取り直し、正面の大モニターに映し出されている《第三回バレット・オブ・バレット》のプロモーション映像を指差していた。

スネーク「あれに参加する為のエントリーを済ませるぞ、分からんことがあったら俺に聞くと言い」

俺「ああ、多分何かしら質問するかもしれねぇしな」

先を歩くスネークの後に続き、右奥の一角へと移動する。壁際には縦長の機械が並んでおり、コンビニで置いてあるATMのようだった。
スネークはその一台の前に立ち、俺はその隣に立つ。

スネーク「大会へのエントリーはこれを使う。タッチパネル式端末だから操作は難しくないと思うが良いな?」

俺「ああ、やってみるさ」

スネーク「うむ、では始めるか」

モニターに映し出されている画面には『SBCグロッケン総督府』と表記されていて、幸いと言うか、有難い事にメニューを含めたすべてが日本語表記だった。フルダイブ前に現実世界のネットでGGOの公式サイトを見た時は何もかもが英語で全く読めず、日本人向けに作れと内心で腹を立てていたが、ゲーム内においてはその辺りはしっかりと配慮してくれているらしい。

俺「あった、第三回バレット・オブ・バレッツ予選エントリーだな」

俺を押すと、画面は名前や職業など各種データの入力フォームに移行していた。―――って、名前に職業?ゲーム内なんだから職業なんて全員ガンナーだろうし、名前なんてキャラネームなんだから自動入力で良いだろ・・・文句を垂れていた矢先だった。一番上に表記されている但し書きに俺の視線は向けられた。

【以下のフォームには、現実世界におけるプレイヤー本人の氏名や住所等を入力してください、空欄や虚偽データでもイベントへの参加は可能ですが、上位入賞サプライズを受け取る事は出来ません】

俺「おいスネーク、この上位入賞サプライズって奴だけどよ・・・」

俺は隣で既にエントリーを早々と澄ませて葉巻で一服していたスネークに声を掛けて早速上位入賞サプライズの事について聞いていた。
スネークは口から煙をふわっと吐くと小さな身体でトコトコと俺に近寄る。

スネーク「ああ、やはりそれに興味を持ったか」

にやっと不敵に笑みを浮かべるスネーク。

スネーク「本戦出場を果たしたプレイヤーに送られるサプライズプレゼントは二種類。片方は通常プレイでは入手不可能なレアアイテムだ」

俺「そっちは俺には大して意味ないな・・・」

なんせ、俺は死銃事件の為だけにGGOにフルダイブしている身で、これが終わればアバターを再びALOにコンバートし直すのだから。

スネーク「もう片方は現実世界で受け取る事が出来るモデルガンやエアガンとかの類だ、一丁1~2万円程度とかのな・・・」

俺「そうか、だから入賞サプライズ乃受け取りに現実世界の住所と氏名の入力が必要だって事なんだな」

スネーク「どちらを受け取るかについては、プレイヤー自身が選択して決める事が出来る」

なら俺の選択は言うまでも無く後者だ、一丁1~2万円のモデルガンやエアガンならネットで売って小遣い稼ぎになる。
俺は急いで入力欄の氏名に小田桐弭間(おだぎりはずま)。住所欄に東京都台東区日本堤。職業は・・・職業選択欄に日雇い労働者が無かったので取りあえずフリーターと言う事にしておいた。


そして、オズマのエントリーを受け付けた旨の文章と、予選トーナメント一回戦の時間が表示される。日付は今日、時間は約50分後!by立木ナレ


スネーク「これで、俺もお前も50分後にはBoBの予選トーナメントを戦う事になったわけだ。俺はCブロックの三十七番になったが、お前さんはどうだ?」

俺「俺は・・・」

俺はもう一度画面を見て確認して答える。

俺「俺はDブロックの2番だってよ」

スネーク「そうか、ほぼ同時に申し込んだから同じブロックになる可能性も高かったが、そうならずに済んだようだな。付け加えて説明しておくとだ、予選トーナメントの結晶にまで勝ち進めば、勝ち負けに関わらず本戦のバトルロワイヤルには出られるからな。準決勝に勝利すればそれで本戦への出場が決まるわけだ」

俺「そうなのか・・・それはそうとよ」

俺は防具以外の装備を全く身に着けていない状態のスネークを見て一つの疑問をぶつける。

俺「愛用のH&K MG4とブラスター銃はどうしたんだよ?いつも身に着けてるのに、なんだってこれからBoBの予選トーナメントが始まるって時に外した状態になってるんだ?」

スネーク「なんだ、そんなことか・・・」

スネークは当たり前であると言わんばかりの様子で、軽くため息を付きながら・・・微妙に呆れ気味の様子で答える。

スネーク「むしろ、これからBoBの予選トーナメントが始まるからだろ。試合の50分も前からメインアームを見せびらかしていたら対策される可能性が有る」

俺「・・・・・そんだけか?」

スネークの答えに対して、俺は多少は理解しつつも、思ったよりも大した理由じゃなかったので軽く拍子抜けして聞き返していた。

スネーク「それだけが・・・お前さんは良いのか?ここにいるどこの誰がお前さんと同じDブロックの参加者なのか分からない状態で、AKS-74Uもブラックニンジャソードも堂々と見せつけた状態で、対策されたらどうする?」

俺「警告はありがたいが、別に構わねぇよ」

割と真面目にスネークは注意したのだろうが、俺は意に介さぬ余裕の態度で答えた。

俺「対策したけりゃ好きなだけすりゃいいさ・・・俺は相手がどんなやり方で戦ってこようが、どんな武器だろうが、どんなビルドだろうが関係ねぇ。いつも通り、自分のやり易いやり方・・・ワンパターンでゴリ押し重視でやるだけだからな」

スネーク「ふ・・・策や戦略などは実力で捻じ伏せるお前さんらしい考え方だな。まあ、そう言うやり方の方がお前さんにとっては力を発揮できるだろうな。この一週間くらい程で大体分かってきたさ、下手に戦略を立て直したり、対戦相手のメタを張るよりも、お前さんの場合は自分のやり易いやり方でやる方が良いって事はな」

俺「分かっていただけて何よりだよ」

葉巻を再び口に加えながら笑みを浮かべるスネークに対して俺もタバコを一本口にして一服していた。


※ ※ ※


予選トーナメントの開始まで時間が残り10分を切っていた・・・!オズマはスネークから今後の説明にを既に受けており、その説明の内容とは・・・・・カウントが0になり次第、ここにいるエントリー者は全員、どこかにいる予選一回戦の相手と二人だけのバトルフィールドに自動転送される。

そしてフィールドは1キロ四方の正方形、地形タイプや天候、時間はランダム、最低五百メートル離れた場所からスタートし、決着が付き次第勝者はこの待機エリアに、敗者は一階ホールに転送される。敗北した場合でも武装のランダムドロップは無く、勝った場合もその時点で、次の対戦者の試合が終わればすぐに二回戦が開始。終わっていなければそれまで待機。そして・・・オズマの所属するDブロックは64人である為、五勝する事で本大会の出場権が得られるのであった!


スネーク「ん、やはりシノンも来ていたか・・・」

俺「ああ、あの時の女スナイパーだな」

スネークが視線を向ける先にいたのは、前にダインとか言うスコードロンと組んで俺とスネークを襲ってきやがった青髪の女スナイパーだった。
妙に機嫌の悪そうな表情で、近くにいる長い黒髪の女プレイヤーと何かを話ている様子だった。

俺「アイツ、俺のことどう思ってるだろうな?」

スネーク「流石に好印象とは程遠いだろう。シノンとは以前に少し会話したことがある程度だが、奴はGGOを単なるゲームではなく、まるで自分を鍛える為の戦場・・・現実世界でも強くなるためにGGOをやっているような気がする・・・・・」

俺「ようするに・・・単なる重度のゲーム廃人って事じゃねぇか?」

俺も人の事はあまり言えない立場だが、VRMMOをやり込む事で現実世界の自分に何かしらの変化を求める奴なんて、ゲームに妙な期待と言うか、悪く言えば毒されているとも言えない様な奴に思える。

スネーク「うむ、傍から見ればそう思えるかもしれないがな。シノンは誰が何と言おうと決してそれを聞き入れはしない、何処のスコードロンにも所属する事も無く、誰かとパーティーを組む事も滅多になく、ただひたすら、おのれの力の身を信じ・・・おのれの為だけに戦い続ける姿はまさに孤高の山猫とでも言うべきか・・・」

スネークがそこまで神妙な様子でシノンの事を語っていた矢先だった。荒々しいエレキギターのようなファンファーレが轟き、続けて、低い濁声の合成音声が『じゃんじゃじゃ~ん!』と響き渡ると同時に・・・天井に巨大なモニターが難題も出現すると同時に・・・・そこに映し出されるのは丸で雪だるまのような球体の体型だが、丸っこい手足が付いた青の体色の玩具のようなアバターと眼鏡を掛けた小学校高学年くらいの男児アバターが映し出されていた。

俺「なんだ・・・ありゃ?」

スネーク「お前さんは初めて見るんだったな、あれはGGOのマスコットアバターでな。丸っこい青いロボットがドザイモン、眼鏡を掛けた冴えない少年アバターがのろ太と言ってな。このGGOのイベントや大会などは基本的に奴らによって実況解説されている」

俺「なんか、妙な二人組を思い出しそうだな・・・・」

そんな俺の嫌な予感に違わず、GGOのマスコットらしいその青いロボットと眼鏡少年はこれから始まる死闘の直前の緊張感など意に介さない様な気の抜けたテンションのやり取りを始めるのだった。 
 

 
後書き
ようやく次回からBoBが開始されます。既にファントム・バレット編が始まってから結構経ってますが完結までまだまだ続きます・・・・ 
ページ上へ戻る
ツイートする
 

感想を書く

この話の感想を書きましょう!




 
 
全て感想を見る:感想一覧