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ソードアート・オンライン~遊戯黙示録~

作者:マローン
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FILE215 嫌悪・・・価値観の相違

オズマが朝田詩乃を自身の車に乗せて、首都高を走っていた丁度その頃・・・ALO(アルヴヘイム・オンライン)のユグドラシル・シティのエギルの店ににて・・・・


リズベット「アスナ出来たわよ、我ながら会心の出来だわ」

アスナ「待ってました~♪リズの鍛冶スキルで製造した調理器具なら今までは作れなかった料理アイテムもつくれそうだわ」

リズベットはアスナに頼まれていた調理器具である新しい包丁を完成させて、それをアスナに渡していた。そして、その大きさたるや――

クライン「どおわぁっ!?な、な・・・なんだそりゃあ!?そ、それって包丁かぁ!?」

リズベット「いやぁ~、アタシも自分で製造しておいてなんだけど、本当にこの包丁って調理器具アイテムなのかどうか一瞬疑ったわ・・・」

その大きさたるや・・・・いきなり目の当たりにしたクラインは椅子から転げ落ちるほどに動転し、作り出したリズベット自身も冷や汗を掻きながら苦笑していた。

その一方で、それを手に入れたアスナの方はと言うと・・・

アスナ「リズってばもっと自慢しても良いと思うわよ~。こんな凄い包丁作っちゃうんだから~」

アスナ・・・ご満悦!調理器具アイテムである包丁でありながら刃渡りは推定60㎝前後!銀色の刀身は鋭い輝きを放ち・・・・今か今かと肉を切る事を渇望しているかのような輝きであった!

クライン「ア、アスナさん・・・な、なにゆえ~・・・・・そのようなデカい包丁を?」

アスナ「ふふ、クラインさんったら変な事聞かないでよぉ」

鋭い銀色の輝きを放つ刀身を戦慄の眼差しを向けながらのクラインの質問に対して、アスナはあくまで穏やか笑顔を浮かべて答える。

アスナ「この大きい包丁、見ての通り今まで使ってたのに比べて高スペックなのよ。だから今までは耐久値が高くて中々調理できなかった食材アイテムだってスパスパって切れちゃうんだから~」

クライン「へぇ~・・・・切れなかったのをスパスパとねぇ・・・」

アスナ「そう、スパスパってね。うふふ・・・早速今までの包丁じゃ切れなかったアリゲイツ・ドラゴンの肉を捌くわね!この包丁なら切れにスパスパ切れちゃうわよぉ~」

リズベット「え、ええ・・・喜んでくれて何よりだわ・・・」

この時、リズベットとクラインはどう言うわけか二人揃って同じ光景を脳裏に浮かべていた、それは・・・・アスナがオズマの肉をこの巨大な包丁で笑顔で捌くと言う凄惨なる光景!アスナがオズマを包丁で捌くなど・・・・本来あり得ぬ事だと頭では思っているにもかかわらず、脳裏から離れず・・・・それどころかより鮮明、より克明にリズベットとクラインの脳裏に焼き付いていたのであった!!


※ ※ ※


首都高を走る俺のJリミテッドはダウンサイジングターボで200馬力以上のパワーに至っているが、ぶっちゃけ、ドノーマルの状態でもそれ以上の馬力の車などは幾らでもある。
俺のJリミテッドは社外品のファイナルギヤやモーテック製のフルコンピューターの性能で馬力以上の加速力を生み出し・・・尚且つ従来の利点である軽さは依然として1トン未満を保っている。

朝田「何が面白いんですか・・・?」

俺「あん、オモシロくねぇか?」

相変わらず眼鏡越しの瞳は冷めきった朝田は、俺のJリミテッドの助手席(ナビシート)でつまらなさそうな態度を一切隠す事無く、その冷たい眼差しを俺に向けながら呟いていた。
だが、その程度で俺は食って掛かる事など無く、飄々とした態度を崩さずに答える。

朝田「この車のスピードメーター、さっきから余裕で100キロ超えてるって自覚有ります?」

俺「ああ、見てねぇけど体感でそれくらいわかるぜ、今ん所140キロ付近か?」

朝田「・・・・当たり、スピードメーターを見てないのに分かるんですね、それ位の速度で走ってるって」

俺「どっちかって言うと、スピードメーターよりもタコメーターの方を気にして走ってるからな俺は」

朝田「タコメーターってこっちのエンジンの回転数を表示してるこれですよね・・・?普通に走ってたらあり得ない回転数なんですけど・・・・」

俺「高回転ゾーンの走りって奴だよ。マニュアル車ってのはオートマ車に比べてエンジンの回転数を自分で調整しやすいから楽しいんだぜ」

朝田「そうですか・・・・私には理解できませんね。男性でも半分以上がオートマ限定で免許を取ってるこのご時世でマニュアル車を好んで運転する人の気持ちは・・・・私達、気は合わないみたいですね」

ようやく色々と口を利くようになったかと思ったら、つまらなさそうに俺とは気が合わないなどと言い出す朝田。
今のところはそうまでして俺に嫌われて、そのまま縁切りになりたいと言ったところなんだろうな。

俺「お前って、学校でも普段からそんな風に誰彼構わず愛想悪く振舞ってるわけ?」

朝田「何か問題でも?」

俺「別に問題ってわけじゃねぇがな・・・それは肯定って意味でいのか?」

朝田「単なる同級生相手に愛想良く振舞う意味なんてありませんから・・・・」

まるで吐き捨てるかのような言い方だった。つるむ事や、群れる事自体を馬鹿馬鹿しいと思っているかのような、一人でいる事を好む人間にありがちな考え方って言う奴か・・・

俺「けどよ、それだとお前さ、学校でボッチ生活一直線だろうよ。さっきの連中だってお前の友達って言うよりも、パシリに扱ってるって感じだしよ」

朝田「それが?」

俺「ぶっちゃけるとな・・・俺って小学校卒業してから学校通ってなくってね・・・だから今俺は17歳だけど学生ではないんだわ」

朝田「・・・・ニートなんですか?」

あ、今の俺の言葉を聞いて朝田の俺を見る眼差しがさっきよりも更に冷たくなったな。単なる女遊びに節操のない学生から、働きもせず、学校にも通わずに遊び惚けている極潰しだと認識したみたいだ。

俺「一応、時々日雇いの仕事とかはしてるんだぜ」

朝田「つまり、定職に就いてないんですね・・・・」

俺「忙しいのは嫌いだからな・・・まあ、俺の現状はともかくだ。小卒の俺だって学校に通ってた頃はそりゃ否応でも周囲とある程度は上手く付き合わなくちゃならなかったからな。周囲からハブられたり、ボッチになったりしないように最低限、少しでも気の合いそうな奴とは学校にいる間位は付き合いを保ってたもんだぜ」

朝田「なんで、そうまでして一人にならないようにしなくちゃならないんですか?」

まるで理解不能・・・・朝田は俺の言っている事など何の意味も無いと言うか、愚かな事であると言いたそうな、妙に対抗心を感じさせる物言いになっていたが、何も話さないよりかは良い。

俺「そりゃ色々と理由なんてあるぜ。集団の中で孤立したりハブられたりすると、面倒な役回りを押し付けられたりする機会が多くなるからな・・・・例えばクラス委員とかだったか?そう言う面倒な役職だとかをな。それ以外にも質の悪い連中にカモにされてカツアゲされたりとかよ」

朝田「そんなの・・・・そんなの誰かと群れなくたって・・・自分の身は自分で守れば良いだけじゃないですか!」

俺「そうは言うけどなぁ、言うほど簡単じゃねぇだろ。あの手の連中だってイジメのターゲットにするのは普段から孤立してる奴・・・あるいはイジメのターゲットを孤立させてからイジメるってパターンが王道だからな。集団の中でボッチだととにかくそれだけで何かと損って事さ、だから大抵の奴は自分を守る目的も含めて群れるんじゃねぇか?」

これは何も別に学校の教室に限った話じゃない。俺達が2年間もの間囚われたSAOだってそうだ。ゲーム攻略を率先して行う攻略組に属するに当たり、大抵のプレイヤーは何処かのギルドに所属する事でそのギルドの庇護を受けたり、集団の威を得る事によって発言力を増したり、逆に極小規模の弱小ギルドが下手に攻略組に加わると大規模のギルドや有力なギルドによって下働きを押し付けられたり、フロアボス戦において美味しい所を取り難い役回りを担わされたりと大抵は損する方だった。

が、そんな中でソロで攻略組に所属し続けて、何時も一人で自由にやってて、それでいてフロアボス戦では毎度美味しい所を持ってくのが得意な(キリト)も一人いるにはいたんだが・・・・そいつは案の定攻略組の中では悪い意味で腫れ物扱いで、おおよそ周囲から信頼されたり好かれたりとは程遠かった、最もそんな周囲の好感度や評価など知った事じゃないと割り切れる奴ならそれで構わないんだろうがな。

そして、恐らくこの隣で冷めた表情で座っているシノンもそれに近い部類――

朝田「自分を守る為に群れるなんて、自分の弱さを公言しまわってるも同然ですよ」

実際に今の話題になってから朝田は妙に多弁になっている。それも俺の考えや言葉を片っ端から否定するような、すなわち孤独でいる事を・・・・自信のあり方を否定などさせないと言わんばかりに。

朝田「友達が欲しいだとか、どこかの仲良しグループに入っていたいだとか、そんな情けない考えで自分を強く出来るわけがない・・・っ!自分を救えるのは自分しかいない、自分の力だけで強くならなくちゃ本当の意味で変われない・・・・っ!その為にはむしろ、周囲の全てが敵でいるくらいの方が良いんです!」

ようやく、この朝田詩乃の本心を絞り出す事が出来てきたかもしれねぇな。さっきまで俺に対して全く無関心、冷めていて無表情に等しい状態だったのが、まるで俺に対してまで敵意を向けるかのような険しい目つきを浮かべている。

俺「さて、そろそろ首都高ドライブも飽きてきたな」

朝田「唐突ですね・・・さっきまで楽しそうに速度制限違反で走ってたのに」

無論、首都高ドライブに飽きたわけじゃない。飽きたわけじゃないが俺は三宅坂ジャンクションから首都高を出て、一般公道に出ていた。

俺「何かギスギスしちまったな」

朝田「別に構いません、貴方と穏やかに接する意味なんてありませんから」

俺「良いのかよ?あの遠藤とか言う仲間――じゃなくてパシリにされてるJKに俺と上手くやるように言われてるんだろ~?」

俺が楽し気に話しかけるのに対して、朝田は相変わらず連れない態度だ。俺は近くでコンビニを見つけて一度コンビニの駐車場でJリミテッドを駐車させる。
そして、もう既にSAO事件に巻き込まれる前から、小学校の高学年くらいの頃か使い続けているプリペイド式の旧式のスマホを取り出して検索を開始する。

俺「待ってろ、この辺りに短時間で安く部屋を借りられるホテルはっと――」

朝田「待って・・・ホテルって何?」

俺「あん?ホテルはホテルだよ、ラブホくらい知ってるだろ?高校生にもなりゃ」

俺があっけらかんと簡単にそう言い切ると、やはりこいつもその辺は年頃の、男遊びの経験が殆ど無い初心な年頃娘らしく頬を分かり易い程に赤く染めて、恥じらいを露わにしていた。

朝田「聞いてないわよ!会って一時間か二時間そこらでホテル・・・・・!?そんなのあり得るわけないじゃない!!」

俺「お前にとっちゃあり得ねぇかもしれねぇが、俺はこんなの珍しくも何ともねぇよ、小6の頃からやってる事だしな」

朝田「しょ、小6からって・・・・・」

まるで別世界、朝田は信じ難い、男を見るかのような視線を俺に向けていた。だが、それでも俺は構う事無く、朝田の白い小さな手を軽く掴み、囁くように語り掛ける。

俺「お前だってさ・・・ここで俺の携帯の番号くらいは聞き出さなくちゃ後であの遠藤とか言う奴になにかされるんじゃねぇの?」

朝田「そんなの・・・アンタには関係ない・・・・っ!」

俺「あの執念深そうな女とその取り巻きにこれ以上何かされねぇように、たまにはポイント稼ぎガテラによ・・・・別にそんな怖い事じゃねぇって。誰だって遅かれ早かれ誰とだって何べんもやるようになる事なんだぜぇ」

実際の所、俺からしてみれば信じ難い事に、成人年齢である18過ぎにもなって自分はまだやった事がない、などと平然と認める奴が男女を問わずにザラにいるのが現代日本の嘆かわしい惨状でもあるのだが、朝田が俺の『小6からやってる』発言を信じられないと言わんばかりの目付きで疑ったのと同じように、俺からしてみればいい歳してそんな経験の一つや二つも無い奴らの方が逆に信じ難いもんだ。

俺「別に俺はアイツらの相手なんてなんともねぇって、見た目からして全然好みじゃねぇ連中だけどな。アイツらだってなにも俺一人に固執してるわけじゃねぇだろうし、他に女に飢えてる男の知り合いの一人か二人でも紹介してやり過ごすつもりだから気にするなって」

俺は出来る限りの穏やかな笑顔――もとい愛想笑いを浮かべて朝田に対してそう言ってやったが、既に朝田の目付きは無関心を通り越して嫌悪感を微塵も隠さぬ形相と化していた。

朝田「クズ・・・っ!アンタに助けてもらおうなんて微塵も思って無いわ!」

最後の朝田は俺をクズと罵り、乱暴にJリミテッドの助手席側のドアを開けてそのまま車を後に一人で歩き去って行った。

俺「知らねぇぞ、明日からあの女どもになにされたってな・・・」

既に声の届かない距離まで遠退いた朝田に対して俺はそんな独り言を口にしていた。少し惜しい事をしてしまった気もするが、別に俺だってあの女一人にこだわる必要も無いので逃げる女を無理に追う事も無かったのだった。 
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