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ソードアート・オンライン~遊戯黙示録~

作者:マローン
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FILE212 現われし孤高の女スナイパー

妊娠騒動(でっち上げ)から数時間後、俺は再びGGOにフルダイブしていた。

俺「女難の相って奴なのかねぇ・・・」

スネーク「急に遠目をして何を言ってる・・・?」

俺の独り言に対してスネークが、つぶらな瞳を呆れ眼に変化させてそう言った。テディベアには分かるまい、今月に入ってからというもの、女絡みのトラブル、騒動、不幸、それらがまるで俺をピンポイントで狙っているかのごとく襲い来る苦悩を。

スネーク「何があったかは知らんが、若いうちはそれ相応に多感な年齢だからな、周囲の付き合いのある人間も同年代が多い以上、色々とあるだろうさ」

俺「アンタ、年幾つだよ・・・」

その哀愁を帯びた声色もそうだが、この見た目は女子供が悲鳴を上げて抱きしめそうな程に愛らしい姿のテディベアは発言が一々大人びてると言うか・・・もといおっさん染みてやがる。

スネーク「本来、VRMMOで個人に関する情報の話し合いはマナー的に関心はしないがな・・・」

そう言いながら、葉巻を吹かす姿もまた一々、年齢を感じさせる仕草だった。

スネーク「ギリギリで昭和生まれとだけ言っておこう」

昭和生まれ・・・遥か昔に終わりを告げた年号の時代に生れである事をあっさりと明かしたスネークに俺はある程度予想しつつも、まさかそれ程の年齢とは思い思わずスネークの方に視線を勢いよく向けていた。

俺「昭和って・・・確か63年・・・1988年までだったよな?」

スネーク「正確には64年の1989年までだな。昭和最後の年は僅か7日間で終わったから、今の若い者達は誤解してる事が多いがな」

仮にこいつが昭和63年・・・1988年生まれだったとしても、今は2025年の12月だからおおよそ最低でも37歳以上って事になるのかよ・・・・

スネーク「いい歳して、VRMMOかよ・・・とでも言いたいか?」

俺「いや、別にVRMMOに年齢なんて関係ねぇよ・・・」

ぶっちゃけ、俺の知り合いのVRMMOゲーマーでは最年長記録更新だがな。

スネーク「ふん、このガンゲイル・オンラインの他のプレイヤーが俺よりも一回り以上若い奴らばっかりだって事くらいは分かってる。ただ俺の場合・・・銃を持つ生活から離れられないと言うか・・・」

俺「なんだそりゃ?日本に居て銃を持つような生活してる奴なんてそうそういないはずじゃねぇのか?」

どこか懐かしそうな、渋い声で静かなトーンで発したスネークの台詞はそれ以上は続かず、すぐに狩りに出発すると言い放ち、そのまま俺とスネークは再び圏外に向かうのだった。


※ ※ ※


空中を飛び廻り、時折地上のプレイヤー達に急降下からの突進攻撃を仕掛けてくるのは全長1メートルほどはある巨大な蜂型のモンスターだった。

相変わらずこのデカい蜂に限らず・・・虫や動物や各放射能による突然変異や最終戦争時に遺伝子操作によって生み出された生物兵器とか言う設定で済まされるらしいが・・・ひとまずデカい蜂が巨大な針で俺を刺そうと突進して来たので、俺はスグに腰に差しているブラックニンジャソードを抜刀の要領で振り払い、鉢の胴体に斬り込みを加えていた。

するとそのダメージによる反動で蜂は後方に大幅に吹き飛んでいた。

俺「もう一丁!」

攻撃の手を緩める事無く、こっちから比較的地上に近い高度で辛うじて宙を飛ぶ鉢に追撃の攻撃で上段から真っ二つに斬撃をお見舞いし、蜂はそれが止めとなり、胴体が真っ二つになり四散していた。

スネーク「相変わらず、銃がメインのGGOで刃物類を良く使うな・・・」

俺「お、そっちも片付いたか」

スネークはスネークで、大型の鎌を振り回すカマキリモンスターを殲滅したところだった。この辺りはとにかく巨大化した昆虫型モンスターが多く、これもこのGGOで女性プレイヤーが少ない理由の一つじゃないかと俺は何となく思っていた。

俺「俺なりに使い分けてるんだよ、敵が遠距離にいるうちはAKS-74Uで、至近距離に迫ってきたらブラックニンジャソードって感じにな。そうする事で弾薬の消費も抑えられるだろ?」

スネーク「ほお・・・確かに弾薬に限りのある実銃はいざと言う時に弾切れでリロードしている余裕も無い時もまちまちにあるからな・・・お前さんの戦闘スタイルの傾向とは言え、それなりに理に適っているのかもしれんな・・・」

それからも俺達は昆虫モンスターがはびこる森林地帯での狩りを続行。蜂、カマキリ、軍隊アリ、挙句の果てにゴキブ・・・・ゴキボールという名称のモンスターも始末しまくっていた。

スネーク「中々の稼ぎになって来たな、一旦グロッケンに戻るべきかもな」

俺「他のプレイヤーの集団に儲けを横取りされない為か?」

スネーク「ああ、GGOの世界で圏外で他のプレイヤーと出くわせば、大抵は撃ち合いになるからな」

SAOもALOそうだったが、このGGOも圏外に置いては完全にPK推奨で、圏外で他のプレイヤーをPKする事により、そのプレイヤーが所持している(クレジット)だけでなく、所持している一部のレアアイテムをドロップする可能性も有り得る為、それもリアルマネートレードシステムと並び、プレイヤー間の摩擦を強くする要因の一つとなってるのだろう。

俺達はなるべく他のプレイヤーの集団に見つからない内にグロッケンに戻る為に周囲を警戒しつつ、急ぎ足で移動していた。
AGI(素早さ)のステータスは俺の方が高いので俺が全速力で走ればスネークを徐々に引き離してしまうが・・・流石にそれはGGOにフルダイブして日の浅い俺にとってはグロッケンに戻るのが難しくなりそうだ。
なのでスネークの移動速度に合わせて走り、徐々にグロッケンが近づいてきた。

俺「そろそろ休めそうだな。換金できるアイテムは換金して、弾薬でも買っておくとしようぜ」

なにぶん結構な長時間の狩りをした後なので俺もスネークも残りの弾薬が心許ない―――

スネーク「オズマ、目の前の岩壁に隠れろぉぉっ!!」

俺「!?――分かった!」

急にスネークの緊張感を露わにした怒声に俺は只ならぬ事態が起きたと察し、言われた通りに左前方に見えていた岩壁の後ろに身を隠すと―――

ガガガガガガッ!!

それはアサルトライフルと思わしき銃声だった。そしてさっきまで俺が立っていた、俺の足跡が残されたいた場所に無数の銃弾が撃ち放たれていた。

スネーク「待ち伏せか・・・・!俺が双眼鏡で敵の人数と武器を確認する!その間に囮を頼むぞオズマ!」

俺「さらっと酷な事を・・・っ!」

と、愚痴を零しつつも俺は仕方がなく、一度、岩壁から身を乗り出すと再び無数の銃弾の嵐の銃声が轟音として響き渡っていた。

俺「なんっつう連射・・・いったい何人いやがるんだ・・・っ!」

だが、その無数の銃弾の精度はそれ程脅威ではないようだ。俺が少し岩壁から身を乗り出した際に放たれた銃弾の嵐の内、比較的俺の身に当たりそうな弾丸はほんの一、二発程度に過ぎなかった。だが、下手な鉄砲も数打てば当たるという奴か?

弾丸の一発が俺の脇腹を撃ち抜き、HPが減少すると同時に撃たれた部分が一時的に欠損状態と化していた。

スネーク「オズマ、もう一度隠れろ!」

俺「なんか分かったのか!?」

ただでさえ小柄なスネークがほふく前進で歩くと、遥か遠方の敵達にはロクに見えてはいないだろうな。
スネークはほふく前進の状態で俺の傍まで近づき、双眼鏡で敵を観察して知った情報を伝える。

スネーク「中々じっくりと観察してる余裕は無かったが、数人のメンツは確認できた。あれはダインのスコードロンだな」

俺「そいつはどんな奴なんだ?」

スネーク「ダインは前回のBoBにおいて本戦出場を果たし18位の記録を残したGGOのトッププレイヤーの一人で、スコードロンのリーダーも務めている」

それなら12位のスネークよりは下位のランキングだがそれでも相当な実力者である事は察する事が出来る。

スネーク「ダインのスコードロンは対人メインと自称してはいるが・・・俺が見る限りでは実際には、確実に戦力で優位に立てる相手を狙い、少しでも不測の事態が起きれば即座撤退の安全第一のスコードロンだな」

俺「なら、俺等が狙われるのも合点がいくな、なんたって見た目(ビジュアル)がヒキニートとクマのぬいぐるみだからな」

俺が自虐的に笑みを浮かべながらそう言うが、スネークの表情はクマのぬいぐるみとしては険しいままだった。

スネーク「余り笑ってはいられないぞ。奴のステータス値と、レア武器のSOG SG550アサルトライフルの吐き出す五・五ミリ弾威力はバカに出来ないぞ・・・っ!」

俺「経歴や武器は凄くたって、根本的には少しでも不測の事態が起きれば撤退してくれる安全第一の集団ならそれに越したことはねぇだろ。俺達だって今の弾薬で長期戦なんてやってられねぇんだしよ」

スネーク「そうだな、俺達が少ししぶとく抗戦して、それで敵が早期に撤退してくれればそれで良いが・・・・そうならない場合は何とか戦いを回避してグロッケンを目指したいもんだな―――!?」

俺「こ、これって弾道予測線(バレット・ライン)・・・・!!」

狙撃か!?と、思った瞬間にはスネークの小柄な背中を一発の弾丸が貫通していた。


弾道予測線(バレット・ライン)とは・・・・GGOにおける防御的システムアシストであり、銃撃者が銃の引き金に指をかける事により発生し、被銃撃者の視界に赤い輝線として自身を狙う銃の弾道が表示され、これを避けることで現実の銃撃戦より各段に容易に銃撃を回避することが可能なのであった! by立木ナレ

俺は赤いバレット・ラインが一瞬表示された方角に向けてAKS-74Uを10発ほど乱射するが、有効射程が200メートルほどしかないこのアサルトカービンではまず狙撃手に当たる事は無いだろう。おそらく狙撃手はこの銃の有効射程の数倍以上離れた距離から一発の弾丸を確実にスネークに直撃させたのだろう。

俺「まだ辛うじてHPは残ってるな!?とにかくここにいたんじゃまた何時狙撃されるか分かったもんじゃねぇ!」

俺は腹部に巨大な穴をあけた状態のスネークの丸っこい腕を掴みその場から全力疾走する。狙撃手(スナイパー)と言うのは基本的に一発撃ったら、その狙撃ポイントから早急に移動するのが上等手段らしく。
撃たれたターゲットが辛うじて生きている上に、仲間がいるこの状況では猶更だろう。事実俺はダインとか言う連中以上の狙撃手を倒さなければここを突破する事も叶わないと判断して索敵スキルを使いながらスナイパーが狙撃した方角に向かって走っていた。

スネーク「この正確無比な精度の狙撃・・・そしてあの銃声・・・まさか奴が、ダインのスコードロンと組んでいたとはな・・・完全に想定外だった!!」

スネークにしては珍しく、本気で悔しがっているような口調と声色だった。

俺「そのスナイパーもGGOじゃ有名なプレイヤーなのか?」

スネーク「ああ、奴も前回のBoBで本戦出場を果たした孤高の女スナイパー・・・・他に使い手がほぼ皆無に等しいと言われる威力・射程共に破格のスペックを誇るアンチマテリアル・ライフルの一種、PGM ヘカートⅡを使うシノンだ!」

孤高の女スナイパー、ヘカートⅡの使い手シノン・・・・!一度に前回BoB本戦出場を果たした強豪プレイヤーを二人同時に対峙し、オズマとスネークは窮地に陥るのであった! 
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