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ロックマンX~Vermilion Warrior~

作者:setuna
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第17話:Sigma Palace

シグマパレスと呼ばれるシグマのアジト付近に来ていたエックス達は崖の上からシグマパレスの様子を伺う。

「あのメカニロイド暴走事件からとうとうここまで来たね。エックス、ゼロ…長かったよ」

シグマのイレギュラー化から、そんなに経っていないはずなのに随分長い時間が過ぎた気がする。

「ああ、シグマを倒して平和を取り戻さなければ」

「焦る気持ちは分かるが落ち着けエックス。思っていたよりも守りが固そうだ。よし…エックス、ルイン。敵を分散させよう。それぞれ別ルートで侵入だ」

「分かった。後で合流しよう」

「行こう!!シグマの居城に殴り込みだよ!!」

「ああっ!!」

ルインの言葉に頷き、疾走するエックス。

シグマに最後の戦いを挑むべく、シグマパレスの最深部に向けてエックスはゼロとルインと共に平和を取り戻すための第1歩を踏み締めた。

エックスは左のルートから侵入し、ゼロは真ん中、ルインは右のルートから侵入する。

「(いよいよ最後の戦い…この城の奥にシグマとVAVAがいるだよね…)」

そう思えば嫌でも気が引き締まるのを感じる。

シグマもVAVAも人類に反旗を翻した元特A級ハンターのイレギュラーの中でも最強クラスの実力者だ。

敵の執拗な攻撃を掻い潜りながらルインはシグマパレスの内部に潜入を果たしていたが、途中でメカニロイドや元ハンターであったレプリロイドの妨害を受ける。

「イレギュラーハンターのルインだ!!特A級のルインが現れたぞ!!」

「取り囲め!!絶対に逃がすんじゃない!!いくら相手が特A級だろうと数はこちらが上だ!!怯むな!!」

朱いアーマーを纏うルインはとにかく目立つ。

そんな彼女の出現にシグマパレス内部を警備していたレプリロイドやメカニロイドは一斉に群がり、ルインが移動する方向に次々と姿を現していた。

「数だけ多くいたって無駄だよ!!」

ZXアーマーからHXアーマーに換装し、ダブルセイバーをチャージする。

「プラズマサイクロン!!」

セイバーを交互に勢いよく振るうと電磁竜巻が2つ発生し、多くのレプリロイドとメカニロイドを巻き込んで切り刻んでいく。

「何をしている!相手はたったの1人だ!!利点である数を活かせ!!これだけの数が相手では例えルインでも為す術などない!!かかれえ!!」

「為す術がない?それはどうかな?フリージングドラゴン!!」

次はLXアーマーに換装したルインがハルバードをチャージして氷龍を召喚し、繰り出す。

極低温の氷龍に触れたレプリロイドとメカニロイド達は瞬く間に凍結していき、間もなく砕け散った。

「な、何て強さだ!!奴は化け物か!!?」

イレギュラーハンター最強部隊とされる第17精鋭部隊に配属され、ハンター試験ではゼロに次ぐ成績を叩き出し、それに恥じぬ圧倒的な戦闘力を誇る特A級ハンター・ルイン。

アーマーを換装することによりあらゆる局面に対応出来るようになったことでその強さには更に磨きがかかっている。

「ほらほらどうしたの!?シグマの居城の防衛隊の力はこの程度なの!?それから一度に襲い掛かるなら最低10人くらいにした方がいいんじゃないかな!?」

ハルバードを巧みに扱いながら、メカニロイドを斬り捨てるルインに指揮官のレプリロイドが更に指示を飛ばす。 

「ライドアーマー部隊出撃!!侵入者を破壊せよ!!」

即座に姿を現す数十体にも及ぶライドアーマーの大軍がルインを取り囲む。

「これまでだルイン。これだけの数のライドアーマーが相手ではいくら特A級ハンターでも打つ手はあるまい」

嘲笑うように言う指揮官レプリロイドにルインは呆れたように言う。

「今更ライドアーマーなんか出されてもね。これよりもずっと強力なのと戦ったことがあるよ…メガトンクラッシュ!!」

FXアーマーに換装するのと同時にナックルバスターをチャージし、パンチと火炎弾を叩き込んで吹き飛ばす。

「ダブルグラウンドブレイク!!」

次にチャージした二丁のナックルバスターで地面を殴り、2つの火柱が複数のライドアーマーを飲み込んで粉砕していく。

更にPXアーマーに換装して天井に張り付くと無防備な操縦者に向けてクナイを放ち、頭部をクナイで貫かれたライドアーマー部隊は機能停止する。

そして機能停止した操縦者を放り出してライドアーマーに乗り込むと、防衛レプリロイドにライドアーマーのパンチを喰らわせた。

「あ、悪魔かあいつは!?」

数をものともせずにこちらを蹂躙していくルインの姿に戦慄が走る。

「ま、まるで歯が立たん!!つ、強すぎる!!」

「こ、こうなったら一斉攻撃に賭けるしか…!!」

「ハッ…止めとけ、無駄なことはな…」

「何!?今言った奴は誰だ!?」

防衛隊の指揮官レプリロイドが振り返った瞬間に誰もいない場所から凄まじい火力が防衛隊を襲い、瞬く間に殲滅する。

「…カメリーオの電磁迷彩を使っているようだけど場所は分かっているよVAVA」

「そのアーマーのスコープ能力か…便利な物だな。まあいい。エックスもシグマもルイン達も…全員俺の獲物だ。誰にも渡さん!!」

電磁迷彩を解除すると肩部、腕部、脚部の兵装を展開しながらルインを見遣るVAVA。

「VAVA…」

「とうとうここまで来たかルイン…俺はこの日を待っていた。シグマの掌の上で踊らされている屈辱に耐えながら力を蓄え、お前達とシグマを倒せるこの日をな」

「…そう、楽しみにしていたところで悪いけど、ここは通してもらうよ」

「ここから先に行きたいのなら俺を倒してみるんだな」

「勿論、そうさせてもらうよ!!」

ルインはZXアーマーに換装するのと同時にチャージを終えたZXバスターを構えてチャージショットを放つ。

「ナーバスゴースト!!」

ルインのチャージショットとVAVAのナーバスゴーストがぶつかり合い、初撃は相殺される。

「ドラゴンズワース!!」

弓なりにカーブする特殊な軌道のロングレンジバーナーをルインは何とかかわし、セイバーに切り替えてチャージセイバーを繰り出そうとするが、VAVAはルインの腕を左手で掴む。

そして右の拳をルインに向けた。

「スポイルドブラット!!」

攻撃力はロケットパンチ系の兵装の中で最弱だが連射が利き、威力を手数で補えるロケットパンチを至近距離でルインに連続で喰らわせる。

「あぐっ!!ガハッ!!」

腕を掴まれているために逃れることも出来ないルインはVAVAのロケットパンチのエネルギーが尽きるまで喰らい続ける。

「おらよ!!」

そして勢い良くルインを投げ飛ばし、キャノン砲をルインに向けた。

「ロングショットギズモ!!」

キャノン砲から一度に5発のキャノンを連射し、それらを全てルインに直撃させる。

「う…っ」

セイバーを杖代わりにして立ち上がるルインにVAVAは笑みを浮かべる。

「ククク…そうだ、それでいい。始まってすぐ終わりじゃあつまんねえもんなあ!!ピースアウトローラー!!」

「っ!!」

地面に着弾後、2発に分裂して直進する電撃のエネルギー弾を放つ。

それはかなりの速度で動けないルインに向かっていき、彼女に直撃した。

「何だ…もう終わりか?お前が大して成長していなかったのか…それとも俺が強くなりすぎたのか…」

拍子抜けしたような感じのVAVAだが、爆煙から聞こえてきた声に身構えた。

「まだ終わらないよVAVA…」

ルインはエックスから預かったサブタンクでエネルギーを回復させると換装したLXアーマーのハルバードを向ける。

「何?あれを受けて大してダメージを受けていないだと?」

「私の各属性のアーマーにはある属性に対して高い耐性を持ってるんだ…さっきの電撃ならLXアーマーで耐えられる。」

「…なるほど…そうこなくちゃ面白くない……」

自身の攻撃を耐えられたにも関わらず、VAVAは笑みを浮かべる。

「行くよ!!」

ハルバードを構えてVAVAに斬り掛かるが、それをVAVAは跳躍することで回避し、至近距離専用のバーナーであるグリーンアイドランプを放つ。

即座にルインは耐炎性能を持つHXアーマーに換装してバーナーを耐える。

「プラズマビット!!」

チャージしたダブルセイバーを振るって電撃弾を放つがVAVAはバンピティブームで相殺する。

「ディスタンスニードラー!!」

腕部のバルカンから氷属性の弾を撃ち出すが、ルインも耐氷性能を持つFXアーマーに換装することで対応する。

「メガトンクラッシュ!!」

ディスタンスニードラーに耐えるとチャージしたナックルバスターによるパンチと火炎弾を喰らわせる。

「ぐっ!!」

フローズンキャッスルの氷の膜で火炎弾の熱とパンチの衝撃をいくらか軽減出来たとしてもまともに受けたVAVAは膝をつく。

「喰らえ!エディットバスター!!」

ルインはナックルバスターのショットを連射し、VAVAに何発も喰らわせていく。

爆煙がVAVAを包み込むが、そんな簡単に終わるはずがない。

「ファットボーイ!!」

キャノン砲からキャノン系単発の中で最強の攻撃力を誇るキャノンを放ってルインに直撃させる。

「ぐっ…メガトンクラッシュをまともに受けてまだ動けるなんて……」

流石VAVAだと胸中で敵を称賛するルイン。

「けどこれで終わりだよ!!」

ZXアーマーに換装したルインがチャージを終えたセイバーを構えて突っ込む。

「ふん、甘いな…」

脚部の兵装から放たれる青いバーナー。

「またバーナーか!!」

即座にHXアーマーに換装して防御体勢に入るが…。

「う…ああああああ!?」

全身を襲う熱ではなく極低温の冷気であった。

「シードラゴンズレイジ…極低温の冷気を放つバーナーだ。そのアーマーに耐性のない氷属性の兵装だ。流石に効くだろう?」

「ぐっ、この!!」

即座にFXアーマーに換装することで何とか耐え抜いてナックルバスターをチャージをする。

「バックショットダンス!!」

ばら撒くタイプのバルカンを放ち、メガトンクラッシュの射程範囲に入らないようにルインと距離を取る。

「フリージングドラゴン!!」

メガトンクラッシュを当てられないと判断したルインはLXアーマーに換装してハルバードのチャージを終えると氷龍を召喚する。

「グリーンアイドランプ !!」

至近距離専用のバーナーで氷龍を一瞬で蒸発させ、ルインに向けてロケットパンチを放つ。

間一髪それをかわすが、パンチはルインを追うように動き、ルインの側頭部に直撃する。

「あぐっ!?」

「インフィニティーギグの性能を忘れてもらっては困るな」

「負けられ…ない…!!私は…負けない!!」

ZXアーマーに換装してセイバーで斬り掛かる。

刺し違えてでもこいつを倒すというその意志を持ってVAVAに斬り掛かるが、VAVAは余裕の笑みを持って構える。

「バーニングドライブ!!」

自分の周りの酸素を消費して周囲を強大な炎で包み込み、殆んど特攻に近い状態だったルインはそれに飲まれてしまう。

「ーーーーーーーッ!!!!」

まともに受けたルインは声にならない悲鳴を上げると意識が一瞬飛んだ。

「ゴールデンライト!!」

その隙を逃さず至近距離専用のロケットパンチをルインに向けて放った。

「あ…ぐっ…!!」

それは無防備なルインの腹部を穿ち、風穴を空けた。

「ネクロバースト!!」

とどめとばかりに広範囲に電撃波を放つVAVAのレーザー系最強の兵装・ネクロバーストが炸裂する。

直撃を受けたルインの視界がブラックアウトする。

その頃、別ルートでシグマパレスの防衛隊の相手をしていたゼロは奥からした凄まじい轟音に目を見開き、嫌な胸騒ぎを感じて駆け抜ける。

「ルイン!!」

辿り着いた先には腹部に風穴が空き、アーマーには凄まじい裂傷が入って体から火花が出ているルインの姿と、それを嘲笑うような笑みを浮かべてゼロを見つめているVAVAの姿があった。

「ほう、ゼロ。雑魚相手に随分と遅かったじゃねえか?ルインは俺と遊び疲れておねんねしちまったぜ?」

「貴様、よくも!!」

ルインがやられたことに怒りを覚えるゼロはチャージを終えたバスターをVAVAに向ける。

「そうだな、お前は自慢の愛機であるこいつで遊んでやるよ」

VAVAがパチンと指を鳴らすと天井から漆黒のライドアーマーが降ってくる。

「ライドアーマーだと!?今更こんなガラクタが通用するか!!」

ゼロがライドアーマーに乗ったVAVAごと破壊せんとばかりにチャージショットを放つ。

しかしライドアーマーのマニュピレーターがゼロのフルチャージショットを弾く。

ゼロ「何だと!?」

「無駄だ!!このライドアーマーにはビームコーディングが施されている!!例えお前のチャージショットだろうと通用しない!!」

「なら直接攻撃で破壊するまでだ!!アースクラッシュ!!」

エネルギーを収束させた拳をライドアーマーに叩きつけようとするが、VAVAはそれに対して余裕の笑みを浮かべる。

「甘いな」

「なっ!?」

突き出されたゼロの拳をライドアーマーとは思えない速度で軽やかにかわすVAVA。

「忘れたかゼロ?ライドアーマーを初めて実戦で使ったのは誰だと思ってやがる?他でもないこの俺だ!!」

VAVAは易々とゼロの背後を取ると、ライドアーマーのパンチでゼロを吹き飛ばした。

通常のライドアーマーよりも遥かに高い出力を誇るパンチを受けたゼロは壁に叩き付けられる。

「どうしたゼロ?もう終わりか?これくらいで終わったら俺としても拍子抜けも良いところなんだが?」

ライドアーマーのコックピットからVAVAはゼロを嘲笑いながら見下す。

何とか立ち上がるが、防衛隊のライドアーマー部隊の奴らとは動きが桁違いだ。

本来土木工事用の機械に過ぎなかったライドアーマーのパワーと汎用性に着目し、日々の任務の中で自らその性能を実証する事で兵器としてのライドアーマーの有効性を世間に示した第一人者として、VAVAのライドアーマーの操縦テクニックはそれこそ他の追随を許しはしない。

「チッ…」

「クックック…さあ、ルインのように楽しませてくれよゼロ!!」

「VAVAーーーーッ!!!!」

露出しているVAVAを捉えるがゼロの放ったショットはコックピットの電磁バリアにより阻まれてしまう。

「っ!!」

「俺がライドアーマーの弱点をそのままにしておくと思ったかい?阿呆が」

ライドアーマーのパンチのラッシュをゼロに浴びせる。

「ぐああああ…っ!!」

「終わりだなゼロ…流石のお前も俺と特別チューンされたライドアーマーの組み合わせには敵わなかったようだな」

アースクラッシュやチャージショットが効かないことを思いしらされたゼロには反撃の術など何も無い。

VAVAのライドアーマーのラッシュを受け続けて壊れた人形のように宙を舞い続け、そしてとうとう力無く床に倒れ伏した。

「ぐっ…」

「おいおい死ぬなよ。お前とルインにはまだ生きてもらわなきゃ困るんだよ」

ゼロをカプセル型の装置に放り込んで動きを封じる。

「そこで眠っていろ。後でゆっくり解体してやる。あいつの本気を引き出すには痛めつけられた仲間の姿を見せるのが1番手っ取り早いからな。ましてそれが親友であるお前とあいつならば尚更だからな…クックック…早く来いエックス…血祭りに上げてやる…」

VAVAの狂ったような笑いが部屋に響き渡る。

そしてエックスは防衛隊と今まで倒してきた特A級ハンター達のデッドコピー、そして大型のメカニロイドを破壊し、ようやく奥まで来た。

そこにはカプセルのような装置に動きを封じられたゼロと中破しているルインの姿があった。

「ゼロ!!ルイン!!」

酷く傷ついた仲間達にエックスは駆け寄ろうとする。

「エッ、クス…来る…な…これ…は、罠…」

「え…?」

ゼロの制止を理解する前に電磁迷彩で隠されていたライドアーマーのマニュピレーターがエックスの体を掴む。

「ぐっ!?」

「クックック…間抜けだなエックス、シグマや目の前のことばかりで周辺の警戒が疎かになっているからこうして敵に足元を掬われるんだ。」

「VAVA…貴様…!!」

「おいおい、どうしたエックス?ルインとゼロが俺に痛め付けられたんだぞ?悔しくないのか?俺が憎いと思わないのか?悔しいと…俺を憎いと思うならお前の真の力とやらを見せてみろ!!」

ライドアーマーのマニュピレーターがエックスを握り潰そうと、力を込めていく。

「ぐわああああああ!!!!」

エックスの絶叫が部屋に響き渡る。

老人から与えられた強化アーマーによって嘗ての時とは比較にならない程の防御力を得たが、それはこの状況では苦しみの時間を伸ばす物でしかなかった。

「エックス…!!」

激痛に震える体を叱咤し、起き上がろうとした時にゼロよりも先に行動を起こした人物がいた。

それはライドアーマーの背にしがみつき、エックスを救出する。

「ルイン!?貴様まだ動けたのか!?ええい、離れろ!!」

ライドアーマーを動かし、ルインを振りほどこうとするが、ルインはライドアーマーにしがみついてライドアーマーのビームコーティングを施されていないバーニアにバスターを向け、チャージする。

それを見たエックスとゼロが叫んだ。

「止せルイン!!そんな至近距離で撃ったらお前まで巻き添えを喰らうぞ!!」

「ルイン!!」

「ごめん…エックス、ゼロ……負けないでね」

そのままチャージショットが放たれ、ライドアーマーのバーニアに炸裂した。

直撃を受けたバーニアから誘爆を起こしてライドアーマーは大破し、エックスとゼロは両腕が肩から吹き飛んでアーマーがボロボロになったルインがまるでボールのように吹き飛んでいくのを見た。

倒れ伏す彼女の姿を見た瞬間、エックスの表情は凍りついた。

「あっ…ああ…うあああぁっ!!」

エックスの双眸からとめどめなく涙が溢れ出し、エックスは急いでルインの元に駆け寄る。

「しっかり…しっかりしてくれルイン!!」

「エッ、ク…ス……ごめ、ん…ね…一緒に…戦えなくな…っちゃった…」

「もう喋らないでくれルイン!!直ぐに…直ぐに治療を…」

「そん、な…暇はない、よ…エックス…まだ…VAVAは…倒れて…ない…」

「何!?」

エックスがライドアーマーの残骸の方を見遣ると、爆発に巻き込まれたにも関わらず無傷のVAVAが現れた。

「馬鹿な奴だ。早まった真似をしなければまだ長生き出来たものを……無駄死にしやがって」

「何だと…!!」

「ルインが命を懸けたというのに…それを!!」

彼女の行動を侮辱する発言にエックスとゼロが怒りに震える。

「何度でも言ってやる。そいつはただの無駄死にした負け犬だ」

その一言はエックスを激怒させるには充分すぎた。

「VAVA…お前だけは許さない!!」

ヘッドパーツのクリスタルが光り輝き、蒼い光を身に纏うエックス。

その時、バスターの内部で何か外れたような気がしたエックスはチャージを終えたバスターをVAVAに向ける。

「スパイラルクラッシュバスターーーッ!!!」

バスターから放たれたのは今までのスパイラルチャージショットとは桁違いの出力で、それはエックスの背後にも衝撃波を発生させる程だ。

「くっ!!」

凄まじいエネルギーに戦慄したVAVAは跳躍してかわす。

スパイラルクラッシュバスターはシグマパレスの壁をぶち抜き、その威力はゼロですら絶句するほどだ。

「……これがお前の真の力というわけか…」

かつてのシグマの言葉に感じ取るものがあった。

なるほど、確かに違う。

VAVAの知る今までのエックスは、ただの悩んでばかりの甘ちゃんハンターだった。

高い実力を秘めながら、持てる力を使おうとしない戦士の風上にも置けぬような腑抜けだった。

見定めなければ、今のエックスの力がどれ程のものかを。

「ふふふ、これだ。この時を待っていたぜエックス!!お前の真の力を見せてもらうぞ!!」

拳を握り締め、一気にエックスに肉薄するVAVA。

VAVAの兵装で最強の攻撃力を誇るロケットパンチ・ゴールデンライト。

その一撃がエックスに向けて繰り出されたが、エックスはそれをエネルギーを収束させた左の拳で打ち砕く。

「チッ!!」

肩部のキャノン砲からネクロバーストを繰り出そうとするが、それよりも早くエックスが動いた。

「(速い!!)」

あまりの速さに対応出来ず、エックスにキャノン砲を握り潰されてしまう。

そしてVAVAへと向けられるバスター。

「終わりだVAVA!!スパイラルクラッシュバスターーーーーッ!!!!」

秘められた力を解き放ったエックスのバスターから放たれたスパイラルクラッシュバスターはVAVAを容易く飲み込み、シグマパレスの頑丈な壁を幾重にも貫き、紅い閃光が海を引き裂いた。

あれを受けて生きているレプリロイドなど存在しないだろう。

こうして圧倒的な力でエックス達を苦しめたVAVAは死んだのだ。 
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