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この素晴らしい世界に文明の鉄槌を! -PUNISHMENT BY SHOVEL ON THIS WONDERFUL WORLD!-

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三丁

「ねぇにゃんにゃん。学校には通わないんですか?」

「えー…? だって通う必要ないし。アークウィザードなんてネタ職につく気ないし…」

隣の家に行って、めぐみんに弁当を渡した。

俺の日課だ。

「ところでにゃんにゃん」

「んだよ」

「あなたって私達が学校に行っている間どこで何をしているんですか?
妹に聞いても貴方は毎日私が下校するまで戻ってこないそうですが」

え?そりゃお前…あれだよ、ほら…

「秘密の特訓って奴だよ」

「………………」

「いや…そんな疑わしげな目で見られても」

秘密の特訓は秘密の特訓だし…

「まぁ、いいです。でも、今度聞かせてくださいね」

「おう。わかってるよ」

学校へ向かうめぐみんを見送った俺は、中級魔法インビジブルを発動する。

簡単に言えば透明化魔法だ。

結界を張って中を見えなくする光属性の魔法。

因みにこの前光の屈折の方向を変更できるか実験したらレーザーになった(被験者、クソザコブロッコリー)。

そして俺が向かったのは、里の北東にある地下格納庫の入り口だ。

策敵スキル全開で周囲を探り、誰もいない事を確認して、パスワードを…というかコマンドを打ち込む。

ゴンゴン…と扉が開き、その中の体を滑り込ませ、即座に閉める。

「さて、『お勉強』の時間だ」

魔法で灯りを灯し、奥へと歩く。

そこには埃を被ったゲーム機やらパソコンやら何やらが散乱している。

それらを見送り更に奥へ行くと、ファイルの並ぶ本棚がある。

まるで日本のオフィスのように整頓された場所だ。

「さて…今日は魔導生物関連の続きだな…」

数冊のファイルを取り出して、デスクに広げる。

ここは、ある転生者が作ったラボだ。

転生特典で何を選んだのかは知らないが、オーパーツをいくつも作ったバカの居城だ。

魔導機械からキメラやらの論文までもファイリンクされた書庫。

数々の浪漫兵器。

大量のゲーム機。

ここは天国だ。

だが今日は遊ばず、少し使い魔について調べる事にした。

ファイルを読み進めると、面白い一文があった。

【ただの動物に大量の魔力を注ぎ込むと体が爆発する。体が耐えきれないからだ。
だが、もしも耐えられる体があったならば話は別である。
高い魔力の中で生まれた生物は高い魔力を持つ事が知られている。
そこで私は拾ってきた卵に徐々に魔力を注ぎ込んだ。
数ヶ月欠かさず魔力を注いだ結果、実験は成功し、通常生物とも魔物ともつかない生物ができた。
これを魔導生物と名付けることにする】

「ふむ、面白い。でオチは…」

そう、オチ。

この男は全ての実験で成功し、失敗している。

移動要塞デストロイヤーしかり。

紅魔族しかり。

ファイルとは別の手記を取り出して、該当ページを開く。

『やべぇ…鶏の卵からコカトリスが生まれた…。
でも実験は成功だ。ファイルには書く。
さて、こいつどうしよう』

「ふーん…。おもしろそうじゃん」










早速ラボから出て森へ。

狙うのは蛇の卵だ。

鶏でコカトリスができるなら、蛇の卵ではドラゴンくらい出来て然るべきだ。

「あ、一撃熊」

グルルル…と唸り声をあげる一撃熊をシャベルで一刀両断し、花鳥風月で収納する。

途中アルミラージや初心者殺しを見つけたので一撃熊と同じく殺して収納する。

森の少し深い所で、ようやく卵を見つけた。

おそらく蛇の卵だ。

まぁ、蛇じゃなくても爬虫類系ならいいんだけどね。

帰りもモンスターを虐殺しながら帰る。

くすねた卵を持って家に帰ると、中にめぐみんがいた。

「よう。めぐみん。どうしたんだ?」

勝手に入っていて、しかも居間で寛いでやがる。

「いえ…独り暮らしの筈なのにやっぱり生活感がある家ですね…」

「くく…なんだ?まるでゴーストが住んでるとでも言いたそうだな」

「………」

「おいおい、そう睨むなよめぐみん。
お前が睨んでも可愛いだけだぜ」

「なんですか貴方は口説いてるんですか」

は?口説く?

「ないない。なんでお前みたいなちんちくりんを口説かにゃならんのだ」

「いまなんていった」

「くく…拗ねた猫みてぇ…」

「にゃんにゃん。私貴方よりは体格いいですよ?」

悔しい事にめぐみんとゆんゆんは俺より背が高い。

まぁ、女子の方が先に伸びるのだから仕方ない事ではあるのだが…

「へぇ。俺に勝つ気?めぐみんがクソザコブロッコリーを倒してきたら相手してやろう」

「チッ」

うわっ!舌打ちしやがったぞこのロリ!

「ぶろっこりーですか…ニートの癖に無駄に強いんですよねぇ…」

「え?雑魚じゃんあんなの」

というか紅魔族ってほぼ雑魚なんだけど。

前口上述べてる間に近づけば一発じゃん。

口上述べた後も近づけば一発KOだし。

「はぁ…ぶろっこりーの事は置いておいて、夕飯を狩りに…」

「あ、今日はもう狩ってきたんだ。いまから捌くから待ってろ」

「え?」

獲物を取り出して捌こうとした所でめぐみんに尋ねられた。

「いや、どういう事ですか?」

「ん?少し思い付いた事があってな」

拾ってきた卵を見せる。

「ちょっと使い魔でも作ろうかと思ってこの卵を取ってきたんだ」

「卵…?」

「ああ、だから当分は家に籠りっきりだな」

するとめぐみんがばっと立ち上がった。

「私達の晩御飯はどうするんですか!」

知るか! と切り捨てる訳にはいかないんだよな…

「まぁ、そこら辺はほら。どうにかするから」

「…………ひきにーと(ボソッ)」

「よーしわかった。これからも森に行こう。
そしてめぐみんにも実戦経験を積ませてやろう。
なにすぐにレベルもあがるだろう」

「え!いやっ!まってください!
私に一撃熊やアルミラージと戦えと!?」

「くく…なに、俺のメニューをこなせば学校の奴らより二年は早く卒業できるだろう」

学校で貰えるスキルアップポーションに加え通常のレベリングも加われば50ポイントなんてすぐだろう。

まぁ、その分きついのだが。

「ぐっ…それは魅力的ですがっ…」

捌いた肉を包み、めぐみんに渡す。

「ゆいゆいさんに宜しく。あとお前の親父に爆発ポーションの増産を依頼したい」

「わかりました。貴方の頼みなら、まぁ、余程の事じゃない限り聞くでしょうね。
うちの家族は。もちろん私も」

「そうかい」

「ええ、貴方が私とこめっこの処女が欲しいと言うのなら」

「はっ…十年早い」

「なんでそんな余裕なんですか! 美少女の処女ですよ!?」

「うわぁ…ナルシストだこいつ…」

「ええ!お母さんは美人ですからね!
その娘である私が美形じゃないわけ無いじゃないですか!」

いやまぁ、確かに筋は通ってるし、紅魔族の成り立ちを考えれば『美形で当たり前』なんだけども…

「はいはい可愛い可愛い」

「ふんっ!せいぜい今内に余裕ぶっておいてください!
将来貴方が私に告白したら盛大に振って言いふらしてあげますよ!」

どたどたとめぐみんが出ていった。

「リーア。もういいよ」

近くのタンスに擬態していたリーアが蔓をしまって擬態を解いた。

「モテるわね。にゃーちゃん」

「餌付けしすぎた…」

リーアはころころと笑った。

「猫じゃあるまいし……いえ、あの反応とかを鑑みるに猫っぽいわね」

「猫ねぇ…」

じゃぁ、こめっこはチワワかな…?

「所でにゃーちゃん」

「なに?」

「いつゆいゆいを寝取るのかしら?」

「寝取らねぇよ!」

ナニヲイッテルンダコイツハ。

「えー…?」

「えー、じゃねぇよ!あんなでもひょいざぶろーは夫なの!」

「夫ねぇ…」

リーアがジーっと俺を見ていた。

「な、なんだよ?」

「端からみたら私達って夫婦よねぇ…」

What are you saying !?

「な、ないない。せめて姉弟だろ」

「ふーん…。ねぇ、にゃーちゃん。一回でいいから私の事『お姉ちゃん』って呼んでちょうだい?」

「ちょうだわねぇよ」

ほんっとリーアってノリで生きてるよなぁ…

「あら?私がいっぱいお世話してあげるわよ?
お・と・う・と・く・ん ?」

お前は何場ヶ原さんだ。

「ワーイオネーチャンボクウレシー」

「んー…62点」

意外とたかいっ!?

つか62って…62って…。

まぁ、いいや…。

「それで?この後はどうするのにゃーちゃん?」

んー…ゆっくりしようかな…。

「卵に魔力注いで寝る」

side out






にゃんにゃんの部屋

「くぅ……くぅ……くぅ……みゅぅ…」

ベッドで寝ているにゃんにゃんを、ベッドに腰かけたリーアが撫でる。

「中身はともかくガワは八歳なのよねぇ…。
まったく、食いでがなくて困っちゃうわ」

リーアがクスクスと笑う。

「さて、にゃーちゃんを美味しく頂くためにも、大きくなってもらわないといけないし、晩御飯の用意でもしときましょ」

リーアが立ち上がろうとした時、クンと後ろに引っ張られた。

「ふふ…」

リーアと比べてもやや小さい手が、リーアの服をキュッと握っていた。

「でも、もう少しだけこの寝顔を眺めているのも、いいかもしれないわね」
 
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