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この素晴らしい世界に文明の鉄槌を! -PUNISHMENT BY SHOVEL ON THIS WONDERFUL WORLD!-

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一丁

「アンタにはソードバースなんか勿体ないわ!
アンタには無限にシャベルを作る能力をあげる!
しかも転移じゃなくて転生よ!
せいぜい赤ちゃんプレイを楽しむ事ね!」

あまりにも女神がうざかったので罵倒したら逆ギレされた。

まったく、神っていうのはロクデナシらしい。

「上等!シャベルで成り上がってテメェをぶっとばしに戻って来てやるぞクソ女神!」

斯くして俺は光に包まれた。









八年後

「何をしてるんですか行きますよにゃんにゃん」

待ち合わせ場所に行くと、めぐみんとゆんゆんが待っていた。

「はいはい…」

今日もモンスターハントだ。

出来なければ御飯が干し肉。

「まってよぅ…」

歩き始めるとゆんゆんが遅れてついてくる。

「おせーぞゆんゆん。俺とめぐみんの晩飯が掛かってるんだから急げ」

「私関係ないよね!?」

「心配だからついてくるつったのはお前だろうが」

転生して早八年。

俺は日々の食料を自分で取らざるを得ない状況にあった。

転生した先は紅魔の里という場所だった。

で、だ…この里の住人は全員中二病なのだ。

高い魔法適性と魔力を生まれながらにして持つ。

だがその力を上級魔法にしか使わない。

理由は『格好いいから』。

アホかという話である。

それが何故俺が夕食を狩る事に繋がるかと言えば…

両親が蒸発した。格好いいからという理由で。

俺が四歳だった時の事だ。ゆんゆん(この里の中で何故かまともなネタキャラ的存在)と遊んで帰ったら、手紙が置いてあったのだ。

その時、俺は誓ったのだ…

クソ女神をぶっとばしに行く前に両親を見つけてシャベルの腹で殴ると…

「にゃんにゃん。今日は何を狩りますか?」

「あぁ?アルミラージでいいだろ」

追記するならば、この里の人間のネーミングセンスはおかしい。

確か靴屋の息子の名前がブロッコリーだったはず。

「アルミラージですか…ま、良しとしましょう」

「偉そうだなぁー。俺の温情で獲物を分けてやってるのに」

「うっ…」

「毎日弁当作ってやってるのは誰だったけなぁー?」

「ごめんなさい生意気言いました」

「よろしい」

なおこのめぐみんの家は貧乏だ。

理由はこいつの父親が使えない(この世界では)魔道具を作りまくるからだ。

「爆発ポーション持ってきたか?」

「ばっちしですよにゃんにゃん」

めぐみんに渡された試験管を受け取り、フリーズで凍らせる。

そこでゆんゆんに肩を叩かれた。

「にゃんにゃん。貴方上級魔法は…」

「覚える気はない」

「やっぱりですか…」

『使い方を誤った大魔法は使い方を工夫した小魔法に劣るのだ』

これは俺の前世での愛読書の一文だ。

つまり、どんな小さな魔法でも使い方次第という訳だ。

この前靴屋のクソザコブロッコリーをぶっ飛ばしたばっかりだし、閣下の御言葉はやっぱり正しい。

歩いていると、やがて森の入口に着いた。

「クリエイトシャベル」

あのクソ女神から貰った転生特典を使い、シャベルを作る。

鋒(シャベルのこれを鋒とよんでいいのか…?)は名剣にも劣らぬ鋭利さだ。

「いつ見ても地味ですね。もっとこう…聖剣とか」

「バカ、シャベルを嘗めるなよ?今までもシャベルで数多の敵を屠って来たにゃんにゃんさんだぞ?」

シャベルはいいものだ。

斬る、突く、殴るの全てを兼ねる万能の武器であり、いざとなれば地面を掘れる。

「じゃ、アルミラージ狩りの時間だぜ!」




ボボボン!

「バインド!」

ボン!

一匹め。

「バインド!」

二匹め。

「バァイィンドォ!」

「うわぁ…鬼畜の所業ですね…」

「めぐみん。お前一回学校で慇懃無礼の意味を調べて書き写してこい」

群れの周囲に爆発ポーションでトラップを作り、右往左往している群れから三匹をバインドで拘束。

「よし二人とも『養殖』の時間だぞ」

「えぇ!?」

「いいですね、やりましょう」

シャベルを二つ追加で創る。

「そら、トドメさせ」

バインドで縛られ、鳴き声を上げるアルミラージの首をシャベルで切り落とす。

「ひぇぇ…」

「めぐみん」

「はい」

続くめぐみんもアルミラージを絞めた。

「ゆんゆん?」

「にゃ、にゃんにゃんさん…」

ま、ゆんゆんはまともだからな。ちとキツいか。

「じゃ、経験値貰うぜ」

サクッと首を落とす。

「…………………この耳集めてウサミミカチューシャ…」

「貴方はなんて事いうんですかにゃんにゃん!?
とんだ鬼畜の所業ですよ!?」

おっと、さすがのめぐみんもこれには反対か…

「じゃ、めぐみん、捌いておいてくれ。俺は血の臭いに群がってくるモンスターを倒してレベリングするから」

「はいはい。いつものですね」

「貴方達いつものこんな事してるの!?」

「ああ、毎日な」

「お陰で私のレベルもそれなりですよ。たぶん駆け出しの街の平均は既に越えたかと」

「で、お前まだ魔法覚えねぇの?」

「やですよ。私には覚えたい魔法があるんです」

そこで、足音が聞こえた。

「お、来た来た」

どすどすという音と共に現れたのは、一撃熊だ。

「ライトオブセイバー」

中級魔法ライトオブセイバーをシャベルの鋒だけに纏わせる。

本来射程拡張であるライトオブセイバーだが、こういう使い方もできる。

寧ろこうすることで魔力消費を八割近く軽減できる。

「行くぜ熊公!」

シャベルを構え、身体強化魔法で強化。

先に仕掛けて来たのは一撃熊。

大きく腕が振り上げられた。

その爪は、名の通り一撃必殺の威力を誇る。

「『フィキシング』!『フィキシング』!」

シャベルを持っていない方の手を楯として、一撃熊の爪に合わせる。

そうして一撃熊の爪が俺の左腕に…食い込まない。

「残念」

そして、ライトオブセイバーをまとわせたシャベルで…一撃熊を横一文字に切り裂いた。

血を吹いてどさりと倒れた一撃熊。

「よし、肝を売って金にしよう」

「いやいや!にゃんにゃん今のどういう事!?
なんで一撃熊の攻撃を受けられるの!?
普通切れるよ!?しかも吹っ飛ぶよ!?」

「企業秘密だけど?」

フィキシングというスキルがある。

裁縫や建築の際、数秒の間だけ物と物を固定できるスキルだ。

そして、俺はそのスキルを自分自身に使った。

左腕の皮膚を作る原子分子の一つ一つを固定することを強く意識しながらだ。

するとどうなるかと言うと、斬撃に対して鉄壁の守りを持つようになる。

なお、防御力を上げる『金剛』というスキルもあるが、フィキシングの方が消費が少ない。

吹っ飛ばなかった理由は自分の体を地面に『固定』したからだ。

ね?簡単でしょ?

そうしてめぐみんがアルミラージの血抜きを終えるまで更に数体の一撃熊を狩り、肝を手に入れた。

「『花鳥風月』」

取り出した風呂敷の中に肝や肉を封じる。

宴会芸スキル花鳥風月。

仕組みはよくわからんが、地球で言うところの手品を行い(上手下手関わらず)成功させるスキルだ。

その中でも火吹き芸は戦闘に転用可能。

消失・出現マジックは物質運搬に転用可能。

要するに擬似的なゲートオブバビロンである。

「さ、行くぞ」

振り返るとゆんゆんが唖然としていた。

「ゆんゆん。にゃんにゃんのやることに一々驚いていたらキリがありませんよ?」

「そうね…」

失礼な。俺の方が常識的かつ一般的だ。

「解せぬ」











めぐみん達と別れ、家に帰って来た。

「ただいまリーア」

「お帰りにゃーちゃん」 
 

 
後書き
にゃんにゃん
転生者 男の娘
傀儡と復習の女神レジーナの信徒
アクアと口論になり、『クリエイトシャベル』を押し付けられた。
小さい頃両親が蒸発、その後は初級中級(一部上級)スキルで生活している。
主な収入源はモンスターの賞金。
めぐみんとはお隣さんで色々融通したりしてもらっている。

クリエイトシャベル
にゃんにゃんのスキル。
木製、プラスチック、ダイヤモンド、あらゆる材質のシャベルを創れる。
魔力消費ゼロ。
造ったシャベルは念じれば消えるが、基本残る。
 
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