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魔法科高校の劣等生の魔法でISキャラ+etcをおちょくる話

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第百七十三話

 
前書き
メインキャラ不在。 

 
11月初旬

「御初にお目にかかります。日本国総理大臣殿。IS開発者の遣いで参りました」

彼が仕事を終え、自宅に帰ると家の中に見知らぬ女性がいた。

「だ、誰だね君は」

「私はリムシィ。篠ノ之束ともう一人のIS開発者の使者です」

彼はドカッとソファーに腰をおろした。

「…………私は疲れているようだ」

「お気持ち御察しいたします」

リムシィ、そう名乗った女性はレディーススーツを着こなし、綺麗に背筋を伸ばしている。

「要件をお伝えいたします」

「その前に、ひとついいかなリムシィさん」

「なんでしょうか」

「さっき、束博士ともう一人の開発者と言ったね?」

「はい」

「初耳なのだが」

「公表しておりません故。束博士は彼を前面に出すことを望んでいません」

「なるほど聞いても無駄な訳か」

「はい」

彼は立ち上がると、リムシィの前に歩みでた。

「要件を聞こう」

「もう一人の開発者。UNオーウェン様から日本国へ技術提供の申し入れです」

リムシィは手に持った鞄からファイルを取り出した。

「こちらになります」

そのファイルには、こう書かれていた。

【石炭を使ったJPlevelMHD反応炉の実現と同反応炉の余剰出力を活用した海中資源抽出計画】

「UNオーウェン様はこの国の未来と世界の行く末を憂いています。
当該技術は日本国に莫大な富と成長をもたらし、二酸化炭素の排出を抑え、地球温暖化に歯止めをかける事でしょう」

「核かね?」

「いえ、非核発電機ですが、UNオーウェン様の見立てでは二基もあればこの東京の電力を賄えるとの事です」

「それは何ともまぁ…」

彼はペラペラとファイルを捲る。

「うむ、わからん」

「ISの技術の応用も含まれます。夜道にはお気をつけください」

「……………ぇ」

「冗談です。本日から私が貴方の護衛につきます」

「ハハハハハハ」

刹那、リムシィの脚部が物々しい装甲に包まれ、背部に翼のような物が現れ、頭にはヘッドギア、手には銃が現れる。

「私が守ってやるといっているのにその態度はなんですか。いっそここで私が貴方を殺して成り代わりましょうか。その方が日本には有益かもしれません」

「ぁ………あい…えす…?」

「いいえ、私は戦闘用擬形体。束博士とUNオーウェン様の遣いの人形です」













数日後

【吉本首相、熱愛発覚!?】

「どおおぉぉぉぉしてくれるんですかリムシィさん!?」

「うるさいですね。今日は鯖の味噌煮です。冷めない内に食べなさい愚か者」

「あ、ありがとうござ………じゃなくて!」

彼が朝のニュースをつけると、自分とおかしな同居人の熱愛報道がされていた。

「面倒です。きょう会見を開きなさい私も出席します」

「そんな無茶苦茶な!」

「やりなさい。私が貴方のようなグズと愛し合っているなど考えただけでおぞましい」

機械の瞳がキュィィ…と蔑むように細まる。

「……はぁ…わかりましたよ」











パシャパシャとカメラのフラッシュが焚かれる中、吉本首相が壇上に上がった。

その傍らには、世間を騒がせている美女の姿があった。

「えー、では会見を始めさせていただきます。
こちらの方はリムシィさんと言って……」

「よくもまぁ、平日の昼間にこれ程の人が集まった物ですね。野次馬根性の塊で人の迷惑も考えないゴシップ好きのカス共が」

会場が静寂に包まれた。

「日本国民の皆様。御初にお目にかかります。
私はリムシィ」

カシャカシャとリムシィが装甲を纏う。

「二人のIS開発者の使者であり、現在は吉本総理の護衛をUNオーウェン様より命じられている戦闘用ガイノイドです」

再びフラッシュに包まれるリムシィ。

「まず私がこのグズ…いえ吉本首相と付き合っているなどという妄言を取り消しなさい。
私はあくまでもUNオーウェン様よりうけた命に従っているのです」

記者から質問が飛ぶ。UNオーウェンとは誰か、と。

「束博士の共同研究者であり、ISの父。私はUNオーウェン様の慈悲を貴方達日本国民に与えに来たにすぎません。
やっと出番ですよアルディ」

リムシィがパンパンと手を叩くと、身の丈二メートルはあろうかという人型のシルエットが現れた。

黒く、ゴツゴツした機械の体。

ヌッと壇上に上がったソレは、大きな折り畳み式スクリーンを用意し始めた。

「我はアルディ! これより貴様ら人間共にマスターの偉大なる叡知の一部」

パキュゥゥン!

「口上は不要ですさっさと始めなさい。さもなくば帰りなさい後は私がやります」

リムシィがアルディへ向けて発砲した。

が、アルディは対したダメージが無いようだった。

「むぅ…しかたない…。始めるとするか」












アルディによる唐突なプレゼンは20分程で終了した。

「何か質問はありますか。無いならば直ぐにこの下らない催しを終わりますよ」

「ではいいですか」

記者の一人が手をあげた。

「うむ! 発言するがよい!」

パキュゥゥン!

「貴方は黙っていなさい。暑苦しいので掃けていなさいそれとも私が掃いてすてましょうか。
記者の方、どうぞ」

アルディに銃を向けたまま、リムシィが空いた手で記者を促す。

「貴方達本当にロボット? やけに人間っぽいけど。総理との関係誤魔化そうとしてない?」

「ふははは! 我々が人間らしいのは当然である! マスターの技術を以てすれば心を持ったコンピュ」

「黙りなさいアルディ」

リムシィの一言に、アルディは口を止めた。

「では如何様に私達が機械であると示せばよろしいですか」

「じゃぁ試しにその頭の中見せてよ」

「構いません。ですがその前に貴方が人間であると示しなさい」

「俺は人間だよ。どう示せって言うんだ」

「簡単です。その頭を開いて中身を見せなさい」

プフっと他の記者から笑いが漏れる。

「どうしたのですか。早く見せなさい。下半身にばかり栄養がいってスカスカになった貴方の脳ミソを衆目に曝してみなさい」

「………………っ!」

記者は怒りに顔を赤くし、会場から出ていった。

「リムシィ。あまりいじめてやるな。人間の思考は我々と違いすぐにオーバーフローするのだ」

「アレはただのバカでしょう。質問が無ければ終わりますよ」












12月中旬。

「うーわー……」

「どうしたのですか吉本。そのような気の抜けた声をあげて」

「いや。さすがにここまで同じ顔が並んだら気持ち悪…あ、なんでもないです」

リムシィの手にハンドガンが握られ、吉本は口をつぐんだ。

「我とアルディは量産型です。全ての”リムシィ"のボディを私が、”アルディ"のボディをコレが制御しています」

リムシィの言う『コレ』とは現在リムシィに踏まれているアンドロイドだ。

吉本と、その他数名の政治家達は、東京湾にある埋め立て地に来ていた。

そこでは総勢数十機のリムシィとアルディによって、JPlevelMHD反応炉一号機の建造が行われていた。

「小さいな…本当にこんな大きさで東京の電力を賄えるのか…?」

と口にだしたのは環境相だ。

JPlevelMHD反応炉の炉心は、原発の炉心よりも小さい。

非核エネルギーかつ核以上の出力を出せるとは到底思えない程だ。

「原発よりも小さいですが、発電力は折り紙付きです。
貴方達愚かな人類の千年先をいくマスターを疑うのですか」

「リムシィさん。今日はテレビも来ているんだ。あんまりヘイト稼がないでくれ。僕が批判される」

リムシィの毒舌会見の後の吉本政権は賛否両論だ。

リムシィの毒舌やらの責任等を追われてはいるが、謎のIS開発者の協力を取り付けた事は高く評価されていた。

「そうであるぞ。我々は物理的な攻撃からヨシモトを守る事はできるが言葉の暴力は防げぬのだからな」

「アルディさん…」

ヨシモトとアルディは数日で打ち解けた。

相性がよかったのだ。

政治家連中からもアルディの方が評判がいい。

若い女性に罵られるのは、政治家のプライドをひどく傷つける。

「私には関係ありません」

ところで、とリムシィが切り出した。

「こちらに向かってきている武装勢力を潰しますが構いませんね?」

え? と一同が聞き返す。

「国民に被害が出ないうちに片付けます」

リムシィは数機の同型を引き連れて飛んでいった。

「ちょっとぉ!?」

吉本がアルディにどうにかしろと視線を向ける。

「すまないヨシモト。我にはリムシィのような飛行能力も遠距離攻撃もない。
私はこの場ではディフェンス専門なのだ」

政治家や報道陣の近くにアルディが全機集合する。

「全機障壁展開である!」

ぱしゅぅぅぅぅぅぅぅん………と言う飛翔音と共に、一同に対して何かが飛んで来る。

「む。ロケットランチャーか」

がしかし、それはアルディの障壁に遮られた。

「リムシィめ、我に全ての迎撃をやらせるつもりであるな。まぁ、わからなくもないのだが…」

「ど、どういう事ですアルディさん?」

「我々はマスターよりヨシモトの護衛は勿論、国民を傷つけるなと言われているのである。
それ故、リムシィは発射位置の襲撃犯を直接潰すつもりなのである。
なに、五分もあれば終わるであろう」

三分後。

「全員捕縛しました。この後はどうしますか? こちらで尋問しましょうか?」

「引き渡してくれるとありがたい」

「ではすぐにでも」

すぐに装甲車が数台回ってきた。

ライトバンを改造した物で、外からは本来装甲車には見えないようになっている。

が、現在はドアがひしゃげ、中の銃器が見えていた。

中身は銃器だけではない。

拘束され、呻き声をあげる犯行グループ。

リムシィ達はソレをぽいぽいと車外に放り出す。

その数30人。

「恐らくは中国の特務機関でしょう。外交カードなりなんなり好きにしてください」

リムシィのその瞳は、機械の瞳は、捕らえた者などどうでもいいと言わんばかりだ。

「では私とアルディのボディは建造に回しますので」

アルディとリムシィが本体を残し全て建造へ戻っていった。

「では我はこの武装勢力を見張っておこう」

「私の仕事を信用しないと?」

「そうではない。万が一である。第一信用していなければ我以外の我を戻したりはしない。そうであろう?」

「今はその言葉で納得しておきます」



そして、その日の内に三基のJPlevelMHD反応炉が完成した。

翌日から試験通電を開始した三基は、見事東京の電力を賄って見せた。
 
 

 
後書き
個人的にはリムシィが本性表す所が好き。 
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