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八条荘はヒロインが多くてカオス過ぎる

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第二百六話 イギリス風メイドその十四

「塵芥だよ」
「その程度ね」
「それ位なのね」
「まあそうでしょうね」
「聞いた話だととんでもない作品だし」
「そうだよ、恋愛小説が駄目だと読めないけれど」
 古文の原文もかなり難しい、何でも英文に翻訳した方がずっと読みやすいらしい。
「偉大な作品だよ」
「そんな作品が千年前にあったとかね」
「それも凄いけれどね」
「一口に千年って言うけれど」
「私達の国その頃なかったから」
 モンセラさんのお国のメキシコもテレサさんのお国のフィリピンもだ、メキシコは当時は古代中南米の文明の国でアステカより前だった。
「その頃に普通に文学作品あって読まれてたとか」
「それも凄いわよ」
「みたいだね、皇室も出てるし」
 他ならぬ源氏の君も帝の第二皇子だった。
「普通に」
「皇室もその時からあって」
「字も使われているとか」
「しかも今の平仮名とかよね」
「それも凄いと思うわよ」
「日本では普通って思っていても」
 それがだ。
「実は違うっていうからね」
「全然普通じゃないし」
「中国が隣にあるから思うんじゃないの?」
「平仮名が千年前からあるのが普通とか」
「源氏物語にしても」
「まあ中国でもね」
 この国にしてもだ。
「皇帝は家が替わってるしね、何度も」
「漢とか唐とかね」
「結構変わっててね」
「けれど歴史は長いし」
「漢字も二千年以上前からあるけれど」
「それでも中国でも源氏物語の頃そうした恋愛小説ないしね」
 今は結構出ているみたいだ、あと清代には紅楼夢がある。
「あれは日本だけかな」
「アーサー王に恋愛あるけれど」
 テレサさんはこの作品を出してきた。
「それでもメインじゃないし」
「それ違うよね」
「騎士物語だからね」
 アーサー王の話はだ、恋愛は出てきても何といってもアーサー王と円卓の騎士達の活躍がメインだ。
「恋愛はね」
「メインじゃないわね」
「恋愛をメインに置いた長編は」
「やっぱり源氏物語が最初なのね」
「しかも女の人が書いてるから」
 所謂女流作家だ。
「本当にね」
「はじめて尽くしね」
「そうかもね、しかし」
「しかし?」
「そんな作品がちょっと過小評価されてるかな」
 現代の日本ではだ。
「そこまで言われてないってことは」
「日本でも凄い評価されてても」
「そうしたところまではね」
「教科書読んだら確かにね」
「そこまでは言われてないわね」
「うん、高評価でもね」
 それは事実でもだ。
「他の古典の作品よりも頭一つ分位かな」
「実際はダントツって言ってもいいのに」
「そこまではいってないっていうのね」
「そうかもね、源氏物語は」
 この作品の持っているものはだ。
「何かと凄いよね」
「そう思うわよ、世界的にね」
「物凄い作品よ」
 千年前にはじめて出た長編恋愛小説しかも女流作家による作品だ、しかも千年以上前に平仮名と漢字で書かれているのだ。 
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