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許されない罪、救われる心

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98部分:第九話 全てを壊されその七


第九話 全てを壊されその七

「けれどね」
「そうよね。あんなことを続けたら」
「やり過ぎだよ。どうにかしないといけないかもね」
「そうね」
 二人はこんな話をした。しかしである。岩清水の四人への攻撃はさらに続きだ。今度はネットを使ってあることを仕掛けたのである。
「もうこの段階だよね」
「うん、いい頃合いだね」
 従兄は満足した顔で彼の言葉に頷いていた。また従兄の部屋で話をしている。
「ここでそれをしたらいいよ」
「よし、こうして」
 調べた四人の住所をだ。自分達のサイトに書き込んでいた。
 そのうえでだ。さらに書き込む。
「集合場所と時間はこれでいいよね」
「そうだね、そこでいいね」
「そうしてね。警察やお役所には電話で動けなくして」
「事前にそうしたメンバーも集めておく」
「いつも通りだよね」
「そう、いつも通りすればいいよ」
 従兄は彼の言葉に平然として返す。
「さて、家族の絆も壊したし後は」
「家にまで攻め込んでね」
「後はこのまま攻めればいいよ」
「これであの四人も終わりだね」
 岩清水はドス黒い笑顔を浮かべて話す。
「いよいよね」
「若し病院に入ってもね」
「うん、わかってるよ」
 今度は彼が平然として返した。
「その病院でもね」
「全部わかってるね。見事だね」
「健一郎兄ちゃんに教えてもらったから」
 再びドス黒い、人のものとは思えないまでに邪な笑顔で話した。
「だからだよ」
「言うね。じゃあそのお手並みをね」
「見てもらうよ」
「楽しみにしているよ」
 こう話してであった。彼は四人の住所を公開したうえでさらにメールやメッセでも人を密かに集め話し合ってだ。そのうえで準備を進めるのであった。
 四人はもう休日でも明るくはなれなかった。家族の絆は崩壊し家でもそれぞれ一人になっていた。四人共暗く沈んだ顔で家に引き篭もるようになっていた。本当は学校にも行きたくなかった。
 だが家族にその時間になると常に追い出される。鞄を外に捨てられたことすらあった。
「早く行きなさい」
「そんな・・・・・・」
「あんたが悪いんでしょ」
 そしていつも冷たく言われた。
「自業自得よ。早く行きなさい」
「そんな、学校に行ったら・・・・・・」
「お母さんあんたのせいでパートをクビになったのよ」
 忌々しげにこのことを言われる。
「睦月だって学校でいじめられてるしお父さんだって左遷させられたのよ」
「けれど今は」
「あんたがやったせいでよ」
 もう反論も許されなかった。
「全部こうなったのよ。早く行きなさい」
「う、うん・・・・・・」
「学校に行かなかったら許さないわよ」
 途中で何処かに逃げることも封じられた。
「家追い出すからね」
「そんな、お家もって・・・・・・」
「置いてやってるのよ」
 最早愛情なぞ完全に消えていた。それが露わになった言葉だった。
「それをわかりなさい」
「じゃあ・・・・・・」
「早く行きなさい」
 娘に対して忌々しげに告げる。
「さっさとね」
「ええ・・・・・・」
 如月は力なく頷くしかできなかった。そのうえで捨てられた鞄を手に取ってだ。とぼとぼと学校に向かうのだった。その足取りはかつての様に元気のいいものではなかった。死にに行くかの様だった。
 そしてだ。校門に着くとだ。
 脚がすくむ。それだけではない。
 吐き気が来た。それで校門に吐きそうになる。しかしだった。
「おい、何してんだよ」
「こんなところで吐くつもり?」
 後ろから冷たい声がした。
「とっとと行けよ」
「学校にね」
「逃げるのを許すな!」
 そしてまた岩清水が煽るのだった。
 
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