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麗しのヴァンパイア

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第百十話

                第百十話  雅の世界
 博士は小田切君にさらに話した。
「この頃の日本も面白かったわ」
「平安時代のですか」
「この時代は後期の頃じゃな」
 平安時代のというのだ。
「あの時代も長かったからのう」
「そういえば江戸時代より長かったですね」
 俗に七九四年の平安京遷都から鎌倉幕府成立の一一八五年までとされている、実に四百年近いから日本の時代区分では相当に長い。
「それでその長い時代のですね」
「後期じゃな」
「その時代が舞台ですか」
「うむ、わしにとっては懐かしい時代の一つじゃ」
「その頃から博士白衣でしたよね」
「わしの服装は変わらん」
 二百億年前にビッグバンと共に誕生してからだ。
「白のタキシードでな」
「この時代から考えたら違和感凄い恰好ですね」
「西の方の格好と説明してな」
「納得してもらってたんですか」
「そうじゃ、波斯より西の服だとな」
 適当にそうしたことを言ってだというのだ。
「納得させた」
「博士の設定は西域の人でしたか」
「唐や宋でもじゃった」
 中国の王朝に入る時もというのだ。
「そう言ってじゃ」
「納得してもらって」
「過ごしておった、そして活動しておった」
 この頃も博士の行動は同じだった。
「生体実験に破壊活動を行ってな」
「そこは変わらないですね」
「当時は山賊や海賊がどの国にもおったが」
「そうした連中を捕まえたりその場で殺してたんですね」
「そうしておった」
 今はヤクザ者や不良にそうしているがだ。
「当時はな」
「そうでしたか」
「それでじゃ」
 博士は小田切君にさらに話した。
「当時の雅にも通じておるつもりじゃが」
「雅を実体験されてたんですね」
「あの時代におってな、よい文化だった」
「そうでしたか」
「それを忠実に書いておる」
「源氏物語はそこもいいんですね」
「流石は紫式部じゃ」
 こうも言う博士だった。
「生まれた時に話したこともあったぞ、清少納言ともな」
「それ本当ですか?」
「わしは嘘を言わん」
 こう答えた博士だった、ここでまた博士の秘密が明らかになった。


第百十話   完


                2018・11・25 
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