夢幻水滸伝
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第八十一話 北陸の雄その八
「攻め取るだがや」
「それでは」
「そしてだがや」
坂口はさらに話した。
「飛騨から越中を伺う」
「その様にしていきましょう、今北陸はその地域の浮島を全て領有しにかかっていますが」
「その隙にだぎゃな」
「我々は飛騨を伺いましょう、ただ北陸も馬鹿ではありません」
「こっちの動きに気付けば」
「すぐに浮島の領有を中断し」
そのうえでというのだ。
「自分達も飛騨に向かいます」
「そうしてくるだからだぎゃな」
「空船の総動員は正解です」
坂口が今言ったこのことはというのだ。
「ですから」
「それでだぎゃな」
「あの国を一気に攻め落としましょう」
「わかっただがや」
坂口も頷いた、そしてだった。
東海は空船、彼等が持っているそれを全て使ってそのうえで飛騨攻めにかかった。その空船が全て飛び立った時にだった。
室生は金沢城でその話を聞いた、するとすぐに傍にいる鈴子に言った。
「壷井君、すぐにだ」
「はい、私達もですね」
「飛騨に向かうぞ」
毅然とした口調での言葉だった。
「そうするぞ」
「では浮島はですね」
「今はいい」
その領有を進めることを中断するというのだ。
「飛騨が彼等の手に落ちるとだ」
「越中を脅かされますね」
「今我々は越後で彼等と接している」
「ここで飛騨もとなると」
「そこからも攻められる可能性がある」
越後に信濃から攻め入られるだけでなくというのだ。
「そうなれば勢力の劣る我々にとってまずい」
「だからですね」
「ここはだ」
「東海の飛騨の領有を許さない」
「その為にもだ、我々も空船を総動員してだ」
自分達が持っているそれをというのだ。
「攻め込むぞ」
「わかりました、ただ」
「今から動いてもだな」
「後れを取っていますが」
「それはわかっている、私も迂闊だった」
エルフ独特の美麗な白い顔に苦いものを及ばせてだ、室生は壷井に話した。
「浮島の領有を優先させていたが」
「北陸の浮島は金山や銀山を持っている島も多いですし」
「全て領有してその富を力にしようと思ったが」
「その間に東海は甲信を統一しましたし」
「飛騨もだ、早い」
「思いきった動きをしてきますね」
「あちらの棟梁は坂口だ」
彼のことについてもだ、室生は言及した。
「信頼出来る者はすぐにわかってだ」
「そうしてその人の言葉を聞きますか」
「そのうえで即座に決断を下す」
「そうした人なのですね」
「器がある」
坂口、彼にはというのだ。
「同じクラスだった時もあるからよく知っている」
「それで今もですか」
「こうして話せる、そしてだ」
室生はさらに言った。
「それは我々に対しても同じだ」
「思いきりよくですね」
「攻めて来る、だからだ」
それ故にというのだ。
「注意すべきだ、強い」
「それでは」
「ここは飛騨で戦うこともだ」
それもというのだ。
「考えて兵を進めるぞ」
「わかりました、それでは」
鈴子も頷いてだ、二人ですぐに越中の富山城に移動の術で瞬時に移動しそれから北陸の船を全て富山城に集結させた。
そしてだ。空船達に軍勢と自分達を乗せてだった。
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