八条荘はヒロインが多くてカオス過ぎる
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第二百五話 紅茶とコーヒーその五
「生霊と死霊もね」
「ああ、生きている人も幽霊になったわね」
「身体から魂が出て」
「人間も色々で」
それでだ。
「幽霊もね」
「色々なのね」
「そうなのね」
「身体があるかないかだけだから」
二人にも人間と幽霊の違いを話した。
「性格のいい幽霊もいれば」
「性格の悪い幽霊もいて」
「気さくな幽霊もいれば」
「怨霊もいるのね」
「怨霊ばかりとは限らないから」
どうも日本の幽霊は生霊も死霊もそのイメージが強いけれどだ、怪談とか物語で出て来る幽霊はこちらが異常に多いと思う。
「特にうちの学園怨霊とか悪い妖怪はいないからね」
「それでそのメイドさんの幽霊もなのね」
「怖くないのね」
「それどころか気さくで」
「ご自身のこともお話してくれるのね」
「そうなんだ、それとイギリスだとね」
その本場の国の話をまたした。
「普通にメイドさんの幽霊が出る屋敷があるよ」
「何かメイドと幽霊の国ね」
「イギリスってそんなイメージになってきたら」
二人共僕の話を聞いてこうも言った。
「紅茶のイメージ以外に」
「そっちもね」
「そうかもね、八条荘にもいてくれているけれど」
小野さんの娘さんもそうだ、もっと言えば畑中さんというとんでもなく優秀で尊敬出来る執事さんもいる。
「メイドは元々ね」
「イギリスね」
「あの国のもので」
「うちの学園のメイド部は本場のものなんだ」
二人にこうしたことを話しながらだ、僕達は朝食を食べた。そうしてから登校して部活の朝練の後で。
高等部の中庭、ガーデニングの場所を見た。そしてだった。
そこの庭を見て一緒にいる後輩の子にこんなことを言った。
「イギリス風なんだよね、このガーデニング」
「そうみたいですね」
後輩の子もこう答えてくれた。
「何でも」
「うん、この学園世界中から人来てるけれど」
「ガーデニングはですね」
「イギリスから来た先生が直接ね」
「教えてくれたんでしたね」
「戦争前にね」
「百年前にでしたよね」
僕にこうも言ってきた。
「確か」
「日英同盟の頃で日露戦争が終わって」
「その頃にですか」
「教えてくれたらしいんだ」
「その人が」
「うん、それでお茶を飲む席が置かれたのも」
このこともだ。
「その先生からなんだ」
「そうですか」
「最初はびっくりされたらしいよ」
「いきなり日本の中にイギリスのお庭が出来て」
「本当にそれでね」
「けれど奇麗で、ですね」
「この学園の名所の一つになったんだ」
そうした歴史があるのだ、このガーデニングにも。
「それであそこの席に夕方に」
「ドラキュラ伯爵と狼男、フランケンシュタインがですね」
「あとミイラ男がね」
ハリウッド映画に出て来る妖怪達がだ。
「お茶を飲んでるんだよね」
「観たって人結構多いですよね」
「うん、けれど観てもね」
その妖怪達をだ。
「ただお茶を飲んでいるだけでね」
「何もしてこないんでしたね」
「そうなんだ」
「だから安全ですね」
「うん、別に観てもね」
それでもだ。
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