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ソードアート・オンライン~遊戯黙示録~

作者:マローン
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FILE205 巧みな誘い

進藤「試して見りゃいいんだよ・・・実際にテメェがな・・・」

進藤のその言葉は俺の耳元に、冷たく鋭利に響き渡ったのだった。

俺「見て来い・・・だと?つまりはなんだよ、実際にGGOにログインして死銃に撃たれろってか?」

進藤「ククク・・・・っ!誰も撃たれろなんて言っちゃいねぇよ。取りあえずは接触ってところでどうだよ?」

進藤は接触などと言っているが、結局のところ死銃であると分かったうえで接触するのなら、撃たれる可能性も充分高いのだから大して意味は変わらない。

俺「それで俺が撃たれて本当に心臓が止まったらアンタはどうしてくれやがるよ・・・・あん?」

進藤「ハハハッ!!・・・・そん時はテメェを使って大正解だったってわけさ!なにせテメェならくたばった所で何も惜しくはねぇしな」

仮にも俺に頼みごとをする上だとは思えない様な物言いに俺は冷めた視線を向ける。だが、進藤は構う事無く、再びタバコを吸いながら話を一方的に続ける。

進藤「そもそもだな、この死銃とか言う奴はターゲットに対してはかなり厳密に拘ってやがるらしいぜ」

俺「拘りねぇ・・・」

もう既にネギトロ丼のネギ多めも食べ尽くしたところなので、後はもう一杯酎ハイを頼んで帰りたいところだが、あいにくこの店でたった一人のアルバイトの店員は他の客の接客で忙しそうなのでしばらくは注文できそうになかった。

進藤「死銃が撃ったゼクシードと薄塩たらこの二人だがな、どっちもGGOじゃ名の通ったトッププレイヤーだったわけだ」

俺「ようするに死銃のターゲットはずば抜けた強さのプレイヤーに限られるって事か・・・」

進藤「そうさ、VRMMOでずば抜けた強さのプレイヤーなら・・・・な」


進藤のその言葉はオズマのVRMMOゲーマーとしての腕前を高く評価しての言葉であった・・・・!そして、オズマ自身それに気が付いているだけにオズマのMMOゲーマーとしてのプライド・・・・自己顕示欲は刺激される!
SAO時代よりオズマは自身の強さ・・・・実力を誇示し、ひけらかす事を好む傾向にあり・・・それ故にキリトがユニークスキルの二刀流を74層のフロアボス戦まで隠し続けてきたのとは対照的に、オズマは補足転移を獲得して早々に大っぴらに見せつける様に存分に使用していたのであった! by立木ナレ


進藤「ま、GGOはSAOやALOと違って剣じゃなくて銃を使うゲームだからよぉ・・・いくらオメェでも勝手が違い過ぎるからそうそう上手くはいかねぇかも―――」

俺「舐めるなよ、進藤・・・!」

進藤「ほぉ?」

俺「確かにSAOもALOも銃撃戦とは無縁のVRMMOではあるが・・・俺はSAOの前に一時ではあったが、VRFRSで慣らした事くらい有るさ・・・・」

それは事実だった。ナーヴギアの発売とほぼ同時期にネット配信された、SAO以前の今一つのタイトルとして大して注目されなかったVRFPSでMMOでは無いがゆえに、数種類の重火器を使い分けて、次々と出現するモンスターや武装兵士を倒してスコアを稼ぐと言う単純なゲームではあったがあれも一応VRFPSである事には違いない。

進藤「自信あり気じゃねぇかよ?SAOの灰色の剣士様は銃撃戦でも強者でいられるか?」

俺「当然だろう」


オズマ、まさに進藤の思惑通り!オズマのVRMMOゲーマーとしてのプライド、自己顕示欲を刺激し・・・・敢えて一度はオズマでもGGOは無理なのでは――などとオズマの実力を低く見るような素振りを見せる事により、オズマはまんまとVRゲーマーとして見くびられる事を良しとしない性分を刺激されて、進藤の誘いに乗せられるのであった! by立木ナレ


進藤「んで、やる気になったってか?」

俺「その前にこっちからも聞かせてくれよ」

無論、これですぐに進藤の要求通りGGOで死銃に接触なんて形に乗せられてやるほど俺も甘くは無い。進藤の狙いは確かめなくては・・・・

俺「なんでアンタはそうまでして死銃の詳細を調べる事に拘ってる?今のところは結局は都市伝説の範囲内に過ぎないし、アンタだって完全に信じてるわけじゃあるまい?」

ストレートに聞いてみると、進藤はめんどくさそうな表情で口から煙を吐き出し、タバコの火を消して――

進藤「それはな、上の連中が気にしてやがるんだよ・・・・フルダイブ技術を応用した実験だとか、研究だとか、とにかく色んな活用方法をお国のお偉いさん方は模索してるわけだが・・・・SAO事件の影響でフルダイブ技術そのものを危険視してる連中も少なくないのは知ってるだろ?」

俺「ああ、VRゲームの規制派とか言う面倒な奴らとかな・・・・」

進藤「俺等――仮想課としちゃVR技術をこの流れで後退させるべきじゃねぇってのが方針だからな。テメェら見てぇにVRMMOゲームを楽しんでるだけのガキ共の事はどうでも良いが・・・・この一件が妙な所で尾ひれを引いて広まりでもしてだ、規制推進派の連中に利用される前に事実確認をして置きてぇって事よ。単なるデマならそれで良いがな・・・その確信はどうしても欲しいってところだ・・・・」

俺「それなら直接運営に確認してみたらどうだよ?ログの解析でもすればゼクシードと薄塩たらこを銃撃したプレイヤーが誰か分かるんじゃねぇのか?」

進藤「出来る事ならんな事は最初にやってるっての」

進藤のその言い方からして、運営にそれを確認できない様な事情があるかのようだった。進藤も不快そうな顔つきを浮かべていた。

進藤「GGOを運営してる《ザスカー》とか言う企業・・・・企業なのかどうかも分からねぇような団体はな、アメリカにサーバーを置いてやがるんだよ。ゲーム内でのプレイヤーサポートはご丁寧にしてやがる割には、現実の会社の所在地も電話番号もメールアドレスすら非公開・・・・これも例の《ザ・シード》公開のおかげで訳の分からねぇVRワールドが増えまくった影響だな・・・・ったく面倒なのを広めやがった奴がいやがったもんだぜ!」

俺「アンタもそんな風に不機嫌になったりする事もあるんだな・・・・」

進藤「ともかくだ、そんなんだから真実をハッキリさせようとするにはな。ゲーム内で直接接触するしかねぇって事だよ。幸いにもテメェは今はもうあの居候先を追い出されて、家に常に親父か爺が部屋にゴロゴロしてやがる実家に戻ったんだろ?ならオメェに万が一に何があったとしても、暇な親父と爺が何とかしてくれるだろ?」

俺「アイツらがね・・・・」

その場合、俺は普段は屋根裏部屋でフルダイブしているのだが、親父や爺さん、ついでに芽瑠の目が常に届く様に10畳の部屋でフルダイブする事になるな。

進藤「オズマよぉ・・・・どっちにしろオメェは断れねぇ・・・・悠々自適な居候先を追い出されてよぉ・・・ろくすっぽ金も持ってねぇ状態の癖に車なんて買っちまいやがってよぉ」

俺「勝手だろ・・・俺がどんな車をもっていようがな」

進藤はまるで俺の弱味を漬け込んでいるんだと言わんばかりに、見下すかのような不敵な笑みをニヤニヤと浮かべていた。

進藤「テメェよ・・・・あの車の任意保険はどこの会社で入ってやがるよ・・・?」

コイツ・・・・っ!俺が未だにあのJリミテッドを任意保険に入れていない事までお見通しかよ・・・・!

進藤「ま、任意保険は入るも入らねぇも持ち主の勝手だとしてもだ・・・他にもいろいろとあるよなぁ?自賠責、自動車税、重量税・・・・ロクすっぽ働きもしねぇで払えるのかよ・・・・クククッ!このままじゃテメェ、せっかく買ったあの車も手放す羽目になっちまうんじゃねぇのかぁ?」

それは俺が一番恐れている事でもある・・・車一台を所持し続けるにはガソリン代以外にも税金やら保険やらを払わされる羽目になる。
にも拘らず俺は根っからのグータラ者なので、その為にバリバリと働いて稼がなくちゃ―――なんて風に心機一転にもならない。

俺「俺がこの依頼を引き受ければアンタがそれをどうにかしてくれるってのかよ?」

進藤「ククク・・・・食い付いてきたなぁオズマよ?無理もねぇよなぁ・・・・テメェの大切な愛車を守り続けられるかどうかが掛かってるかも知れねぇとなるとなぁ・・・・!」


進藤がオズマに対して、今回の依頼の報酬として提示したのは車の維持費を進藤の口添えで仮想課の予算で肩代わりすると言う内容であった!
正確にはこの先、オズマのユーノス・ロードスターJリミテッドに掛かるガソリン代・任意保険。自賠責保険・自動車税と重量税を肩代わりしてくれると言う・・・オズマにとっては愛車を維持していくうえで非常にありがたい内容であった!・・・・だがっ!  by立木ナレ



車の維持費の大半を肩代わりしてもらえるのは俺にとって大助かりなのは確かだが・・・・同時に俺は進藤に足元を見られてるようにも思えてならない。

進藤は俺のゲーマーとしての腕前を見込んでいる以外にも、こうして常に金銭面で困窮している立場にあるからこそ、適当な金銭面での援助で容易く協力を得られると言う弱味に付け込んでこの条件を出してきてるのは明白だ。

実際にもし仮に・・・俺に車の維持費くらいはどうにでもなるような稼ぎや貯蓄があったのならば、こんな怪しげな依頼は相手にしない。
すると進藤はそんな俺の心情を見透かすかのように、『けっ』と吐き捨ててから、俺の右手をいきなりガッシリと掴んできていた。

進藤「オズマよぉ、テメェのこの手は何のためについてると思ってんだぁ?何かを掴むためじゃねぇのかよ?・・・・リスクを恐れて動かねぇってのは、所詮は年金と預金が頼りの爺共のする事だ・・・・年寄り共にとってその手は言わばそれまで築いてきた物を守る為の手・・・・つまりは守る為の手だ。だがな、テメェ見てぇな持たざる者・・・若者がそれじゃ話にならねぇよ。特にテメェ見てぇな地道に積み上げる事の出来ねぇ奴はな・・・掴まなくちゃダメだろ・・・?例えそれが俺見てぇな、怪しげな男の誘い言葉だったとしてもな・・・・」

そう言いながら進藤は準備の良い事に。俺が依頼を果たした場合に契約の証明として、車の維持費を仮想課の予算で肩代わりする故の誓約書まで取り出していた。

俺「サインでも書けばいいんだな・・・・?」

進藤「それと拇印もな・・・後はテメェがやる事をキッチリやりゃ少なくとも、テメェ自慢の愛車をその手で守れるのは確かさ・・・」


こうしてオズマ、進藤の言葉にまるで巧みに導かれるかのように、GGOにフルダイブして死銃(デス・ガン)と称される謎のプレイヤーへの接触を課せられたのであった!
単なる噂・・・デマであれば良いが、もし噂は事実であったと知れはそれは命懸け!死銃の銃がオズマの・・・・進藤曰く死んでも惜しくない命を散らしてしまうかもしれぬと言うリスクを背負い・・・・オズマは愛車をその手で守る為に再び戦いに駆り出されたのであった・・・・! by立木ナレ
 
 

 
後書き
今回も進藤の台詞で『若者は掴まなくちゃダメだ』の部分はカイジの遠藤の台詞から引用しました。 
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