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ソードアート・オンライン~遊戯黙示録~

作者:マローン
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FILE204 対談・・・死銃の噂

2025年12月3日。夜6時過ぎの浅草の定食屋にて俺は訪れていた。

「へい、らっしゃい!お一人様かい?」

豪快な声の店主に対して俺は、待ち合わせ出来てると答えて。一階建ての大して広くも無い店内を見渡してみると、何処に居ても悪目立ちする大柄でサングラスを掛けた人相の悪いその男はすんなりと見つかった。

俺「アイツ・・・・っ!」

その男、俺を二日前に呼び出していた進藤正臣は俺に気が付かれるや否や、口元を不敵に歪ませて、中指をわざと立てるのだった。
灰色のコートを着込み、高級官僚にあるまじきボロのジーンズを着用した進藤が待ち侘びるテーブル席に俺は腰を下ろした。

即座に店のバイトらしき若い男が水とおしぼりをテーブルの上に置き、メニューを差し出していた。

進藤「ま、食えや。ここでの飲み食いは国民の血税で賄われるからよ・・・・これだけでも貧乏人のテメェには来た甲斐があっただろう?」

俺「んじゃ、まずは酎ハイ」

俺は進藤の憎たらしい顔つきと言葉を無視して早速注文をさせてもらう。浅草は俺の住んでいる山谷から比較的近いのでここまで徒歩で来ているので酒を飲んでも何の問題も無い、飲酒運転にはならないってわけだ。

進藤「ったく、テメェは仮にもこの公務員様の前で堂々と・・・」

俺「それとネギトロ丼のネギ多めで」

「かしこまりました」

バイト店員が席から離れて、ひと先ず進藤と再び一対一で向き合う事になった。進藤は俺が来る前に既に焼き鳥を注文して食っていたようで、最後の一本を口に入れると、邪悪な笑みを浮かべていた。

進藤「んじゃ、テメェのネギトロ丼ネギ多めとやらが来る前に・・・話をちゃっちゃと進めさせてもらうとするか」

俺「ああ、俺も酒飲んで飯食ったらさっさとアンタの視界の届かないところに行っちまいたいもんだからな」

進藤「ククク・・・・俺も口の利き方がなっちゃいねぇガキの相手は最小限で済ませてぇからな・・・・話ってのはまぁ、俺の役職からして分かるかもしれねぇが、バーチャル犯罪絡みって奴ヨ」

だいたいそんなところだとは思っていた。この男はSAO事件の対策チームの国側のエージェントとでも言う存在で、もう一人の中心人物の菊岡誠二郎と共にSAOから目覚めた俺の病室に訪れた所から厄介な縁が始まっていた。
進藤はタブレット端末を取り出して、操作しながら言った。

進藤「バーチャルペース関連の犯罪の件数は今ん所は増加気味だ。仮想通貨の盗難だとか、VRゲーム内のトラブルが原因で現実での傷害事件に発展しただとか・・・・こっちはテメェも知ってるだろ?模造の西洋剣振り回して、新宿駅で二人殺した事件とかよ・・・・」

俺「そいつ、薬物使って頭どうにかなってやがったんだろ?それを俺にどうにかしろなんて言わねぇよな?」

進藤「アホが・・・・っ!この手の事件にテメェ見てぇなあほに出る幕なんてあるかよ。つうかここまでは前置きでよ」

要するに、改めて俺を小馬鹿にしたいための前置きだったわけだ。俺が舌打ちしたタイミングでアルバイトの店員が俺の酎ハイを俺の前に置いていた。

俺「さっさと必要な話だけ済ませやがれ・・・・無駄話が多いからモテねぇんだろ・・・っ!」

進藤「これを見な」

いきなり進藤が俺に見せつけたタブレット端末に映っていた画像には、見知らぬ男の顔写真だった。隣には住所などのプロフィールが並んでおり、その顔は伸ばし切った長髪に銀振りの眼鏡・・・・頬や首が脂肪がついて太く、見るからに非リア充・・・・不潔な生活を送っていそうな男だった。

俺「コイツがどうしたってんだ?」

進藤「先月の11月14日にだな、東京都の中野区アパートで掃除してた大家が異臭に気が付いてな、臭いが漂ってきた部屋のインターホンを鳴らしたが返事は無し。電話にも出やがれねぇ。けど、部屋の中の電気は付いていた。大家は電子ロックを開錠して踏み込んで見りゃ・・・・」

進藤は何が傑作で面白いのか、嘲笑うかのような陰険な笑みを浮かべて言葉を続ける。

進藤「このブ男・・・・茂村保(しげむらたもつ)26歳無職独身が死んでるのを見つけたってところよ。死後5日半だったってよ。部屋ん中は男の一人暮らしらしく散らかってはいやがったが、荒らされた形跡は無しで、遺体はベットに横になって頭には・・・・」

俺「アミュスフィア、ね」

進藤はバカにするように『お、大正解だぜ』と笑いながら言った。

進藤「当然、この事は直ぐに茂村の家族にも連絡が伝わって、変死って事で司法解剖だ。死因は急性心不全だってよ」

俺「心不全って、心臓が止まったって事か?なんでだよ?」

進藤「知らねぇよ、原因不明だ」

俺「んだよそりゃ・・・」

進藤「くたばってから時間が経ち過ぎてたんだよ・・・」

進藤はこれくらい理解しろよと言わんばかりに苛立った表情で俺を睨み付けて、タバコを取り出し、ジッポライターで火を付けていた。
俺も今日は一本も吸っていなかった事を思い出し、胸ポケットから一本取り出してライターで火を付けて、互いに口から煙を吹かしていた。

進藤「それに犯罪性が薄いからよぉ、たいした精密な解剖はされなかったんだ。ただ奴はほぼ丸二日何も飲まず食わずでログインしてたらしいがな」

俺「丸二日何も飲まず食わずか・・・・それくらいは珍しくねぇよ」

進藤「クク・・・そうだったな。テメェらネットゲーム廃人ってのはそう言う人種だっけな?」

進藤の言った事もそうだが、VR世界での食い物をゲームの中で食えば、満腹になったと言う感覚は感じられてそれがだいたい数時間程度、ログアウトした後でも継続する。

事実俺もそれで24時間前後に渡るフルダイブを、ALOで何度か経験しているし、俺以上に長期間断続して降るダイブしている奴だってザラにいる。

最も、そんな事を頻繁に続けていれば流石に身体に悪影響・・・・ぶっ倒れちまうなんて事もあり得るわけで、一人暮らしならそのまま・・・なんて事もあるだろう。

俺「その程度なら良くある話だろ?」

進藤「ああ、よくある話だ。この程度の変死じゃニュースにもならねぇし、家族もゲーム中に急死なんて恥晒しな話は隠そうとしやがるから統計も取れてねぇ・・・」

そして進藤は再びタブレット端末を操作し始めていた。

進藤「この茂村のアミュスフィアにインストールされてたVRゲームのタイトルは《ガンゲイル・オンライン》それだけだが・・・テメェは知ってるか?」

俺「知ってるさ、通称GGO・・・銃を使ったVRMMOなんだろ?んで・・・日本で稼働してるVRMMOでは唯一、公式にRMT・・・リアルマネートレーディングが行われてるゲームでもある」

進藤「ほお、詳しいじゃねぇか」


リアルマネートレーディング・・・・通称RMTとは・・・・オンラインゲームやスマホアプリのアカウント、キャラクター、アイテム、ゲーム内仮想通貨などを、現実の現金や電子マネーで売買する経済行為である。
そしてオズマ自身も小学生時代は、従来型のPCを使用したMMORPGでリアルマネートレードを行っての小遣い稼ぎをしていたわけだが、元来利用規約で禁止・制限されている事が多かったRMTはVRMMOにおいては更にその規制は厳しくなっており、日本において正式にRMTが行わているのがガンゲイル・オンラインであった・・・・ by立木ナレ


進藤「茂村はガンゲイル・オンラインじゃトップクラスのプレイヤーらしくてな。10月に行われた、最強者決定イベントで優勝した奴でもある、プレイヤーネームはゼクシードだな」

俺「そのゼクシードは死んだ時もGGOにログインしてたのかよ?」

進藤「いや、《MMOストリーム》とか言うネット放送局の番組に、ゼクシードを再現したアバターで出演中だったらしいぜ」

MMOストリーム・・・通称Mストなら俺も知っている。確かその番組には今週の勝ち組さんとか言うコーナーがあるんだっけな・・・

進藤「そのMMOストリームに出演中にな、急に心臓発作を起こしやがったらしい。ログで秒単位で時間が判ってる。それでだ・・・丁度奴が発作を起こした時刻に、GGOの中で妙なことがあったとかブログに書き込んでるユーザーがいるわけでな」

俺「妙な事ね」

進藤「MMOストリームはALOでもGGOでの内部でも中継されてるのは知ってるな?・・・GGO世界の首都のSBCブロッケンっつう街のある酒場でも放送されててな。で、問題の時刻丁度にだ、一人のプレイヤーがおかしな行動をしてたらしいぜ」

俺「極道面の自称総務省職員に対する的を射た悪口か?」

進藤「てめぇをシバキ倒す事くれぇは何時でも出来るから今のは聞き逃しといてやらぁ・・・テレビに映ってるゼクシードの映像に向かって、裁きを受けろ、死ね、とか叫んで銃を発射したんだとよ。それを見てたプレイヤーの一人が、偶然音声ログを取ってて、それを動画サイトにアップした。ファイルには日本標準時間のカウンターも記録されててな。テレビへの銃撃があったのが11月9日の午後11時30分2秒。茂村が番組出演中に消えたのが11時30分15秒」

俺「偶然じゃねぇのか?」

丁度そこに、俺が注文したネギトロ丼ネギ多めをアルバイトの店員が運んできてくれた。俺は進藤の話を取りあえず聞き続けながら、割り箸を使って早速醤油を掛けて食い付いていた。

進藤「実はな・・・似たような事件がもう一件あるんだぜ」

俺「・・・・・・ほぉ」

進藤「今度のは二週間くらい前だったな。11月28日だ。埼玉県さいたま市大宮区、二階建てアパートの一室で死体が発見された。新聞の勧誘員が、電気が付いてるのに応答がねぇから居留守を使われたと思ったらしくてな、頭に来てドアノブを回したら鍵が掛かってなかったわけだ。中を覗いて見りゃ、布団の上にアミュスフィアを被った人間が横たわって異臭がプンプンとしてやがったわけだ・・・・」

コイツ・・・俺がせっかくネギトロ丼のネギ多めを味わってる最中にわざと気持ち悪くなるような物言いを・・・・

進藤「今度もやっぱり死因は心不全だ。名前は省くが・・・キャラクターネームは薄塩たらこだな」

そう言えば、SAOにも確かALFに北海いくらって奴がいたっけな・・・・まあ、それは関係ないか。

進藤「そいつもGGOの有力プレイヤーだったわけだ・・・ククク、31歳だってよ・・・!いい歳してったくよぉ・・・・」

俺「そのたらこさんとやらもテレビに出てたのか?」

進藤「いや、今度はゲームの中だな。アミュスフィアのログから、通信が途絶えたのは死体発見の三日前だ。死亡推定時刻もその辺りだな奴はその時刻、グロッケン市の中央広場でスコードロン――ALOやSAOで言うギルドの事なわけだが――集会に出てたらしい。壇上で偉そうに檄を飛ばしてた所を、集会に乱入したプレイヤーに銃撃されたんだとよ」

俺「街の中で銃撃・・・?GGOだって街中じゃダメージを与えられねぇだろ?」

進藤「ああそうだな。実際にたらこキレて銃撃者に詰め寄ろうとしたところをいきなり落ちたんだよロ。この情報も、ネットの掲示板からの情報だが正確さは知らねぇがな・・・」

俺「その銃撃した奴はゼクシードを撃った奴と同じなのか?」

進藤「だろうぜ。んでもって裁きだぁ、力だぁ、そんな事を抜かした後に、前回と同じキャラクターネームを名乗ってやがる」

俺「どんな名前だよ?」

進藤はタブレットを眺めながら、不敵に笑みを浮かべながら言った。

進藤「シジュウ・・・それとデス・ガンだとよ・・・すなわち死銃(デスガン)だな」

俺「・・・・・」

なんで死銃をデスガンと呼ぶんだか俺には分からん・・・死銃を英訳するとデスガンになると言う事だろうか?

俺「けどよ、それで撃たれた奴が死んだ要因とは言い切れねぇだろ?そいつらがフルダイブの為に使ってたのはナーヴギアじゃなくてアミュスフィアなら、脳を焼き切るなんて事は少なくとも出来やしないだろ・・・それともアミュスフィアには装着者を心不全にさせちまうような不具合でもあったってのかよ?」

進藤「確かに、ナーブギアには使用者を殺すときに高出力のマイクルウェーヴで脳の一部を破壊しちまったわけだが・・・アミュスフィアにはそんな電磁波は出せない設計だしな。開発者共は堂々と断言しやがったぜ」

俺「あり得ねぇよは思うけどよ、仮にだ・・・その死銃とか言う奴がゼクシードとたらこのアミュスフィアに何らかの信号を送ったとかだとしたら・・・」

進藤「まぁ・・・万が一にその可能性も0とは言い切れねぇかもしれねぇとしてだな・・・」

進藤はニヤリと不敵な笑みをわざとらしく浮かべて見せつける。恐らくここから・・・ここからこいつは俺に厄介な事を言い付けてきやがるだろう。
そして、俺の肩を大きな手で掴み、耳元に囁くようにしてついにその一言を発した。

進藤「試して見りゃいいんだよ・・・実際にテメェがな・・・」


それは悪魔の囁き・・・・!遠回しに撃たれる事を前提とした調査を進藤はオズマに対して依頼しようとしているのであり・・・・オズマもそれを察しているだけに両者の緊張感は急上昇・・・・!圧倒的ピークに到達・・・・っ!! by立木ナレ 
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