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許されない罪、救われる心

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61部分:第六話 暴かれた時その五


第六話 暴かれた時その五

 その日の朝は神無の机が外に投げ出されていた。椅子もである。しかもこの日も落書きがあった。そしてそれだけではなかった。
 昼にだ。神無に対してだ。また四人が囲んできた。
「じゃあお昼行こう」
「ねえ、何処がいい?」
「トイレ?それともゴミ捨て場?」
 神無を抓ったり引っ張ったりしながら囲んで問う。
「友達だし。一緒に食べようよ」
「楽しくね」
「う、うん」
 神無は蒼白になってそのうえで四人に頷いた。
「それじゃあ」
「今日も楽しく食べようよ」
「そうしよう」
 こうしてだった。そのまま神無を連れて行こうとする。しかしだった。
 岩清水が来た。そうしてだ。神無しの手を掴んで引き戻してから言うのだった。
「いいじゃない、こっちで食べようよ」
「えっ!?」
 このことに驚いたのは神無だけではなかった。四人もである。四人はその唖然とした顔で岩清水に対して言うのだった。
「ちょっと、何よ」
「うち等これから同じラクロス部で昼行くんだぜ」
「そうよ。仲間内で楽しくね」
「これから行くだけじゃない」
「そういえばだけれどさ」
 岩清水は四人に対して言うだけではなかった。今クラスにいる他の面々にも聞こえるようにしてだ。こう言ってみせたのだった。
 何気なくを装って。しかし周到な計算のうえでだ。彼は言った。
「ずっと前から不思議に思ってたんだけれど」
「何よ」
「何なんだよ」
「椎葉さんに何かある時四人共何かした?」
 こう四人に問うのだった。何気なくを装って。
「困っていた時に何かした?同じラクロス部だっていうけれど」
「そういえば」
 彼の言葉に最初に気付いたのは弥生だった。
「如月達そういう時いつも教室の端にいるわよね」
「そうだね」
 葉月もそれに続く。
「確かにね」
「同じラクロス部よね」
 弥生は四人にこう言ったのだった。
「それだったら普通真っ先に助けない?」
「同じ部活だったら付き合いも深いんじゃないかな」
 また言う葉月だった。
「そういうの考えたら」
「どうしてなのかな」
「そ、それは」
「その・・・・・・」
 二人のいぶかしむ声にだ。四人は口ごもってしまった。言葉が出なくなった。
「それはね」
「ま、まあ何ていうか」
「ちょっと」
「ねえ」
「どうしたの?焦ってない?」
 弥生はそんな四人の態度にさらにいぶかしんだ。
「私の気のせい?」
「どうしたの?」
 葉月も怪訝な顔になって四人に問うた。
「本当にさ。おかしいよ」
「そ、そうかしら」
「別にそんなことはないけれど」
 如月も焦っていたし霜月の言葉はおかしなものになってきていた。
「私は別に」
「私も。特にないわよ」
「うち等だってラクロス部だしさ」
「そうよそうよ」
 文月は長月の咄嗟の言葉にすがりついた。
 
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