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ソードアート・オンライン~遊戯黙示録~

作者:マローン
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FILE201 挑発・・・完全な訣別

坂上家を窺う怪しい人影の正体は優心のストーカー・・・・・なわけがなかったっ!!男の正体はオズマの顔見知りの男であり・・・・総務省総合通信基盤局高度通信網振興課第二分室(通信ネットワーク内仮想空間管理課:通称「仮想課」)職員・・・・進藤正臣(しんどうまさおみ)であった!

オズマに対して愚弄するかのような態度の進藤に対し、オズマも対抗するかのように皮肉を交えた言葉を返し、只ならぬ雰囲気の夜は続く・・・・っ! by立木ナレ



俺「んで・・・・こんな夜中にアンタ一人でどうしたってんだよ・・・・?」

進藤「慌てるんじゃねぇよ・・・極潰しの居候が・・・・っ!」

俺「っち・・・んな事まで知ってやがるのかよ・・・・つうかアンタ、俺が万博の帰りの時点でもう追ってたらしいが・・・・それも公務員様の仕事の内なのかよ?」

俺の今の生活状況を事細かに把握してやがる進藤に対して俺は舌打ちを交えて睨みつけて言い放った。すると進藤は、極道面を薄気味悪く微笑を浮かべながら口を開いた。

進藤「クク・・・アホか?たかがSAO生還者のガキが運転する車を追うのが総務省の仕事な分けねぇだろうが・・・・っ!ちったぁ頭使ってモノ言いやがれってんだ・・・クククっ!」

俺「相変わらず公務員の癖して口の悪いこったな・・・・・だったら個人的に勝手にやりやがったのかよ?」

進藤「ま、偶然って言えば偶然もあるな・・・・今日の俺は休暇でよぉ、55年ぶりの大阪万博ってのがどんなもんなのか試しに行ってみたわけだがよぉ・・・・思った以上につまらねぇったらありゃしねぇ・・・・・っ!」

進藤は吐き捨てる様に言い放ちつつ、胸ポケットから煙草を一本取り出して、ジッポライターで火を付けて、口から煙を吹かし始めていた。

進藤「けどよぉ、そんなクソの欠片も面白くもねぇ大阪万博だったが・・・・どう言うわけか面白れぇ事にテメェを見つけちまったわけよ・・・・よりにもよってヒデェ面した女を連れてよぉ・・・・クククっ!んでもって後を付けて見りゃオメェときたら、あの妥協した女の家に極潰しの居候生活してやがったとはなぁ・・・・っ!!」

進藤は憎たらしい笑みでクククと笑いながら、俺の現状の生活、敷いては優心との地獄のパンパクデートの一件を茶化し更に愚弄していた。

俺「俺が好きでアイツと万博行ってたように見えるんなら眼下に行って治療してきやがれ・・・・っ!!治るかどうか知らねぇがな」

進藤「まぁ、そう邪険に扱ってんじゃねぇよ。本来ならこの話は直接会ってまで伝えるほどでもねぇわけだが・・・この際だからここで教えてやるよ」

俺「あん?俺がアンタの面白くもねぇ話に耳を貸すなんて思うか?」

進藤「良いから聞け、詳しい話は後にするとしてだ―――」

進藤は一方的に俺の事情もお構いなしに、傲慢な態度を保ったまま話を切り出してくる。

進藤「テメェみてーな極潰しのロクデナシのクズ野郎が人の役に立てるチャンスを態々持って来てやったんだ・・・・VRMMO絡みのな・・・・っ!」

俺「勝手にべらべらと・・・・もう行くぞ。独り言なら好きなだけ勝手にだべってろよ」

付き合ってられなくなり、俺はその場から身を翻して坂下家に戻ろうとした矢先だった―――今まで以上に進藤の、俺を愚弄する意思の籠った声が背後から浴びせられたのは。

進藤「おまえの毎日って今・・・ゴミって感じだろ? 」

俺「・・・・いい加減にしつけぇな・・・っ!」

進藤「無気力で自堕落で非生産的・・・・だろ?」

俺「んで、それがどうしたって言いやがる・・・・っ!?」

進藤「どうして今、そうなのか分かるか・・・・?金も地位も権力も・・・・何一つ掴んじゃいねぇからさ・・・・っ!」


その言葉はオズマにとって戯言・・・・っ!聞く価値など毛ほども有りもしない戯言のはず・・・・・であるにも関わらずっ!その言葉は不思議な事に、オズマの足を止める・・・・どう言うわけかオズマはその言葉を聞くにつれて、その場から足が動かなくなる・・・・まるでオズマの足に絡みついた鎖の如く動きを止める・・・・っ!! by立木ナレ


進藤「金がねぇから毎日がリアルじゃねぇんだ。例えばそうだな、バスケットボールが100メートル以上高い位置にあったとすりゃ、誰もゴールにボールを投げねぇよな?・・・・ようはテメェはその届かねぇゴールにうんざりしちまってんだ・・・・っ!欲しい者は幾らでもあるのに、それは全部手の届かねぇショーウィンドウの向こうよ、テメェには手の届かねぇ・・・手が届かねぇって最初(ハナ)から諦めてやがるから、今を変える為の行動を起こさねぇ・・・・っ!!自分を高めようなんて微塵も考えやしねぇクズになり果ててやがるんだ・・・・っ!」

俺「・・・・・・・っ!」

進藤「今回俺が用意してやった話はな、そんなテメェのお先真っ暗な未来に微かな光を灯すチャンスになるかもしれねぇ・・・・最終的にどうなるかはテメェ次第ってわけだがな」

最終的どうなるかは本人次第―――それは、なんだかんだで相手にその責任のすべてを委ねさせる典型的な無責任発言そのものだ。

進藤「明後日の午後の7時にここに来やがれ・・・・テメェに今を僅かでも変えたいなんて意志があるんならな・・・・」

進藤は一歩、二歩と俺に近づき、一枚のメモを俺の手に押し付ける様に手渡すのだった。それとほぼ同時に、左手に持っていたタバコを床に遠慮なくポイ捨てしていた。
そして再び、相手を愚弄するような不敵な笑みを浮かべる。

進藤「どうせ暇なんだろテメェ?ククク・・・・それにそもそもだ、テメェの今の極潰しの居候生活も続きやしねぇ・・・・何時追い出されたっておかしくねぇよな?」

そんな捨て台詞を残した後、進藤はポイ捨てしたタバコをその場に放置したまま、セダンのBMWに乗り込んでいた。
最後に進藤はパワーウインドウで運転席側の(左側)窓を開けると、俺の方にサングラス越しに鋭い視線を向けながら言った。

進藤「ま、そう言うわけだからよ・・・・・気が向いたら来てみろってこったな・・・・・俺としてもテメェみてーなクズがどの程度役に立つか正直分からねぇからなぁ・・・・」


そして、進藤はオズマに対して、最後まで侮蔑の態度を崩すことなく車を走らせて去って行ったのであった。
残されたのは進藤の車が走り去る姿を眺めるオズマと・・・進藤がポイ捨てして放置した一本の煙草のみであったっ! by立木ナレ


俺「っとに・・・・なんべん会ってもムカつく野郎だよ・・・・っ!相手にしてられるか・・・・」

俺は進藤の言った言葉を脳裏から振り払い、さっきまでのやり取りを半ば無理矢理忘れさせようと坂下家まで一目散に走っていた。
坂下家の門がスグに見えて―――俺は家を出る時との違い、異変にすぐに気が付いていた。

俺「は・・・?んだよ・・・ありゃ?」

家の玄関にまで辿り着く事は出来なかった、なぜなら・・・坂上家の家の門が閉まり敷地内に入る事すら出来ない状態になっていたからだ。
そして門の前には茶色の荷物が詰め込まれたカバン、それに―――

俺「これって、さっき光太郎が用意した・・・・」

それは、光太郎が俺に手切れ金として差し出した10万円が入った饅頭菓子の箱だった。俺はその箱の中身を空けてみると・・・・その中には先ほどの10万円の他に一枚の手紙が入っていた。
それを見た途端―――全身に嫌な予感を感じつつも俺は手紙を手に取り、書いてある内容をそのまま目を通す。


弭間君へ、不審者の正体については気になるが、このチャンスを僕は生かさせてもらう事にしたよ。ここにある手切れ金の10万円と、こちらでまとめさせてもらった君の荷物一式を持って出て言ってくれ、車の鍵は君自身が持っているみたいだしね―――もう二度と君に坂上家の敷地を跨がせる事は無い、これが僕と君の今宵の別れだ、もう二度と会う事は無いだろう・・・・さよなら弭間君 by光太郎」


俺「おいおい・・・・俺が妹のストーカーだと思ってる奴を追い払いに行ってやってる間に・・・・こりゃねぇだろう・・・・・っ!?」


それはまさに・・・・訣別の手紙であった!光太郎はこの手切れ金とこの手紙一枚ですべてを絶つ・・・・オズマとの一切の縁を何もかも・・・・その全てをっ!! by立木ナレ


俺「あの劣悪な・・・・地獄を抜け出した仲だってのに・・・・っ!こんな別れだと?・・・・・それでも人間か・・・・っ!?」


余りにも一方的な光太郎からの訣別の手紙一枚による絶縁にオズマは手紙を握り潰し、思わずそんな独り言を漏らしていたのだった―――が、光太郎側からして見れば当然の判断であるっ!! by立木ナレ


何時までもこうして突っ立ていたところで、光太郎が家の門を開けてくれるはずも無く、俺はもうこの家の敷地を潜る事は敵わないと諦め、ひと先ず50日ぶりに実家に戻ることを決めて、オヤジにラインで帰宅の知らせを入れて車に荷物を積んで乗り込むのだった。


※ ※ ※


時は遡り2025年10月、坂上光太郎は高校時代に就職に失敗した鉄道会社の中途採用試験の面接に臨んでいた・・・・っ!

面接官「坂上君、君は高校を卒業してから今日まで二年近く・・・・進学したわけでもなければ、就職したわけでも無いようですが、いったいどうしていたのですか?」

光太郎「はい、正直に申しますと・・・僕は情けない事に、一度就職に失敗した事で不貞腐れて、引きこもりのネットゲーム三昧の無為で無気力で非生産的な生活を送っていました!」

面接官によって高校卒業から今に至るまでの生活について問われた光太郎は、堂々と自らの引きこもりのネトゲ廃人生活を赤裸々と語ったのであった。
部屋に引きこもりネトゲ三昧・・・っ!そして、数カ月前に話題となった劣悪なネットゲーム依存治療施設への収容の一件、それらの経緯は言うまでも無く、面接官たちにとって光太郎の心象はマイナス評価に繋がるばかりであった。

光太郎「そして友人の活躍により僕は、不正を行っていた施設から解放されたのを機に生まれ変わる決意を改めました!これまで迷惑をかけ続けた両親からの信頼を取り戻し、こんなどうしようもない僕に毎週会ってくれた最愛の妹の為に・・・・」

気が付けば光太郎は号泣・・・・っ!面接中であるにも拘らず男泣き・・・・っ!!

光太郎「そして、僕の未来を照らしてくれた施設で出会った友人の為にも・・・ですっ!きっと彼も今何処かで・・・・自分のそれまでの生活と人生を悔い改めて、生まれ変わろうと懸命に戦っているはずなんですっ!!」

それは買い被りである!!光太郎はオズマの事を救世主として尊敬していた余り・・・オズマの本来の根っこのグータラさ、自堕落っぷりを完全に見落としていたが故の言葉であった!!

そして、光太郎の面接は終わり・・・・翌日の面接官同士の会議にて―――

面接官「次に坂上光太郎君ですが、彼はどうでしょうかね?」

面接官「残念ながら、彼は難しいでしょうなぁ・・・・何せ二年近くも無職の引きこもりの生活を送っていたと言うんですから・・・・」

面接官「面接中に自分の過去を語って泣くと言うのも考え物ですね・・・・」

いうまでも無く、光太郎の採用に関してはどの面接官も消極的・・・・っ!過去の引きこもりの経緯が特に尾を引き、光太郎の採用はやはり無理、不可能かと思われた時であった―――

「ちょっと待ってください!!」

突如として、一人の面接官が机を豪快に両手で叩き・・・・大声を張り上げたのであった!!

面接官「ま、松岡さん、急になんですか・・・・?」

男の名前は松岡(まつおか)。この鉄道会社屈指の・・・・今時あり得ぬ燃える熱血漢であった!

松岡「貴方達こそ何なんですか!?彼は・・・・光太郎君は自分の人生を切り開くために、一度は不採用になったウチの会社へ入社する為に再びその門を叩いたんですよ!!そして、不利になると分かっていながら自分の引きこもりの過去も包み隠す事無く語ったっ!!」

光太郎の事を熱く語る松岡は、面接中の光太郎と同様に熱くなる余り目から熱い涙を零し男泣き・・・・っ!!傍から見れば暑苦しい男泣きっ!!

松岡「僕は決めたっ!僕が彼を採用する!」

面接官「ま、待ってください松岡さん!そんな一方的な・・・・また彼がネットゲーム依存で引きこもる様になったらそれこそわが社にとって――」

松岡「例え貴方達が認めなくとも僕が認めるっ!これは決定事項だっ!彼はわが社の一員となるのだぁぁぁぁっ!!」


こうして光太郎、高校時代から熱望していた鉄道会社への就職決定っ!!そして、敷いてはこれが、オズマと光太郎の訣別の遠縁になるとはだれも想像などしていなかったのであった・・・・ 
 

 
後書き
今回の進藤がオズマに対してはなった言葉はカイジの遠藤がカイジのアパートでカイジに対して放った言葉を参考にしましたww 
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