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許されない罪、救われる心

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5部分:第一話 辛い気持ちその五


第一話 辛い気持ちその五

「あれよね」
「うん、男の子で一人酷いのいたじゃない」
「ええと、転校したあいつよね」
「名前は確か久米だったわね」
「そう、久米俊太郎」
 それが弥生をいじめていた相手の名前だというのだ。
「あいつがね
「そうだったわよね、とんでもない奴だったわね」
「殴ったり蹴ったり。それに意地悪もしたし」
「その時にだったわね」
「私もいじめられるのは嫌」
 弥生も俯いた顔になっていた。二人でマクドナルドに入りその白い店の中でバニラシェイクを飲みながら。そのうえで向かい合って話をしていた。
「あの時みたいには」
「ええ、私も」
 そして如月もまた言った。
「いじめられるのはもう嫌だから」
「いじめる人ってどんな気持ちなのかしらね」
 それは二人には全くわからないことだった。
「本当に」
「わからないわよね、それは」
「ただ。思うのはね」
 ここでだ。弥生は静かに言うのだった。
「人はいじめたくないわね」
「ええ、本当に」
「それはね」
 このことは如月も同じだった。
「絶対にそれは」
「何があってもね」
「私絶対に人をいじめたりしない」
 如月は俯いてそのうえで。決意したのだった。
「いじめられるのが辛いから」
「絶対にね。若し如月が誰かをいじめたらね」
「うん、私が誰かをいじめたら」
「きっととんでもないことになるわ」
 こう言うのだった。
「絶対にね」
「とんでもないことって?」
「悪いことをしたら絶対に報いがあるから」
「報いが」
「世の中っていいことも悪いことも絶対に自分に返ってくるじゃない」
「そう言われるわね」
 弥生に顔を向けて話す。
「因果応報よね」
「そう、だからね」
「人をいじめたら絶対に駄目」
 如月は考える顔になってそのうえで言った。バニラシェイクを飲むその動作も止まっている。
「絶対になのね」
「それは御願い」
 心から話す弥生だった。
「本当にね」
「わかったわ」
 そんな話をしていた。如月は夏休みはのびのびと部活を楽しんだ。顧問の先生もよく何の悩みもなかった。それで楽しくやれたのだった。
 そして二学期になるとだ。その転校生が来た。
「はじめまして」
 始業式が終わりその直後のホームルームでだ。小柄で黒いショートヘアの女の子が教壇の側に立ってそれで挨拶をしていた。
 ピンクのブラウスにえんじ色のストライブのスカート、それに男もののえんじのストライブのリボンをしている。目は大きく黒い。それがきらきらとしていた。顔立ちは全体っとしてかなり整っている。
 その少女がだ。名乗るのだった。
「椎葉神無です」
「皆の新しいクラスメイトだ」
 担任の先生が笑顔で彼女の左隣に立って話す。
「宜しくな」
「おい、可愛いな」
「そうよね」
 男子も女子もその神無を見て話す。
 
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