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星河の覇皇

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第六十九部第五章 分権派の警戒その十六

 グリーニスキーはその建前に合わせて彼も建前を出した、そのうえで言うのだった。
「しかし我々はです」
「四国で、ですね」
「よく動いていますし」
「連合でもですね」
「中央政府に多くの者を出しています」
 官僚ではない、中央政府の官僚はこの場合は中央政府の人間になるので敵になるのだ。
「密かに」
「そうですね、目と耳もですね」
「我々は中央政府に持っています」
「だからですね」
「はい、そうです」
 だからこそというのだ。
「ですから」
「四国でいいのでは」
「いえ、ブラジルとトルコもまた」
「目と耳はですね」
「持っていてです、しかも」
「しかも、ですか」
「ブラジルは中南米諸国、そしてトルコはイスラムにです」
 それぞれというのだ。
「かなりの影響力があります」
「だからこそ」
「六国で主導しましょう」 
 四国ではなくというのだ。
「そうしましょう、それでは」
「そうですね、しかし」
「しかしとは」
「ブラジルとトルコでもです」
 伊東の思惑を測りかねないままだ、グリーニスキーは彼女に言った。
「入れてはです」
「四国よりもですね」
「先程首相が言われましたが」
「船頭が多くなる」
「そうなるのではないでしょうか」
「いえ、三百以上の国を四国でまとめることは」
「難しいと」
「今回は規模が違います」
 冷静な口調でだ、伊東はグリーニスキーに返した。
「各国政府全てをですね」
「まとめる必要があるでしょう」
 このことはグリーニスキーもわかっていて応える。
「何としても」
「絶対にですね」
「ですから」
「それで、ですか」
「私は六国でいくべきとです」
「まだ言われますか」
「はい、是非」
 微笑んでだった、伊東は言うのだった。
 そしてだ、グリーニスキーにここでカードを切った。
「それにこのことは」
「このことはとは」
「既に貴国の財界もご承知ではないでしょうか」
「財界ですか」
「はい、貴国の」
「その様な話は」
 グリーニスキーはまさかと思いつつも冷静さを保って伊東に応えた。
「聞いていませんが」
「そうなのですか」
「しかし財界が、ですか」
「ブラジルとトルコで水面下で、です」
「商談を進めていて」
「そのうえで」
「まさか」
 グリーニスキーは応えつつだ、それも有り得ると思っていた。実際に財界ではブラジルやトルコとのビジネスに動こうとしている産業もあるからだ。
 しかしだ、それが水面下で動いても大統領である彼の耳にはすぐに入る。その彼が知らないうちにまさかと思いながらだ。
 伊東にだ、こう言ったのだった。
「そうした話が」
「詳細をお知りになりたいですか」
「いえ」
 仮面を付けて申し出は断った。 
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