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ソードアート・オンライン~遊戯黙示録~

作者:マローン
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FILE199 寄生する者オズマ、失望する者光太郎

オズマ・・・優心との悪魔的大阪万博デート!東京に戻る頃には既に精神は疲弊しきった状態でその顔は生気を失った目付きとなっていた・・・っ!そんなオズマとは対照的に清々しい気分の優心!そんな二人が戻ってきたのは優心の家がある文京区の坂下家。

一見すると、オズマが優心を家に送ったかのように思えるが・・・オズマはどう言うわけか車を坂下家の駐車場に駐車し自身もそのまま坂下家の敷地を潜っていた。 by立木ナレ


疲れた・・・今は何の欲も無い・・・酒もタバコもいらねぇ・・・フルダイブする気も起きねぇ・・・・は、早く寝たい・・・・っ!

俺の前で優心が家の扉を開けると、気分の良さそうなガラガラ声をあげる。

優心「ただいま~!あ~、楽しかったぁ~!」

こっちは無茶苦茶疲れたってのに・・・俺がそんなウンザリした気分に浸っていると、玄関の目の前の和室から、険しい表情を浮かべた・・・似合わない虎のゆるキャラの服を着た光太郎が姿を現した。

光太郎「遅い・・・っ!」

優心「え~?遅いって・・・まだ8時じゃないのよぉ~っ!」

帰りの遅さを兄によって咎められた妹は、顔に似合わず一応は年頃の少女らしく、反発していた。

光太郎「遅い・・・っ!遅すぎるじゃないか・・・・っ!」

優心「もぉ~、東京から大阪なんだよぉ。途中でパーキングで晩御飯食べてから帰ってたらそれくらいの時間になっても仕方ないでしょう!」

光太郎「優心、待つんだ!」

執拗に咎める光太郎だったが、優心はさっきまでとは一転して不機嫌そうにしながら階段を上がり自分の部屋に戻って行った。

光太郎「くぅ・・・っ!」

そして、今度は俺の方を・・・・まるで憎き仇敵を見るかのような形相で睨みつけていた。そんな光太郎に対して俺は、引き攣り気味の苦笑を浮かべていた。

俺「へへへ・・・面倒だよな・・・年頃の娘って奴はどうもな・・・・じゃ、俺も休ませてもらう――」

光太郎「待て」

止められた・・・出来れば聞き逃したいが・・・・そんな事が出来る立場じゃないしなぁ・・・

俺「・・・・ん?」

光太郎「話がある・・・」

俺「ああ~・・・今日はもう疲れてるからさ・・・・話ならまた」

光太郎「ダメだ!来るんだ!和室に・・・・っ!」


結局オズマ・・・・立場的な問題もあり、逃げる事も出来ぬまま先に和室に移動し正座・・・・っ!疲れ切った表情で正座! by立木ナレ


俺「ったく・・・・また説教だろうな・・・・めんどくせ――」

と言い切る前に、光太郎がお盆に二人分のお茶を乗せた状態で和室に入って来たので俺は口を閉じていた。
お茶を差し出され、俺はひとまずそれを一口飲み、そんな俺に対して光太郎は施設にいた頃からは想像もできない様な嫌悪感丸出しの表情を浮かべながら口を開くのだった。

光太郎「弭間君・・・・僕は今まで遠慮して、言う時は遠回しな言い方をしてきたんだけどさ・・・・それじゃあ君は全く応えないみたいだから・・・・今日はハッキリと言わせてもらうよ・・・・っ!」

光太郎が俺に対して何を言おうとしているか、だいたい想像は付いていた。

光太郎「出て言ってくれ」

俺「あ、はぁ・・・」

本当に予想通りな光太郎の言いたい事に俺は気の抜けた声を上げていた。

光太郎「僕だってね、二日や三日・・・せいぜい一週間程度くらいだったらさ、こんな野暮な事を言ったりはしないよ、言いたくない・・・っ!」

光太郎は手に持っていた湯飲みを机の上に叩きつけて、更に表情を険しくして言葉を続ける。

光太郎「けど君、それをずるずるずるずると・・・この家に50日も・・・・っ!!」

俺「ああ・・・」

そう、そうなのだ・・・光太郎はあの劣悪なネットゲーム依存施設から解放された後。高校時代に就職を希望していた鉄道会社の中途採用試験を受けた結果・・・・本当に就職を果たしてしまったのだった。
そして、それまでは光太郎に対して完全に見放した態度を取っていた両親ときたら、息子が鉄道会社の就職を決めた途端に・・・・大歓迎っ!自慢の息子だの、ずっと信じていたなどと息子を称賛しまくると言う・・・そんな上手い話があるか・・・・と思っていたわけだが・・・実際にあり得たわけで、訳の分からぬ展開・・・・!

そして、その分かり易いファミリーはそれから程なくして、光太郎の就職祝いに俺を自宅に招待した。そして接待と言うか・・・温かく歓迎されて、俺も楽しく寛がせてもらった。
最初のうちは、光太郎も好意的だった・・・俺にとってありがたかったのは、坂下家の二階の空き部屋を一つ使って良いと言われた事であり・・・その部屋は8畳程度の広さだったわけだが、いままで1k10畳の部屋に3人で住み、自分の部屋が屋根裏と言う境遇で過ごしてきた俺にとって一人で8畳丸ごと自由に使って良いと言うのはまさに青天の霹靂と言っても過言ではない位の事態であり・・・生まれて初めてとなるまともな一人部屋を俺は謳歌していた・・・・

だが、長居が続くにつれて、段々と冷たく・・・あ、いや・・・逆にドンドン寄って来る例外(優心)もいるにはいたわけだが、概ね冷たく―――

光太郎「弭間君っ!!」

俺「あ、ああ・・・っ!」

光太郎「僕だって・・・僕だって・・・こんな事を言いたくはないよっ!」

優心と本当にそっくりな顔を近づけて、光太郎は本当にこんな事を言うのを心苦しいと言った様子で、困り果てた表情を浮かべて言い続ける。

光太郎「弭間君が僕に未来を照らしてくれた事・・・それは分かってるさっ!だからその事には本当に感謝してるんだ・・・っ!感謝してるからこそ、今日まで何も言わずに居座るようになってきた君の面倒を見て来たけど・・・けど、限度ってのがあるだろっ!」

俺「ああ・・・」

俺は相変わらず気の抜けた返事を返すのみだった。

光太郎「君は・・・恥ずかしくないのか・・・・!?男として・・・人の家にずるずると世話になり続けてる事が・・・弭間君!!」

正直、タダで人の世話になれるんなら、恥ずかしいとか以前にそれにご相伴になりたいと言うのが俺の本音だった。
俺は湯飲みに入った茶を軽く口に入れて、一息つく。

光太郎「良いかい・・・弭間君・・・君は元気だっ!人並み以上に健康で身体も丈夫で体力だってある・・・・っ!働く事だってできるし、学びなおす機会だってあるはずじゃないか・・・っ!」

百歩譲って気が向いた時にだけ働くとしても・・・今更学校や予備校に通って学業に励むなんて御免被る!!

光太郎「なのに君ときたらうずるずるずるずる・・・働くのは御免で学校にも行きたくないで食う、寝る、遊ぶ・・・・っ!どこにいったんだっ!」

再び光太郎は声を荒げて前のめりに迫って来る。

光太郎「あの時の・・・大月施設長に真っ向から立ち向かって僕たちの救世主になった弭間君は何処に行ったんだよっ!!」

誤解されがちだが、俺は本来そんな風に熱くなったり、率先して努力したりなんてするタイプとは程遠くむしろ真逆・・・・あの時はそうせざるを得ない位に追い詰められていたから、仕方なく辛抱に辛抱を重ねてああしたに過ぎない。

光太郎「分かるだろ・・・っ?君をこの家に呼んだのは僕なんだから、君の居候が長引けば長引くほど、僕の肩身がまた狭くなるって事くらい!!」

俺「まぁ、そりゃ・・・な」

それは分かっているつもりだ。光太郎の親父とお袋も、最初の内は俺の事を息子の友達で恩人と言う言葉を信じ、歓迎ムードだったが、今となっては俺の顔を見るなり厄介者を疎むような目付きを見せつけてきやがるし、一週間くらい前にも光太郎がこの和室で両親から・・・『お前のあの友達は何時になったら出ていくんだ?』と問い詰められているのを聞いてしまった。

聞いてしまったが・・・かと言って光太郎を問題の張本人である俺がフォローするのも変な話なので、見て見ぬ振りをしてしまったわけだが・・・・

光太郎「今度は君が切り開くんだ・・・っ!自分の人生を!立つんだ今から・・・っ!今こそ出る時だろ!?飛び立つんだぁぁぁぁ!!」

俺「いやぁ・・・」

光太郎の腹の底から絞り出したような魂の叫びは、残念ながら都合の悪い言葉を聞き流す事に特化した俺の耳には右から左だった。

俺「まぁ・・・そのぉ・・・光太郎の言ってる事は分かるし、俺も出ていけるもんなら出ていきたいもんだけどよ・・・けど、なんっつーかぁ・・・」


この時のオズマは、なんだかんだでここでの居候生活を続けたい!ただ飯、無賃滞在、小遣いが付いてくるこの生活を捨てたくない・・・・っ!そんな図々しさ満点の堕落しきった思考により、言い訳の嵐とも言える言葉を次々と思いつくのだった!! by立木ナレ


俺「何しろ手持ちの金も小銭ばっかりな状態だしよ・・・・「出ろ」だの「飛べ」だのとそっちから言うのは簡単だろうけど・・・・・そんな言葉に乗せられて出たら出たで・・・・ほら要するに俺が困るわけで・・・・・そういうのやっぱり俺には向かねぇ・・・・・っていうか無理・・・・たぶん無理・・・・っていうか不可能なわけで・・・・たぶん無理・・・いや絶対に無理だな・・・・無理、無理、無理・・・・100%無理だ・・・・」


この瞬間・・・光太郎の中で恩人にして英雄オズマのイメージ像は音を立てて崩壊・・・・っ!そしてそんな今までのオズマのイメージが崩壊し、光太郎が改めてオズマに対して抱いた人物像はたった一言のみ・・・・っ! by立木ナレ


光太郎(こ、こいつ・・・クズだったんだ・・・・っ!)


クズ!それが光太郎がオズマに対して・・・・それまでのイメージから一転して新たに見直した結果、オズマに対するたった一言の人物評であった!
そしてこれがオズマの本来の姿・・・・平穏な日常化においての普段の私生活における姿そのものなのであったっ!
むしろ今までの・・・収容施設で見ていたオズマの姿こそが仮・・・っ!切羽詰まった状況下でのみの姿なのであったっ! by立木ナレ


光太郎(まさに誠正真正銘のクズ・・・っ!このままコイツを放っておけばしゃぶられる・・・骨の髄までっ!!・・・・このクズにっ!!)


そして光太郎はこの状況になってようやく――オズマを居座らせ続ける事が如何に危機的な状況下であるかを痛感・・・っ! by立木ナレ


光太郎(早く・・・今日中に・・・・今すぐにでも叩き出さなくてはならない・・・・っ!!け、けどぉ・・・・ただ叩き出せばいいわけでもない・・・)


そう、光太郎の懸念・・・・それは光太郎にとって簡単にオズマを追い出すわけにはいかぬ最大の障害! by立木ナレ


光太郎(コイツは・・・この男は末恐ろしい事に・・・・いつの間にか籠絡してやがったんだ・・・・僕のぉ・・・・僕の世界一可愛い・・・・純真で可憐な妹の優心ぉ・・・・っ!!)


光太郎、優心がオズマに妙に好意的な態度を取っている姿を思い出し、思わず男泣き・・・っ!


光太郎「う・・・うぅ・・・・っ!!」

光太郎(そ、想像もしたくはないけど・・・ま、万が一・・・・万が一・・・・・優心が身籠ったりでもしてしまった暁には・・・・優心の旦那・・・夫・・・・?)

光太郎が気持ち悪く男泣きをしたまま俺の顔を見据えてくる・・・一体どうしたって言うんだか・・・・と言うか、何を考えてやがる・・・・?

光太郎(夫だと・・・・こ、このクズがぁ・・・・っ!?)

俺「おい・・・・」

光太郎「貴様ぁぁぁぁぁっ!!」

光太郎は唐突に叫び散らしながら俺の胸倉を掴んでいた。その目からは更に涙を勢いよく零した状態で、最早俺には光太郎がいったい何を思っているのはまるで意味不明・・・・想像不可能だった・・・・

俺「お、おい・・・どうした・・・・?」

光太郎「はぁ・・・はぁ・・・はぁ・・・・・」

何をさっきから一人で勝手に興奮して息切れしてやがるんだこいつは?俺は目の前の光太郎が精神的に止んでしまったんじゃないかと疑いの目を向けていると、光太郎はその場からゆっくりと、足を震えさせながら立ち上がっていた。

光太郎「少し・・・待ってて・・・・っ!」

光太郎はそう言い残して、和室を後にして、戸を叩きつける様に閉めたのだった。

俺「あいつ・・・本当にどうしちまった・・・意味が分からねぇ・・・」

取りあえず、ほんのつかぬ間ではあるが、緊張の糸が途切れた俺はその場で両手を後ろについて、大欠伸をしていた。

俺「あ~あ・・・」

早く終わんねぇかなぁ・・・・この説教・・・・っと唐突に戸が大きな音を立てて開いたかと思うと、険しい表情のままの光太郎が入って来て、俺は瞬時に体勢を正していた。

そして光太郎は、今にもぶち切れそうな表情のまま、手に持って来ていた栗饅頭の箱を目の前に置いていた。

俺「いや、いらねぇよ・・・食欲とかねぇし・・・え?」

てっきり中に入ってるのは栗饅頭かと思っていた俺だったが、光太郎が無言のまま箱を開けて、その中身を間近で目の当たりにした俺は目を疑っていた。
箱の中に入っていたのは一万円札が1枚・・・2枚・・・3枚・・・全部で10枚で10万円だった。

光太郎「これで・・・・出てって欲しい・・・っ!」


突如として光太郎がオズマに差し出そうとしたのは10万円!そして、これで出ていくように要求する光太郎・・・・そう、これは俗にいう手切れ金であった!! by立木ナレ



 
 

 
後書き
かつてないほどまでに堕落しまくったオズマでした・・・この手切れ金での追放要請に対してオズマはどうするか・・・・まあ、この居候生活も流石に限界でしょうが 
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