| 携帯サイト  | 感想  | レビュー  | 縦書きで読む [PDF/明朝]版 / [PDF/ゴシック]版 | 全話表示 | 挿絵表示しない | 誤字脱字報告する | 誤字脱字報告一覧 | 

カルディア侯爵の挑戦状

しおりを利用するにはログインしてください。会員登録がまだの場合はこちらから。 ページ下へ移動
 

女王の本音

はぁ。ため息をつくその女性は王女だった。王女は、美しく気高い。まるで彼女の時は、止まっているかのように感じる。その歳を視せない顔に艶やかな薄い水色の髪、すらっとした細い首筋に似合う白色のドレス。そんな王女の悩みは1つだけ。娘だ。
『どうしようかしら。』
『大丈夫ですよ。見分けはつくじゃないですか。色と口調で』
出て行かなかったメイドは王女の手を取り優しい声音で言う。
『私は、あの子の魔法を破ることは出来ないの。』
女王は悲しそうに言った。そしてメイドはその言葉に喉を詰まらせる。この国では、女王が姫様に勝てなくなる…それは、代変わりを意味するのだ。しかし、3種類もの魔法を持つ娘に元から勝てるはずもない。しかし娘は…コーテリアだけは、その事をわかっていながらその事を誰にも言わないでいる。それを女王もわかるっているから、それが何よりも辛いのだ。
『わかってるの。あの子が生まれてきた時からあの子には勝てないってことも…』
嗚咽を漏らし始める王女にメイドは背中を撫でる。優しい声音に女王の隠していた感情が一気に溢れ出たのだろう。
『知ってますよ。女王様が苦労していることも。』
大丈夫、大丈夫。子供をあやすように王女を宥める。
『でもね、私もっと知ってます。女王様が過保護なことも、臆病なこともいっぱい知っています。』
だからなんだろう。と言う風に首を傾げる王女にメイドは微笑み言った。
『だからもう姫様を世に公表してもいいんです。姫様が世間で叩かれても、姫様はきっとなんとか出来ます。ね?』
女王は、その言葉に涙をこらえて頷いた。娘の誕生日の来週に娘を公表するか迷っていたのだ。その原因は、誰を公表するのかだ。ルーシェはまずないだろう。金色からして血が本当に受け継がれているのか…水の魔法が使えなくてこの世は終わってしまうんではないかと思われては困るからだ。そうなるとルーティアを公表するのが妥当だが、性格に難があり、女王としてのたしなみは無しとなるとコーテリアがふさわしいと思うが、コーテリアはあの3人の心が入った体がボロボロにならないように身を削りながら守っている。コーテリアが傷だらけなのは本人に問い詰めてわかったことだ。本人に直接聞いてみよう。
『明日。娘と話し合います。』
『ええ。私は、場を用意しておきます。』
そう言ってメイドは女王の私室を後にした。 
ページ上へ戻る
ツイートする
 

感想を書く

この話の感想を書きましょう!




 
 
全て感想を見る:感想一覧