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星河の覇皇

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第六十九部第五章 分権派の警戒その十三

「彼女はそうした人物なのだ、ただ」
「ただ?」
「ただといいますと」
「日本、連合の中にいるだけましだ」
 その分というのだ。
「ずっとな」
「若しエウロパにいれば」
「あの方がですね」
「その時はですね」
「こうして話せるどころではないですね」
「そうだ、全くだ」
 まさにというのだ。
「想像するだけで恐ろしいこといなっていた」
「はい、あの方がエウロパにいれば」
「そして首相なり他の閣僚になっていれば」
「恐ろしい敵になっていましたね」
「連合全体によって」
「連合にいれば敵になる時もあれば味方になる時もある」
 それぞれだというのだ。
「それはな、しかしだ」
「エウロパにいればですね」
「その時はですね」
「これ以上はないまでにですね」
「恐ろしい敵になっていましたね」
「タイプは違うがブラウベルグに匹敵するまでにな」
 彼と同じだけにというのだ。
「強敵になっていた」
「指導者ではないが政治家としてですね」
「辣腕を振るう首相かその立場として」
「連合の敵になっていた」
「そうした方ですね」
「有能な味方は敵になれば最悪だ」 
 これは能力に比例する、有能な味方程敵に回してはならない存在はないのだ。ただしその逆の場合も存在している。
「スポーツでもそうだな」
「はい、トレードに出した選手に手こずるチームは多いです」
「どのスポーツでも見られますね」
「そうしたパターンは」
「実際に」
「そうだな、そうなるからだ」
 だからだというのだ。
「あの首相は連合にいてよかった」
「最悪でもですね」
「あの方がこの国にいること」
「そのことは」
「そう思う人間は結構多い」 
 連合の中にはというのだ。
「文化や技術の面でもな」
「政治でもそうですが」
「他の分野でもですね」
「エウロパにいなくてよかった」
「そうした人材が多いですか、連合には」
「そうだ、諸君等にしてもそうだ」
 今この場にいる官僚達もというのだ、ロシアの。
「ロシア、この国にいてよくてだ」
「エウロパになくてですね」
「本当によかった」
「そう言われるのですね」
「全くだ」
 こうも言ったのだった。
「実にな」
「そうですか、我々もですか」
「エウロパにいなくてよかった」
「そう言われますか」
「私は有能な者しか用いない」 
 重要な立場にはだ、置いて働かせはしないというのだ。
「そして最高の状態で国家を動かす」
「だからこそですか」
「我々はエウロパにいなくてよかった」
「そう言って頂けますか」
「何度も言うが敵は無能であっていい」
 グリーニウキーの心からの言葉だ。
「有能な敵は有能な味方よりも厄介かも知れない」
「むしろですね」
「そちらの方が厄介ですか」
「そう思う、無能な敵は褒めろというが」
 孫子にもある言葉だ、そうすれば相手の君主がその無能な者を重く用いて国を過つことになるからである。 
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