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女だけの浮島で

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第四章

 賊達は縛りその後でだった。
 浮島のやはり女だけの警官達に突き出した、かくして女神像は守られて以後洞窟での儀式の時は洞窟の中に男女と共に入ることになった。
 その儀式についてだ、夏目は宿の中で中原と話した。
「洞窟の儀式でおじゃるが」
「その中に二つの島の男女が入る」
「そこで何をするかでおじゃるが」
「言うまでもないですわ」
「全くでおじゃる」
「暗い洞窟の中で深夜男女が入ってすることは」
「まあ最早、でおじゃるな」 
 夏目は顔を赤くさせて述べた。
「言うだけ野暮でおじゃる」
「その後多くの男女が夫婦になるのですから」
「十ヶ月後子供が多く生まれるでおじゃる」
「まことに言うまでもないことですわ」
「そうでおじゃる、しかし以後女神像も一緒に洞窟に入ることになって」
「この件は安心ですね」
「一件落着でおじゃるよ。さて」
 ここまで話してだ、夏目は。
 自分の前にある一冊の書を見てこう言った。
「これは大鏡でおじゃる」
「古典ですね」
「四鏡の一つでおじゃる」
 水鏡、今鏡、増鏡で四鏡である。平安時代の歴史書だ。
「それが今麿に神具として授けられたでおじゃる」
「祭壇のことが試練やったんですな」
「そうでおじゃるな、そして」
 その大鏡を手に取ってだ、夏目は中原に話した。
「大きな力を感じたでおじゃるよ」
「その神具から」
「知力と政治力がでおじゃる」
「かなり増してますか」
「そうなったでおじゃる、そして試練を乗り越えて」 
 このことからもというのだ。
「麿は強くなったでおじゃる」
「全てにおいて」
「そうなったでおじゃる、ではでおじゃる」
「神託は適えました」
「次の目的地に行くでおじゃる」
「その時が来ましたね」
「そうするでおじゃる、しかし今は」
 ここでだ、夏目は宿の窓の外を見た、そこからは椰子の木と白い砂浜と雲、青い海と空が太陽の金色の光に照らされている。
 その景色を見つつだ、夏目に言うのだった。
「あと少しここにいる予定でおじゃる」
「ならその少しの間」
「ここにいて楽しむのもいいでおじゃるな」
「そうしましょか、ほな今からこの浮島のお酒を飲んで」
 果物から造った甘く強い酒である。
「果物を食べて」
「楽しむでおじゃるか」
「そうしますか」
「いいでおじゃるな、では今から」
 飲んで楽しもうとだ、夏目は試練を乗り越えた祝いとしてもだった。
 中原と共に酒を飲み果物を食べた、そうして今は英気を養うのだった。


女だけの浮島で   完


                 2019・1・24 
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