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許されない罪、救われる心

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23部分:第三話 歪んでいく心その一


第三話 歪んでいく心その一

                  第三話  歪んでいく心
 今度はだ。下駄箱の中だった。
「そんな・・・・・・」
 神無は自分の下駄箱を開けてだ。またしても蒼白になった。
「本当に誰?こんなことするのって」
「ねえ」
「うん」
 丁度そこにいた弥生と葉月がだった。彼女の後ろから険しい顔で頷き合うのだった。
「ここはね」
「すぐになおそう」
 こう言ってだ。その蒼白になり震えてしまっている神無の横に来てだ。そうしてそのうえでその下駄箱からすぐにゴミの山を出したのだった。
「えっ・・・・・・」
「困った時はお互い様だから」
「そういうこと」
 こう言ってだった。ゴミを捨てるとだった。葉月が言ってきた。
「僕シンナーかベンゼン取って来るよ」
「御願いできる?」
「うん、すぐに行って来るよ」
 ロッカーにも落書きがあった。それをなおそうというのである。
それでだ。葉月が行った後でだ。弥生は神無に対して話す。
「ねえ」
「何?」
「ゴミはなおしたし落書きは消えたけれど」
「う、うん」
「それでも。これはちょっとね」
 見ればだった。何かで激しく叩いたりした後もあった。それも見たのだ。
「すぐにはなおせないから」
「どうしたら」
「生徒会に扉の交換言えばいいわ」
「それでいいの」
「そう、それで済むから」
 それだけでいいと神無に話すのだった。
「安心してね」
「有り難う」
「お礼はいいのよ」
「いいの?」
「だから困った時はお互い様よ」
 ここでも微笑んで言うのであった。
「そういうことだから」
「それでなの」
「そういうことよ。気にしないで」
 こう言ってまた微笑みを向ける。
「わかったわね」
「うん、それじゃあ」
「じゃあ落書きを消して教室に行こう」
 神無を護る様に斜め後ろに位置してそっと声をかけた。
「それでいいわよね」
「ええ」
 こうして厄介ごとを終わらせてそのうえで教室に入った。教室では今日は何もなかった。だが弥生はすぐに怒った顔でだ。シンナーを戻してそのうえで来た葉月と一緒に怒った顔で如月に対して話した。
 如月は何食わぬ顔で二人の話を聞いている。自分達がやったとは全く言わない。そうしたことを全て隠してそのうえで応じていたのだ。
「誰がやったと思う?」
「悪質過ぎるね」
 その弥生と葉月が如月に言う。
「今度は下駄箱だし」
「明らかにいじめだしね」
「そう?いじめかしら」
 しかしだった。ここで如月は何も知らないふりを装ってこう返した。
「あれって」
「それ以外の何なのよ」
「あれは絶対にいじめだよ」
 二人は怒った顔で話す。
「それ以外の何でもないわよ」
「そうだよね」
「いじめね。というよりかは」
「というよりかは?」
「何かあるの?」
「あの娘が嫌われてるとか?」
 何気に自分自身のことを話した。当然二人はそれに気付かない。
「それでやられてるんじゃないかしら」
「それはあるかも知れないね」
 葉月はそのことは認めはした。
 
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