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八条荘はヒロインが多くてカオス過ぎる

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第二百一話 家庭その十

「聞いた話では味はな」
「そちらはですね」
「酷いものと聞いた」
「やはりそうですか」
「イギリス料理は素材の醍醐味を潰し味付け台無しのものというが」
「オックスフォードの食事も」
「そうらしい、軍の食事もだ」
 イギリス軍のそれもというのだ。
「今はかなりましになったそうだが」
「よくないのですか」
「大戦中は特に酷かったらしい」
 第二次世界大戦の時はというのだ。
「アメリカ軍が見て驚いたらしい」
「イギリス軍と一緒に戦っていて」
「それでだ」
「その時にですか」
「とにかく酷かったらしい、あの国で美味しいものは朝食とだ」
 こちらは有名だ、イギリス料理は朝食だけで充分というのはイギリスに言ったことのある一族の人の言葉だ。
「ティーセットだけという」
「その二つだけですか」
「後はだ」
「駄目ですか」
「スコットランドもウェールズもアイルランドもな」
 つまりあの辺りの国々全部だ。
「酷いというからな」
「アイルランドもですか」
「あの国はむしろイギリスより悪いそうだ」
「そうですか」
「アイルランドの人は少ないが」
 八条学園にもだ、これはアイルランドの人口が少ないせいらしい。
「しかしな」
「お料理はですか」
「よくないとのことだ」
「そうでしたか」
「あの国の料理と聞いてもだ」
 留美さんは円香さんに考える顔で話した。
「具体的な料理はな」
「思い浮かびませんか」
「どうもな」
「ええと、ジャガイモかな」
 僕はアイルランド料理と聞いてこう言った。
「ハギスかなって思ったけれど」
「ハギスはスコットランドではなかったか」
「確かそうだったし」 
 羊の腸に色々詰め込んだ料理だ、腸詰というとソーセージだけれどかなり違う料理になっているとのことだ。
「だから違うって思ったんだ」
「実際にそうだったな」
「そうだよね、それでアイルランド料理って」
「ジャガイモか」
「それを使ったお料理かな」
「それで具体的なメニューは思い浮かぶか」
「それがね」
 僕もどうにもだった。
「思い浮かばないよ」
「そうだな」
「うん、どうしてもね」
「私もだ、イギリスもだ」
 尚アイルランドとイギリスは歴史的な関係から仲が悪いらしい。
「ローストビーフにフィッシュアンドチップスがあるが」
「そういうのだね」
「後ははだ」
 他にはというと。
「鰻のゼリーやニシンのパイか」
「そういうのもあるけれどね」
「この二つの味の評判は悪い」
「そうみたいだね」
「ビーフシチューもあるが」
 しかしというのだ。
「それでもな」
「ビーフシチューは色々な国にあるし」
「イギリスとは言えない、だから置いておく」
「そしてアイルランド料理は」
 円香さんがまた言ってきた。
「何があるのか」
「思い浮かばないな」
「そうですよね」
「私もだ。私の浅学のせいだが」
 それでもというのだ。 
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