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天王寺動物園にて

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第五章

「冒険者でもそれこそ英雄と呼ばれる位でないとな」
「獲らえられないですね」
「絶対にな」
「ではこのフェニックスは」 
 研究員は千歳達に戸惑いつつ応えた。
「まさか」
「そのまさかです」
 千歳は研究員に真剣な顔を向けて答えた。
「このフェニックスはフェニックスでありますが」
「実はですか」
「違います、何者かが化けています」
「フェニックスに化けるなぞ」
「それが出来るのはそれこそ神か仏ですが」
「ですね、もうそれ位でないと」
「思えば悪人を成敗し悪戯を好む」
 千歳は近頃の大坂での騒動のことも述べた。
「そうした神様もいますね」
「はい、神仏の中には」
「ミャンマーとインドの国境、それなら」
 千歳はその目を鋭くさせた、そしてフェニックスを指差して叫んだ。
「貴方はガルーダ!間違いないです!」
「おっ、ばれたか」
 千歳に指差され叫ばれてだ、フェニックスは言ってきた。
「絶対にないって思ったけれどな」
「ようやくわかりました」
「それは凄いな」
「一体何故ここにおられます」
「そりゃ面白いと思ったからだよ」
 ここでだ、フェニックスは姿を変えた。足と手が鳥のもので口は嘴となっており背中には一対の翼がある、全身が金色に輝いている鳥と人の間の子の姿で頭には黄金の冠がある。そして声と仕草は妙に愛嬌がある。
「たまには外国に行くのもな」
「そう思われてですか」
「フェニックスに化けてわざと捕まってな」
 そうしてというのだ。
「動物園で飯と家も貰ってよ」
「そしてですね」
「悪い奴をやっつけて悪戯もしてな」
 ガルーダにとってこの二つは両立するものだ、それで並べて言うのだ。
「そうして楽しんでたんだよ」
「左様でしたか」
「おう、それでばれるかって思っていたらな」
「残念ですが」
 千歳はガルーダを見据えたまま彼に答えた。
「私はわかりました」
「すげえもんだよ、あんた」
「それでどうされますか」
 あらためてだ、千歳はガルーダに問うた。
「一体」
「おう、ばれたら仕方ねえからな」
 ガルーダは木の上にいたまま腕を組んだ姿勢で答えた。
「インドに帰るぜ」
「そうされますか」
「そうさせてもらうな、じゃああばよ」
 軽く言ってだった。
 ガルーダはガラスをあっさりとすり抜けてそのうえでインドに飛び去っていった、そうしてだった。 
 今回の騒動は終わった、その話を聞いたインドの雷帝タゴールが本物のフェニックスを捕獲して天王寺動物園に贈って今回の話は終わった。
 千歳はタゴール現在は太平洋の勢力が戦っている相手である彼がフェニックスなどという極めて貴重なモンスターをわざわざ捕獲して贈ってくれたことについて道頓堀の蟹の店に入ってその蟹を食べつつ日毬に話した。
「まさかです」
「フェニックスがガルーダでだな」
「そのうえ雷帝さんが本物を贈ってくれるなぞ」
「今回の件はインドの神が起こした騒動だ」
「だからですか」
「謝罪ということでだ」
「そのインドの統治者としてですか」
 千歳は蟹を食べつつやはり蟹を食べている日毬に応えた。
「フェニックスを贈ってくれたのですか」
「そういうことだろうな」
「左様ですか」
「確かに今我々は敵同士だがな」
 それでもというのだ。 
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