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ソードアート・オンライン~遊戯黙示録~

作者:マローン
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FILE192 キリト&エギル始動!VS大月! 

一日外出券・・・それはこのネットゲーム治療依存施設内の勤労奨励オプションの中で最大の高値の・・・・収容者達にとっては憧れ、羨望の対象であった!――しかし、この施設内においてそれまで一日外出券を購入した者は皆無・・・・っ!その最たる理由は言うまでも無く、大月の私腹を肥やす目的で行われている高額なぼったくりの物品販売によってほぼ例外なく、全ての収容者がそれによって30万マネーを溜める事無くマネーを搾取されている事によるものであった!

しかし、オズマは収容者達からの協力を得て、彼らからなけなしの一週間分の給料をかき集め、希望を託される形で一日外出券を購入!
これがオズマにとって一日限りの自由となるか?これを機にこの施設からの完全な解放となるか? by立木ナレ



一日外出券を購入し釈放の直前、大月から言われた忠告が幾つかあった。外出中は携帯電話、車のキーなど収容の際に没収された私物は全て返却されるが、それと同時に腕にはタイマー付きの腕輪が装着されると同時に監視役となる職員が離れた場所で俺を見張り、腕輪を無理やり外そうとした場合は警報が鳴り響き即刻確保され一日外出はその場で終了。

また国外逃亡も許されておらず、空港などに入って国外行きの便に乗ろうとした場合も同様の処置を受けるとの事だった。
だが、俺にはそんな事は関係ない、俺は逃げるつもりも無いし、この腕輪を無理やり外すつもりも無いのだからな。

一日外出は本人が望んだ場所まで車で送られて、解放と同時にカウントダウンがスタートする。そして俺は台東区御徒町にあるエギルの店、ダイシーカフェを指定した。俺を送る車はやはり俺を連れて行くときに使ったハイエースだった。

職員「これより、一日外出を開始する。常に貴様の動向は監視されていると言う事を忘れるな!」

俺「はいはい、そんじゃお疲れさんっと・・・・・」

ハイエースから出てすぐにエギルの店の駐車場を見てみると、俺の車、ユーノス・ロードスターJリミテッドは同じスペースに駐車されたままだった。
俺の車の鍵が俺共々持って行かれてしまったため止む無くと言った所かもな、いずれにせよそろそろ車のスペアキーを作っておくべきか。

ひとまず俺は店に近づき店内に入ると、カランカランと言う音とともに入店。

エギル「お、本当に戻って来たなオズマ」

俺「ああ、今はまだ完全に釈放されたわけじゃねぇがな」

カウンターでバーテンをやっている店主のエギルが俺の入店に気が付き、迫力のあるスキンヘッドの大男はニッと笑みを見せる。

リズベット「オズマおそいっ!ちゃんと段取りは取っておいてあげたんだからもっと早く来なさいよね!」

俺「俺が遅いんじゃなくて、施設の連中の車の運転が遅いんだよ」

店のテーブル席には気のテーブルを囲う様にリズ、キリト、アスナの三人が俺の方を振り向き、俺が店に入るなり早々に店中に響き渡る声を上げるリズベットだった。

俺「んで、大月や姉貴たちを追い詰める準備は?」

キリト「ああ、今日は丁度月曜日、アイツらがドン・キで物品販売の仕入れをしに行く日だったよな?」

アスナ「ええ、私達が調べた限りでは毎週決まって今日・・・月曜日が仕入れ日よ」

俺「なら、手筈通りだな・・・エギル、俺の車を頼む」

俺がエギルにそう声を掛けて車のキーを放り投げると、エギルは大きな手を広げてそれをキャッチした。

エギル「オーケー、店はまたカミさんに任せる事になっちまうが・・・・後で埋め合わせには付き合ってもらうぜ」

俺「ああ、こんな店のバイトでも、あの施設の刑務作業に比べりゃよっぽどマシだからな、一日位はタダ働きしてやるよ」

エギル「ったく、どいつもこいつも・・・ウチはそこそこの待遇だっての!」

エギルは眉を顰めながら、自身が仕事用に使っている軽トラのキーを俺に向かって投げつける。エギルの仕事用の軽トラは店の裏路地の方にあるので、俺を監視している職員の目から一時的に逃れるにはもってこいだろう。

俺とエギルはそれぞれ遠目からでは顔を確認し難いコートを覆い被る。問題は俺とエギルとの体格差だが、それは遠目からでは分かり難いと信じるしかあるまい・・・・

出来ればこの役目はクラインにやらせたいと思っていたのだがクラインは生憎月曜日なので社会人らしく仕事・・・キリト達は免許を持っていないのでエギルに頼まざるを得なかった。

俺「開いたぞアスナ」

アスナ「ええ、行きましょう」

俺はエギルから渡された軽トラの鍵で扉を開けて、助手席にアスナを乗せる。幸いこの軽トラは車のキーを差し込んでエンジンを起動する昔ながらのタイプらしく俺にとってはこの方が手慣れている――が、俺は早速ギアを1速に入れようとシフトレバーを触った瞬間、それが俺が普段の利慣れていない変速機である事に気が付くのだった。

俺「って、この軽トラオートマだったのかよ・・・・っ!」

スグに足許を見てみると、やはりと言うか、当然クラッチペダルも無い、アクセルペダルとブレーキペダルだけの2ペダルで、まごう事なくオートマチックトランスミッションだった。

アスナ「もう、別に良いじゃない乗り易いんだから・・・・私からしてみれば自動運転機能もサポートAIも付いてない時点で不安でしょうがないんだから・・・」

俺「分かった、分かったよ・・・他に車はねぇし、これで行くぜ」

俺がオート車である事に苦言を零すと、アスナが小言を口にする。やはり同年代でありながらどこかこの辺りの車に関する価値観はジェネレーションギャップってのを感じてならないが、今はさっさとこの場から移動して目的地を目指さなくちゃならない。

なれないオートマのギアをDに入れると、オートマの軽トラはそれだけで発進し始める。後はもうシフトチェンジも必要なく、速度に応じてギアが自動に変更するんだからまるで車を操っている気がしない・・・・

アスナ「大丈夫、追手の車は追ってこないみたいよ」

俺「ああ、多分エギルとキリトが乗ってる俺のJリミテッドの方を追ってるんだろうな・・・」

車道に出たところでアスナが左座席のミラーを確認して、見張り役の職員が車で追ってこない事を確認していた。
俺達がこれから目指すのは奴らがこの日、連中が待ち合わせをしているあの場所だ。そこであいつらを問い詰めて・・・・化けの皮を剥がすのが俺の目的だ。


※ ※ ※


一方その頃・・・・エギルが運転するユーノス・ロードスターJリミテッドの方では。助手席に乗っているキリトが目的地に向かって走る最中に、バックミラーを確認する。

キリト「エギル、さっきから白色の車がずっと俺達を追って来てるみたいだ」

エギル「ああ、あのプリウスだな。多分、あれに乗ってるのがオズマの外出を見張る為に寄こされた職員って事だ」

キリト「けど、あっさりと入れ替わりに成功したもんだな」

エギル「慣れてねぇんじゃねぇか?今まで自分らがやってるぼったくりの嗜好品販売で金を巻き上げてたもんだから、誰も1日外出券ってのを買えなかったんだろ?」

キリト「成程な・・・見張り役の職員も、1日外出中の収容者がどうやって見張りを捲くか、経験や知識が無いから、少し捻り出した作戦で巻かれるって事なんだな・・・」

これがオズマらの作戦・・・っ!プリウスでJリミテッドを追跡する職員は未だに気が付ていない、自分が追跡している車にオズマが乗っていないと言う事実に!
車の持ち主がオズマである事を事前に知らされているが故に、あの車にはオズマが乗っているという先入観・・・・それが思わぬ落とし穴となる!

そして、エギルが運転するJリミテッドが辿り着いたのは大月が週一でぼったくり販売の商品の仕入れ先である店・・・通称ドン・キであった!

エギル「お、あのハイエースだぜ!」

店の駐車場に並ぶ車の中から、オズマを連れ去る際に使われた同じ色、同じ車種の車を発見し、エギルはそのハイエースから少し離れた位置に車を駐車した。

キリト「やっぱり、今日も商品の仕入れに来てたか・・・ここからが本番だぜエギル」

エギル「ああ、荒事になったらオメェは頼りになりそうにねぇからな」

エギルにそう言われたキリトは眉を一瞬潜めて、『お前に比べれば誰だってひ弱に見えるだろ・・・・』と不服そうに漏らすが、実際に荒事で力になれる自信は余りないキリトは、いざと言う時はエギルに頼る事を前提と考えていた。

エギル「おっと、追手のプリウスもご到着のようだな」

エギルの運転するJリミテッドを追ってきたプリウスがスグに店の駐車場に入り、空いている駐車スペースに泊ったのをエギル達は確認する。
ハイブリッド車であるがゆえにエンジン音は小さく、エンジンが止まったのを確認し難いのだが、一瞬ハザードランプが点滅したのを見て、エンジンを切ったのだろうと判断・・・・そして、それを示すように車の中から職員が早速車内から外に出てJリミテッドに数歩近づいてきた。それを見たエギル、そしてキリトはスグに車を降り、プリウスに向かって一気に駆け出す。

職員「な・・・・だ、誰だよあれ・・・・!?」

当然、オズマが乗っているのだと思い込んでいた運転手の職員は唖然としてしまう、オズマの車から降りてこちらに向かってくるのは明らかにオズマとは違う・・・中世的な顔立ちをした少々小柄な少年と、屈強な体躯に威圧的なスキンヘッドの色黒の大男なのだから・・・その迫力たるや圧倒的威圧!!

エギル「ちょっと良いかいお兄さんっと!!」

職員「な、なんだよぉ!?」

すぐさまエギルとキリトから逃げようとした職員だったが、ダイナミックな走りで急接近してくるエギルから逃れる事は敵わず、大きな手で肩をガッチリと捕まってしまったのであった。そして、丁度そのタイミングでキリトがエギルに追いついてきたのだった。

キリト「ったく、これじゃ俺が付いてきた意味がないぜ・・・」

エギル「はは、驚いたかいお兄さん?オズマ・・・小田桐弭間の車から出てきたのは見ず知らずの外国人で?」

職員「し、知らないぞ!小田桐弭間なんて知らない!ていうか放してくれっ!わ、私には仕事が――」

エギル「仕事?小田桐弭間を見張るっていう仕事かい?」

職員は首を激しく横に振り、悪足搔きを見せるが、すでに完全に裏を取っているエギル、キリトにはそんな嘘など通用しない!
本来であれば今すぐにでも腕輪に付いている発信機の機能を利用し、オズマがどこにいるのかを再確認して再追跡したいのだが、エギルに肩を掴まれた途端身動きが取れない!

そしてちょうど図ったようなタイミングで、待ち侘びたもう一組の男達が現れるのである!

キリト「お、エギル。あの時の施設長さんが店から戻って来たみたいだぜ、予想通りタップリと酒やらタバコやら、つまみになりそうなのを籠に積んでな」

エギル「ああ、つうわけでお兄さんもこっちに来な!」

職員「ダ、ダメだぁぁ!し、施設長にこの失態を知られては・・・・っ!!」

エギルは職員を力づくでハイエースの前に引き連れる。傍から見たら怖い外国人に連れまわされる気弱な青年と言った構図を見たキリトは僅かに気の毒に思いつつも、どうせ近い内に解放されると考え直し、そして大量の物品を車輪付きの籠に詰め込んだ大月を待ち受け、対峙のときは来た!大月、ハイエースの前に自らを待ち受けていた、見知った顔の少年と大男を目の当たりにして更に驚愕!

大月「あ、アンタら・・・・た、確か弭間の・・・・!?」

キリト「ああ、アイツと同じで毎日ネトゲ三昧の学生さ・・・・けど、もうアンタは誰もあの施設にネットゲーマーを収容する事は出来ないと思うけどな」 
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