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星河の覇皇

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第六十九部第五章 分権派の警戒その一

                 分権派の警戒
 中央政府の辺境地域への政策は当然ながら公表出来ることは全て公表されていた、そして各国政府や他の様々な勢力の者達もそれを見ていた。
 市民達もそれを見てだ、あちこちで議論を行った。
「これで辺境が安定するか」
「どうも各国の軍隊だけじゃ限界があったな」
「ああ、どうもな」
「各国が守るのは各国の国境だけだ」
「他国に入るには色々な事前の交渉が必要だ」
 この交渉が実に複雑で時間がかかる、それで各国政府も出来る限り自国の治安や防衛だけを行うのだ。
「ましてや国境の外は出られない」
「中央政府の法律もあるしな」
 各国軍は連合の国境から出てはならないというそれがだ。
「各国軍が守るのは自国だけだ」
「それぞれのな」
「辺境外縁部には出られない」
「絶対にな」
「それで動けない」
「外縁部は」
「まず国境を定めてからだ」
 中央政府が各国の国境を定める、国境の拡大をそれぞれの国が中央政府に申請して中央政府が議会での承認を経て決定することだ。
「それで各国軍は動けたからな」
「今回みたいな行動は出来なかった」
「外縁部の海賊とかは中々捕まえられなかった」
「外縁部は連合各国の領土じゃない」 
 このことが問題なのだ、何につけても。
「だからな」
「各国軍だけじゃ無理だ」
「やっぱり中お政府軍じゃないとな」
「今回みたいな行動は取れない」
「各国じゃどうしても限界がある」
「少なくとも軍事は各国政府じゃ無理だ」
「連合全体を考えるとな」
 古来より言われてきたことだがここで強くなってきた意見だ。
「やっぱり国防は中央政府じゃないとな」
「各国でそれぞれ行うものじゃない」
「それが出来なかったから海賊が蔓延っていたんだ」
 外縁部にというのだ。
「テロリストの逃げ先にもなっていた」
「犯罪者が逃げたりもしていた」
「けれどそれも終わりだ」
「ああ、もう国境は確かになってだ」
「外縁部の問題も解決される」
「国境警備は各国軍だけじゃなく中央政府軍も行う」
 実際に中央政府はそうした政策を行うと公表している。
「これでもう外縁部に海賊はいなくなるぞ」
「出て来ても征伐される」
「テロリストも逃げられない」
「そして犯罪者もだ」
「逃げ先にならない」
「これで大丈夫だ」
 こうした意見が主に集権派、即ち連合中央政府の権限を拡大すべきと主張する改革派の意見となっていた。だが。 
 その集権派と意見を異にする各国の権限を尊重すべきという分権派即ち保守派はだ、こう言うのだった。
「辺境のことはいいが」
「これ以上中央政府の権限が強くなるとまずい」
「各国の権限はどうなる」
「その主権は」
 こう言うのだった。
「これ以上は駄目だ」
「中央政府の横暴につながる」
「中央政府が暴走したらどうする」
「各国政府の権限を守れ」
「国境問題が終われば中央政府はさらに権限を拡大しようとするぞ」
「そして各国政府の権限、主権を脅かすぞ」
 そうしてくるからだというのだ。
「ここは団結すべきだ」
「各国政府の権限を守るべきだ」
「中央政府の専横を許すな」
「小さな政府を守れ」
「大きな政府はあってはならない」
 連合独特の考えも出た、そして。
 デモを行いはじめていた、その動きを見てだ。
 ロシア大統領であるグリーニスキーは険しい顔でだ、閣僚達にこう言った。 
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