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足を洗った後で

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第一章

               足を洗った後で
 司馬雅と壷井鈴子は鈴子が神託を受けた近江の佐和山に来ていた、鈴子は佐和山に入ってすぐにだった。
 自分達の前を方で風を切って歩く柄の悪い者達を見て雅に言った。
「幾ら治安がよくなっても」
「ああした人達はですね」
「完全にはいなくなりませんね」
「稼ぎ口を次々と潰していっても」
 政でそうしてもとだ、雅も述べた。
「数は確かに減らせますが」
「それでもですね」
「完全にはです」
 それはというのだ。
「どうしてもですね」
「無理ですね」
「残念ですが」
「全くですね」
「私は出来ればです」
「はい、ああした人達はですね」
「この世界では政に携わっています」
 そのうちの一人だからだというのだ。
「ならばです」
「ああした人達を一人残らずいなくさせて」
「そしてですね」
「そのうえで、です」
「街の治安をよくしたいですね」
「全くですね」
 鈴子も同じ考えだった、そうした話をしながらだった。
 二人でまずは鈴子の神託のことを探った、佐和山にそれがあることは間違いなかったがその神託が具体的には何かはわからなかった。
 それでだ、二人で街の各所を歩いて話を聞いて回った。そして休憩とここでもと思ってそれでだった。
 居酒屋の一軒に入って佐和山の川で獲れた鯉を氷の術で一旦凍らせて虫を殺したうえで刺身にしたものと別の鯉の唐揚げそれに鯖素麺を肴に飲みはじめた、するとだった。
 その二人のところにだ、ドワーフジャイアントの店の主が来た。背は二メートル近くあり黒い髭が顔中を覆っていて頭は月代だ。ドワーフジャイアントということを考慮しても筋骨隆々で非常に逞しい身体をしている。
「あんた達冒険者だね」
「はい」
 そうだとだ、鈴子は素性を隠して主に答えた。
「二人で冒険の旅を続けています」
「女二人でね」
「術を中心に使い、私は山伏なので」
「戦うことも出来るんだね」
「ですから」
「問題なくかい」
「旅を続けています」
 こう主に話した。
「そうしてもう長いです」
「そうかい、女二人で長い間冒険が出来るなら腕も自信があるな」
「そのつもりです」
「じゃあな、食って飲んだ後でな」
 それからだとだ、主は鈴子に話した。
「わしの話を聞いてくれるかい」
「ご主人のですか」
「ギルドに依頼を出したくても出せないんだよ」
「そうしたお話ですか」
「あんた達にこっそりな」
 そうしてというのだ。
「お願いしたいんだよ」
「はい、では」
「ああ、飲んで食うまで待つな」
 こうしてだった、鈴子と雅は飲んで食べてからだった。その後で店の主の話を聞くことにした。主は二人が勘定を払うと彼女達をすぐに店の中の自分の部屋に話した。主は自分の名を岡前孫平と名乗ってから話をはじめた。
「あんた達は実際に強いのはわかる」
「そのこともですか」
「わしもこれでも昔は慣らした身だよ」
「そういえば」
 鈴子は主の身体を観つつ述べた。 
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