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DQ3 そして現実へ…  (リュカ伝その2)

作者:あちゃ
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ロマリア

<ロマリア>

アルル達がロマリアへ着いたのは、空が黄昏に染まる頃だった。
ロマリア大陸のモンスターは、アリアハンとは比べ物にならない程強く、一行の進む速度は上がらない。
それでもアルル達にたいした怪我が無いのはリュカのスカラのおかげだろう…

「やっと着いたわね…」
「…敵…強いですね…」
「疲れた…早く宿を確保しようぜ…」
アルル達若者3人は、少し離れた所で町娘をナンパしているリュカを無視して宿屋へ入る。
各人、荷物を置いたらロビーに集合。そして近くの酒場へ食事に出かける。

すると其処にはリュカが居た。
先程ナンパしていた女性とは、違う女性を伴ってイチャイチャ食事をしている。
「何であの人あんなにもてるの?」
思わずウルフはアルルとハツキに訪ねてしまう。
「……だって…格好いいじゃない!」
アルルの言葉に頷くハツキ。
男としては少し納得のいかないウルフ…

「…にしても、リュカさんの好みって胸の大きい女性?」
「その様だな。あの人も、さっき口説いてた人も胸大きかったな」
「しっかり胸だけはチェックしてんの?エロガキね、ウルフは!」
ハツキのツッコミにむくれるウルフ。

「でも、だとしたら何で私には手を出さないの?」
「胸だけ大きくても、その他がガキっぽいからじゃないの?」
ハツキの嘆きに間髪を入れず突っ込むアルル。
「だとしたら、胸まで父親に似てしまったアルルには、永遠に興味を示さないでしょうね!」
「「………………………」」
険悪な雰囲気になる少女達。
居た堪れないウルフ。

3人が黙々と食事を続けていると、軽そうなノリの青年2人がアルルとハツキに声をかけてきた。
「ねぇねぇ!君達この辺じゃ見かけないけど何処から来たの?」
と、男A。
「この先にスゲー旨いカクテル出す店あんだけど、一緒にいかない?」
と、男B。

彼らの名誉の為に記載しておく。
彼らはそこそこ美形である。
10人の女性に声をかけたら8人は誘いに乗るぐらい美形である。
しかし彼らの不運は、彼女らの男性基準がリュカであることだ。

「失せろ、不細工!」
ちょいキレ気味のアルルの発言。
「一緒に居る所を他人に見られたくないの!離れて下さい!」
イラついてるハツキの発言。

懐からゴールドを取り出し、勘定を終え店を出るウルフ。
店内の喧噪を見ないようにして酒場の扉を閉める…
その後の事はよく知らない…
怖くて2人には聞けない…
ただ分かっている事は、酒場が営業停止になるほどボロボロになったにも拘わらず、少女達にはかすり傷一つ付いていない事である。





「そなた等がアリアハンから来た勇者達か?」
「はっ!私は勇者オルテガの娘、アルルと申します」
ここはロマリア城の謁見の間。
傅くアルル達の前に、ロマリア王とその王妃が玉座に座っている。
「よいよい…こう言う畏まったのは苦手でな…全員面を上げよ。楽にせい」

その一言を待っていたとばかりに傅くのを止めるリュカ…
その行為に、さすがに驚くロマリア王。
「ま…まぁ、何だ…我が国も勇者達一行に援助をしたいのだが、そうもいかん。恥ずかしい事に我が国も苦しくてな。それに、そなた等が本当に魔王を討伐できるか分からぬからな…」
「いやいや、王様!何も小遣いやるだけが援助じゃ無いでしょう!通行許可を与えてくれるだけで良いッスよ!西へ東へフリーパスってね」
本当に他国の王と謁見しているのか、疑いたくなるような口調のリュカ。

「貴様ー!!それが陛下に対する口の利き方か!!」
もちろん激怒する家臣。
「何だよ!王様が楽にしろと言ったから、楽にしてんじゃん!アレだよ、君…王様が許可したのに、家臣がキレると王様の度量の狭さをアピールしている事になるよ。僕、他の国に行ったら言っちゃうよ『楽にしろと言ったから楽にしたら、ブチ切れた小者が納める国だった』って…ベラベラ喋るね!」
リュカは元の世界で、この様な態度で外交問題を悪化させた事が何度もある。

「ふぉふぉふぉ…面白い!お主、名は?」
「リュカです」
「うむ、リュカよ!余もざっくばらんに話そう。実はな…勿体ぶったのは、やってもらいたい事があったからなのだ!その為に『援助できん』などと言ってしまったのだ…」
「まぁ、こう言うのは駆け引きですからね」
「我々に出来る事であれば何なりと!」
リュカのやり取りに胃が痛くなってきたアルルは、リュカが何か言う前に引き受ける事を了承する。

「うむ。カンダタと言う盗賊団が我が国の『金の冠』を盗んだのだ!それを取り返して来てほしい」
「見事取り戻せたなら、褒美を取らせましょう」
王妃がリュカを見つめ妖しく微笑む。
「別に人の女に興味ないから、褒美と言われても…ぐふっ!」
とんでもない発言をするリュカの鳩尾に、アルルの拳がめり込む!
「ご褒美を戴くまでもなく、全力を尽くさせて頂きます!では、早速行って参ります!」
蹲るリュカを引きずるように、アルル達は謁見の間を後にする。



「信じらんない!私、胃が痛くなったわよ!」
「まぁまぁ…落ち着いてアルル」
「そうだよ。リュカさんらしかったじゃん!」
早々に宿屋へ戻った一行は、リュカを囲み騒ぎ出す。

「リュカさん!不敬罪って分かります!?重いんですよ!!」
「言葉の意味は知ってるけどさぁ…でも、僕の国ではあんなもんだよ。不敬罪になった奴いないよ」
「何ですか、そのネジの緩い王様は!」
「あはははは、1個も言い返せない」
笑っている場合じゃ無いはずなのに、大爆笑のリュカ。本当、ネジが緩いのかもしれない…

「なぁ、アルル。安易に金の冠奪還を受けたけど、カンダタって奴が何処に居るのか分かってるのか?」
「こ、これから情報を集めるの!」
ウルフの冷静な指摘に、焦りまくって答えるアルル。
「僕知ってるよ」
そして何故か情報だけは持っているリュカ。

「此処から北西の山脈の向こうに『シャンパーニの塔』があって、其処がアジトらしい」
「………情報源は?」
聞くまでも無い事なのだが、聞かずにはいられないハツキ。
「うん。昨晩、一緒に食事した娘がベットで教えてくれた。因みに山脈越えはきついから、一度北の『カザーブ』という村に寄ってから迂回した方が良いってさ!」
「じゃ…じゃぁ、目的地は決まったわ!出発は明日早朝ね!今の内に装備を揃えておきましょう!」

若者3人は装備を一新する為城下を彷徨い、リュカは今宵のお相手求め城下を彷徨う。
新たな装備は手にはいるのか…
新たな情報は手にはいるのか…
新たな命を紡ぐのだけは勘弁してほしいものである…



 
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