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戦国異伝供書

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第二十六話 検地と刀狩りその一

               第二十六話  検地と刀狩り
 信長は検地と刀狩りも進めていた、それは領地全体に及んでいて。
 奥羽の端まで行われていた、このことについてその最果てである津軽を治める南部家の者達が驚いていた。
「まさかここまでか」
「この津軽の地まで検地をするか」
「刀狩りも行うとはな」
「いや、織田家の政は徹底しておる」
「全くじゃ」
 こう話すのだった、その検地を見ながら。観れば検地の為に送られてきた者達が熱心に津軽の隅から隅まで検地を行っている。
「田を正確に測ってのう」
「どの様な小さな田も検地する」
「隠し田も見逃さぬ」
「ここまで徹底するとはな」
「しかも刀狩りも行っておる」
「こちらも錆びたものさえ出させる」
「そこまでされるとはのう」
「いや、これは凄い天下になるぞ」
「全くじゃ」
 こうした話をしていた、信長は領地にした国々のまさに隅から隅までに人をやって検地も刀狩りも行っていた。
 そうしつつだ、信長は丹羽長秀に命じて安土に羽柴秀吉に命じて大坂にそれぞれ白を築かせていた。その状況を見てだった。
 信長はその安土で城の普請奉行を務める丹羽に言った。
「よいか、銭はある」
「だからですな」
「その普請に銭の心配はするな、そしてじゃ」
「城の石垣にはですな」
「墓石や地蔵の像を使えと命じておるな」
 信長はこのことについても話した。
「それは結界の為じゃ」
「まさにその為ですな」
「そうじゃ、墓石や地蔵尊の像にはやはり力がある」
「それを使ってですな」
「城そして都を守る」
「安土の城は都の北東にあると言っていいので」
「それでじゃ」
 北東即ち鬼門にあるからだというのだ。
「あえてあの地に城を築いたが」
「その石垣に、ですな」
「墓石や地蔵尊を用いてな」
「城自体を強い結界としますか」
「そして中にあらゆる神仏の姿を入れてじゃ」
「耶蘇教の教会までも」
「そうしてじゃ」 
 南蛮のこの教えもというのだ。
「神社や寺も置き」
「神仏の力も入れますか」
「うむ、特に天主じゃ」
 城の象徴と言うべきそれにというのだ。
「そこは徹底的にじゃ」
「神仏の力を集めますか」
「あらゆる教えのな、そうして盤石な結界とし」
 そうしてというのだ。
「城だけでなく都そして天下もな」
「護られるのですな」
「そう考えておる」
 こう丹羽に話した。
「わかったな」
「はい」
 丹羽は信長に確かな声で答えた、今二人は茶室にいて共に茶を飲みながら話をしている。
「それでは」
「安土はそうしてな」
「猿が築いている大坂の城もですか」
「そうじゃ」
 当然という返事だった。
「あの城もじゃ」
「ただ堅固なだけでなく」
「結界にも考えておる」
 その様にというのだ。
「こちらは南西じゃからな」
「都から見て」
「裏鬼門じゃ」
 北東が鬼門であるのに対してだ。
「そうしてじゃ」
「そちらもですな」
「盤石にじゃ」
「されますか」
「そう考えておる」
 こう丹羽に述べた。
「寺だけでなく城でもな」
「都、つまり国を守護しますか」
「そうする、安土は織田家の居城としてな」
「大坂は西国統治の要ですな」
「そうじゃ、江戸城は東国統治の要でな」
 そうしてというのだ。 
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