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麗しのヴァンパイア

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第百四話

                第百四話  可哀想な人
 七人で小公女の話を塾でもした、それは塾の授業がはじまる前にしていてその話を教室が入る時に聞いた今田先生は授業がはじまる前に七人に言った。
「小公女のミンチン先生は凄く可哀想な人なんです」
「えっ、可哀想って」
 七人共驚いたが真っ先に声をあげたのは亜美だった、驚きの声だった。
「ミンチン先生がですか」
「はい、とても可哀想な人ですよ」
「あの、セーラにめっちゃ酷いことしてますよ」
 表情も驚きの顔だ、その顔での言葉だった。
「それでもですか」
「はい、酷いことをしてますよね」
「見ていて腹立つ位に」
「そこまでのことをしていてです」
 そうしていてというのだ。
「気付いていないですね」
「そのことがですか」
「とても可哀想なんですよ」
 こう七人に話すのだった。
「自分がそんなことをしていることに気付かない」
「そやからですか」
「とても可哀想です、そして最後に気付かさせられますね」
 小公女の結末でだ。
「そのうえで打ちのめされますね」
「自業自得ですやん」
 亜美は強い声で口をへの字にさせて言った。
「それは」
「ですが自分の醜さと浅ましさを突き付けられるので」
「そうなるからですか」
「とても可哀想な人なのですよ」
「自分のやってることに気付かないで最後に突きつけられて打ちのめされるから」
「こんな可哀想な人はいないです」
 今田先生はこう七人に話した。
「先生も好きな人ではないですが」
「可哀想な人とですか」
「先生は思われていますか」
「そうです」
 華奈子と美奈子にも答えた。
「ああした人の様にはなりたくないとも」
「とても可哀想な人だから」
「だからですか」
「セーラは素晴らしい人ですが」
 それでもというのだ。
「その素晴らしさと対極にある人ですね」
「物凄く浅ましくて嫌な人」
「確かにそんな人は可哀想ですね」
「先生が思うのはこのことです」
 こう七人に話すのだった、先生は七人に教壇から向かい合ってそのうえで彼女達に真面目な顔で話をした。
 そうしてだった、先生は魔法の授業をはじめた。魔法の授業自体は普通のものを普通に行った。小公女の話の後で。


第百四話   完


                  2018・11・7 
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