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星河の覇皇

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第六十九部第四章 国境外縁部その三十六

「全然違うな」
「社会全体でな」
「サハラそんな余裕ないからな」
「戦争ばかりでな」
 ようやくそれも終わろうとしているがだ。
「それも考えるとな」
「もう連合か」
「こっちの方がいいか」
「そうかもな」 
 こうした話になるのだった、そしてだった。
 彼等はワインを一本それぞれ開けてもう一本注文してだった、その二本目のワインをそれぞれ飲みつつさらに話した。
「連合の方がいいか」
「そのことも真剣に考えていくか」
「サハラに戻ることを考えていても」
「そちらもな」
 義勇軍の兵士達はそうしたことを考えていた、彼等は内輪で話しているつもりだった。だが壁には目があり障子には耳がある。
 こうした会話は自然と噂になっていてだ、ネットでも話題になっていて。
 防衛長官である八条の耳にも入っていた、彼はその話はバールから聞いてこう言った。
「それもまた、です」
「長官はお考えでしたか」
「はい、難民は何時までも難民でいいのか」
「そう考えるとですか」
「いい筈がありません」
 こう言うのだった。
「ですから」
「それ故にですね」
「はい、こうして難民からです」
 まさにというのだ。
「連合市民になろうという将兵はです」
「義勇軍の」
「入るべきとです」
 まさにというのだ。
「考えていました」
「最初からですか」
「義勇軍設立の時から」
 それを考えた時からというのだ。
「あの時はまだサハラが落ち着くとは考えていませんでしたが」
「そうでしたか」
「はい、しかし」
 二人は食事を摂っていた、今は夕食だ。夕食のオートブルである生牡蠣にレモン汁をかけたシンプルなものを食べつつ言うのだった。
「サハラは急展開しました」
「まさにですね」
「オムダーマン、ティムールが勝ち進み」
「今やですね」
「どちらかの国がです」
 間違いなく、というのだ。
「サハラを統一します」
「そうした状況ですね」
「ですから」
「難民は今後は」
「出ません」
 八条は一言で言い切った。
「そうなります」
「やはりそうなりますね」
 バールも生牡蠣を食べながら言う、モンゴル人の彼は生の海産物には馴染みが薄いがそれでも嫌いではない。
「サハラは」
「戦争が難民を生むならです」
「その戦争が終われば」
「難民は生まれません」 
 平和になり、というのだ。
「そうなります」
「では今後義勇軍は」
「はい、難民で構成されているなら」
「その難民がでなくなるので」
「若し今後義勇軍を存続させたいのなら」
 八条は上品かつ優雅な手の動きで生牡蠣を食べながらバールに話した。話をしつつ牡蠣のその味も楽しんでいる。
「やはり」
「難民以外の人材からもですね」
「募集しなければなりません」
 将兵達をというのだ。
「そうなりますと」
「今後の義勇軍の人材は」
「連合市民からも、いえ」
「むしろ連合市民から主にですね」
「募集する必要があります」
 そうなるというのだ。 
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