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ソードアート・オンライン~遊戯黙示録~

作者:マローン
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FILE185 可愛い妹?明かされる大月の悪意!

ネトゲ廃人たちが精神に異常をきたした場合・・・・治験に回されお払い箱と言う事が分かった事もあり。オズマはその日の土曜日に給料を受け取った後は流石に焦りから決意を改め直し―― by立木ナレ


冗談じゃねぇ・・・冗談じゃねぇ・・・っ!あんなところで終わってたまるか・・・・っ!それには今度こそ・・・・今度こそ金を溜めて一日外出券、せめてコンピューター室一日使用券を手に入れねぇと・・・・っ!

俺「今度こそ耐えるぞ・・・・」

だが、決意を改め直してから小一時間後――

「発泡酒サイコォォォっ!!」

「おっと・・・うっかりもう5本も吸っちまったか・・・わはははははっ!!」

「施設長、私板チョコ買いま~す!」

俺「・・・・・・っ!」


考えなしに散財し、嗜好品を嗜む収容者達を目の前にして・・・・早くもオズマの決意は揺らぐ・・・・っ!欲望の歯車・・・・再び回り出すっ! by立木ナレ


俺「ああ・・・・クソォッ!もう・・・・なんでも良い・・・・っ!」


飛び込みたい・・・・欲望の海へ・・・・っ!再び浸りたい、怠惰と快楽にまみれた時間へっ!そしてオズマ、決して目にするまいと決意していた物品販売の方に視線を向けようとしていた矢先だった――― by立木ナレ


「弭間君、頑張ろうぜ」

俺「あ・・・・お前は・・・・」

俺に声を掛けてきたのは20歳手前程の男だった・・・・

分厚いたらこ唇・・・

お茶の水博士のようなデカい鼻・・・

まる子のクラスメイトのハマジのような目・・・

俺「坂上光太郎(さかがみこうたろう)・・・だったよな?」

光太郎「うん、覚えててくれたんだね」

俺「そりゃ、同じ作業してる間柄だからな・・・」

そしてそれ以上に、そんなインパクト満点の――悪くいってしまえばブサイク顔付きだから否応でも覚えてしまう。

そんな悪目立ちするデカい顔の光太郎は俺の肩に手を置いたまま、励ますように話しかけ続ける。

光太郎「弭間君さ、お金をためて勤労奨励オプションの一日外出券が欲しいんだよね?だったらこんなところで使ってちゃいられないじゃないかっ!」

俺「そりゃそうだが・・・・・」

そうやって誰かに言い聞かされるだけで、我慢を継続できるほど簡単じゃない――ふと、俺は普段コイツがあまり大月がやっている物品販売であまり金を注ぎ込んでいない事を思い出していた。

俺「アンタはさ、毎週の給料をどうしてるんだよ?」

俺の質問に対して光太郎はデカい顔を微かに照れくさそうに赤く染めながら、丸刈りの頭を右手で軽くボリボリと掻きながら答える。

光太郎「あ、ああ、僕はね・・・あの勤労奨励オプションに使ってるんだよ。ほら、あるでしょ?20000マネーで外部の人との2時間までの面会券」

俺「ああ、そんなのもあるんだっけか・・・」

正直、全く眼中になかった為、今光太郎に指摘されるまで完全に失念していたのだった。


2時間面会券とは・・・勤労奨励オプションの中では下位のマネーで手に入り――その内容なその名の通り、施設側の人間が面会券を購入した収容者が指定した外部の人間に連絡、交渉をし、成功次第施設に呼び出し、面会券を購入した収容者と最大で2時間ほどの面会を認める勤労奨励オプションであった・・・・っ!

が、ここに送られてきた者たちの大半は半ば親や家族から厄介払いの如く見放され――ネトゲ浸りの生活であったが故に現実で交流のあった友人にも乏しいが故に・・・・利用者は極僅かっ!そんな中、この坂下光太郎は毎週の給料の24000マネーの内の20000マネーを面会券に使用している変わり者として見られているのであった! by立木ナレ


俺「毎週、欠かさずに会ってくれる奴――会いたい奴がいるってんならまだ救いがあるよな」

光太郎「うん、そんな人がいるからさ――僕は多分ここでの厳しい生活とか・・・・物品販売の誘惑に耐えられてるって感じかな・・・ははは」


自分で言って光太郎は照れくさそうに笑っていた。そんな光太郎に俺は毎週だれと会っているのかを聞いてみる。

すると光太郎は多少自慢げな様子で胸を張りながら答える。

光太郎「妹なんだ・・・こんな僕に唯一会ってくれるね・・・・」


そして光太郎はオズマに話す・・・・この収容所に送られた経緯を・・・・っ!坂上光太郎は工業系の高校出身であり、鉄道会社で働く事を幼少の時代から夢見ており、就職活動が始まると同時に率先して鉄道会社の面接を受け続け、そして――― by立木ナレ


光太郎「全社不採用になっちゃったんだよね・・・はははっ・・・・」

俺「晴れて就職難民になったってわけか」

正社員として働きたいなんて微塵も思っていない俺には生涯無縁の挫折だろうが、安定志向の人間にとっては由々しき事態と言ったところだろう。

光太郎「まあ、そんな感じで進路が決まらないまま高校を卒業したのが去年の3月でさ・・・・すっかりその事を引きずっちゃってね・・・・卒業後はひたすら家に引きこもってアミュスフィアでアスカ・エンパイアに明け暮れる日々だったよ・・・・・」


アスカ・エンパイアとは――SAO事件発生後にサービスが開始された和風VRMMORPGの事である・・・・っ!日本国内ではALOに次ぐ規模を持ち、また、SAOやALOのような大きな不祥事が起きていない事から、高い信頼性を評価されているのであった! by立木ナレ


光太郎「けどね、妹――優心(ゆここ)はその名前の通り優しい子でね。ネトゲ廃人のダメ人間に落ちぶれた僕に対してもそれまで通り――何も変わらずに接してくれて来たんだ」

俺「ネトゲ廃人のダメ人間にね・・・・」

ここにいる連中全員を敵に回しかねない発言だが取りあえず俺は気にせずにスルーしておいた。光太郎のこの安らぎを感じさせる表情からしてさぞ、妹の事を大切に思っているのだろう。

光太郎「けど・・・・流石に父さんと母さんは何時までも許してくれなくてね――勉強もしないで・・・・働きもしないで・・・・1年以上も引きこもってアスカ・エンパイアに明け暮れてるダメ息子にとうとう愛想を尽かして僕をここに預けたのが今年のゴールデンウイーク明けって事さ」

俺「アンタは、どうにかしてここから出たいって思わないか?」

光太郎「それは、勿論出たいさ・・・だからっ!」

光太郎は緑色の囚人服のような服の胸ポケットから一枚の免許証などを入れて億ケースに入った写真を取り出してじっと見ながら・・・・目を潤わせて声を絞り出す。

光太郎「だから・・・・ここでの治療と仕事に耐え続けて・・・・っ!そして完全にネトゲ廃人から脱却して妹の待つ家に帰るんだ!!」

俺「・・・・・本気か・・・?」

光太郎「勿論さ!そして今度こそ必ずちゃんと就職して、両親にも許してもらって・・・妹にとって自慢の兄に返り咲くんだ!!」

コイツ・・・・こんな劣悪で苦痛極まりない施設での生活を律義に続ける気満々かよ・・・んで、最終的に生活の大半を費やすほどにのめり込んでいたVRMMORPGを完全に捨てるなんて本気で考えてるのか?性懲りも無く就職しようだなんて考えてるのか・・・・?

まあ、どちらにせよあれだ・・・・こういう愚直な奴はここでは基本的に鼻摘み物だ。毎週貰うなけなしの給料の殆どを他の誰もが見向きもしない様な面会券に使って嗜好品を買って他の連中と仕事終わりにつるむなんて事は出来ないもんだから、ここじゃ孤立する・・・・

光太郎「ほら、これが僕の妹の優心(ゆここ)だよ。僕の自慢の――世界一可愛い妹なんだっ!」

光太郎は自慢気に、写真に写っている自身の妹――優心を俺に見せるのだった。

俺「…………」

その写真の妹の顔に関する感想は――

分厚いたらこ唇・・・

お茶の水博士のようなデカい鼻・・・

まる子のクラスメイトのハマジのような目・・・

目の前の兄、光太郎にこれでもかと言うくらいによく似た妹だった・・・・っ!!

光太郎「どう、可愛いでしょ~?この可愛さに比べれば、子役出身女優の芦田さんだって霞んで見えるくらいだよね~」


オズマの心の中での感想――んなわけあるか・・・・っ!その自分そっくりの妹が可愛い・・・・可愛いだと!?
それはすなわち・・・・自分自身を可愛いと思い込むも同然の事ではないのか!?少なくともオズマにとってこの光太郎そっくりの顔の妹が彼女になるだとかセフレになるだとか・・・・ by立木ナレ


俺「あり得ねぇ・・・・絶対にあり得ねぇ・・・・」

光太郎「そうあり得ないね!優心に彼氏なんてぜぇっっっったいに・・・・あり得ないね!世間が許しても僕が許さないさ!!」

いや、万が一その妹に彼氏なんて出来た日には一生に一度の御目出度い話じゃねぇかよ・・・・


※ ※ ※


タコ部屋に居てもまた酒やら嗜好品やらに手を出してしまうだろうと思い俺は取りあえずノンアルを一本だけ買ってから外をフラフラと歩いていた。

当然、この施設の出入り口は常に電子ロックが掛かっており、ロックを開けるには職員たちだけに与えられている社員証を読み込ませなくてはならないので、本当にただフラフラと歩いているだけだった。施設内には各々の刑務作業所の他にも職員たちが使っている事務室・・・更に俺達収容者は絶対に入る事は出来ないが、施設長大月の私室まである。

「し、施設長・・・あのような物品販売を――本当に続けて問題ないのでしょうか・・・・?」

それは、この施設の女性職員の声だった。声の方にそっと近づいてみるとそこはまさに大月の私室のすぐ目の前だった。

女性職員と大槻は互いに対峙するように向き合っており、女性職員が何かを危篤するかのような不安気な表情でいるのとは対照的に大月は相変わらず苛立たしい程にニンマリとした笑みを浮かべていた。

大月「問題・・・?一体どうして、あの物品販売が問題だって思うんだい佐々木さん?ウチの収容者の皆さんだって、仕事終わりのささやかな贅沢を楽しんでるし、労働の対価としては丁度良いんだと思うんだけどね?」

佐々木と言う女性職員が大月や側近の沼崎が主導でやっている物品販売を問題と称しているのはどういう事だ・・・?

佐々木「しかし・・・ここの収容者の人達に与えられるお給料は本来は施設から出た後の生活の為に使う・・・・もしくは都が事前に取り決めた勤労奨励オプションの為に使われる為の物であって・・・・そ、それを施設長が独断で行っている物品販売で殆ど使わせてしまうのは流石に――」

俺「・・・・なんだと?」

あの物品販売は都から許されている本来のマネーの使い方ではなく、大月が独断で行っている事だと?聞き捨てならない女性職員の台詞を聞いた俺は更に耳を澄ませて奴らの会話を決して聞き漏らすまいとする。

すると次に聞こえてきたのは、余裕ぶった態度の大月の憎たらしい声で――

大月「佐々木さん、滅多な事を言うもんじゃないよぉ・・・・言葉には気を付けなくっちゃね」

佐々木「で、ですが――本来のこの施設の目的に反します!それに例の治験の事だって―――」

大月「佐々木さぁん。都からの委託でここの施設長を任されてる僕にさ・・・ここの経営の主導権も与えられてるって事は・・・・百も承知だよね?」

佐々木「そ、それは・・・・」

どうやら、大月はああして、自分のやり方に異を唱える職員に対してはクビを仄めかして逆らえないように抑えつけていると言う事らしい。

大月「君の所さ――まだ小さい弟や妹さんが沢山いてお金掛かるんでしょ?だったらここは君がしっかりと働き続けなくちゃねぇ・・・・僕もさぁ、君みたいな働き者で、家族のために一生懸命な人を手放すような事はしたくないんだよ・・・・」

ついでに言えば、雇用する職員たちはその身辺調査を念入りに行い・・・・ここぞと言う時にはこうしてクビを仄めかされれば逆らえなくなるような・・・・そんな立場の人間達を率先して雇用していたのが容易に伺える。

佐々木「・・・・・・」

大月「うふふふふ、今度良かったら、臨時ボーナス弾んであげるよ。な~に、お金は沢山あるんだ・・・・なんたって、一人に付き毎週2400円・・・それが80人だから一週間で20万円近い売り上げをあげちゃってますからねぇぇぇぇ!!」


あの野郎・・・・やっぱりあのチンケでぼったくりな物品販売で私腹を肥やしてやがったわけか!!奴の物品販売で売られている嗜好品の数々は相場の倍ほどの価格と言うぼったくり価格だが・・・・勤労奨励オプションよりはずっと安いが故に俺達は金を溜めて一日外出券やコンピューター室利用券を買えるようになる前に大月の目論見通りに奴の私腹を肥やす為の物品販売に注ぎ込んでしまう・・・・奴はこの閉鎖された状況を・・・・隔離された環境を・・・・上手く悪用して丸儲けしてやがったんだ!!


オズマの怒り・・・・臨界点突破・・・・っ!何時までもこうはしていられないオズマ!果たして、どうでるか!? by立木ナレ
 
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