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レーヴァティン

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第八十七話 上からの改革その一

               第八十七話  上からの改革
 久志はローマの護民官に当選した、それで十二人の仲間達と共にこのことを祝って屋敷で宴を開いた。
 それで美酒に馳走を楽しみつつこんなことを言った。
「当選したからな」
「いよいよですね」
「ああ、ローマを固めてな」
 そしてとだ、久志はワインを飲みつつ良太に答えた。
「そうしてな」
「そこからですね」
「勢力をな」
 それをというのだ。
「拡大するな」
「いよいよはじまりますね」
「そうだよな、本当にな」
「ここからはじまります」
「当選が目的か」
 それはというと。
「違うからな」
「あくまで手段です」
「そうだよな、俺の場合は」
「ですから」
 それ故にというのだ。
「この宴にしましても」
「はじまりのな」
「その為の宴です」
「ハッピーエンドじゃないな」
「そうです、当選祝いはです」
「はじまりだってことだな」
「左様です、では」
「ああ、飲むか」
 こう言って実際にだった、久志は赤ワインを飲んだ。そしてロールポークも食ったがここでだった。
 その豚肉についてだ、目を丸くさせて言った。
「美味いな」
「香辛料も利いててね」
 剛もそのロールポークを食い応えた。
「美味しいね」
「そうだよな」
「香辛料はね」
「肉料理の基本だよな」
「それをどう使うか」
「肉料理はそれが大きいな」
「うん、こっちの島では胡椒が普通にあるから」
 それでというのだ。
「有り難いよね」
「胡椒な」
「欧州じゃなかったから」
 それこそ大航海時代までだ、胡椒は戦略物資の様な扱いだった。
「この島にあることはね」
「嬉しいよな」
「本当にね」
「若し胡椒がなかったら」
 その時のことをだ、久志は話した。
「この島の料理な」
「相当に変わってたね」
「変わってたっていうかな」
「肉料理の味がね」
「相当落ちてたな」
「落ちない筈がないよ」
 それこそというのだ。
「だから僕達の世界じゃね」
「大航海時代にな」
「必死に貿易をしていたんだよ」
 インドまで命懸けで船で向かっていたのだ。
「ポルトガルから喜望峰を回って」
「遠路はるばるな」
「嵐とか海賊にやられた船もあって」
 多くの犠牲も払ったのだ。
「そうしてね」
「何とか手に入れてな」
「胡椒一粒が金一粒」
「それだけの値段だったな」
「そこまでする価値があったから」
 胡椒にはだ。
「こっちの島で普通にあるなら」
「いいな」
「そう思うよ、カルボナーラも」
 剛はスパゲティの話もした。 
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