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神? ああ、こっちで倒しておいたぞ

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時の守護者

 
前書き
_〆(。。)カキカキ 

 
約10年ほど前になるだろうか。

まだ幼い頃の《来栖拓未(くるすたくみ)》が見詰める先には炎を噴き出す体を持った[時空獣(バタフライ)]が軽やかに躍動していた。

その容貌は鷹をベースにしたような形状(フォルム)で危険度は『グレードスリー』と言われ、日本の都道府県を一つ単独で落とせるくらいの強さ。

そいつは轟々と身を包む炎で自分をも焼くようにして眼下の街を蹂躙していく。

悠々と飛翔する姿は燃え盛る火の鳥として伝説で有名なフェニックスそのもの。

家屋は倒壊し、道は寸断、山は数千の火柱を(そび)え立たせ丸ごと赤くなり、時空獣の炎が次から次へと燃え移ったことで街全体が炎の渦に巻かれて一面埋め尽くされている。

そんな最中(さなか)の街に幼い拓未は茫然(ぼうぜん)としながらまともに声を挙げることはおろか、逃げることも出来ずにただただ突っ立っているしか出来なかった。

拓未の前にフェニックスが降り立つ。

(くちばし)を開いて雄叫びを挙げる。

その翼が羽撃(はばた)けば灰と化すであろうことを解る拓未は(すく)んで動くことが出来ない。

フェニックスの獰猛(どうもう)な足が振り上げられ鋭い爪の狙いが付くと、拓未に向かって落下し幼い子供の薄い皮膚を切り裂き(やわ)い肉にめり込む。

来栖拓未は一度そこで死んだ。


◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆


《フェニックス》の爪を喰らい吹き飛んだ拓未に向かって人影が飛び出し彼を抱え込む。

そして重症化とダメージを時間停止した。


「しっかりして、死んじゃ駄目よ」


幼い拓未を抱いたままの女性は己の指先を切って血を(こぼ)し、拓未の傷口に(したた)らせる。

するとたちまち拓未の体力が戻り、負っていた傷も跡形無く綺麗に塞がってしまった。

それに体の底から力が溢れてくる。

抑えるのが大変なほどだ。

それを見て微笑む女性の背後からフェニックスの爪が迫っていた。拓未が声を出そうとするが間に合わない。万事休すかと思われたその時フェニックスの脚がクルクルと宙を回転しながら明後日の方へ飛んでいく。

長身の男性が両刃の剣で切り上げていたのだが、目の前で起きた出来事にも係わらず、拓未には彼が何時現れたのか全く判らなかった。


「やれやれ。【アイオーン】を倒した直後だって言うのにこれか。堪ったもんじゃないな」


ついつい男性は溜息を()らしてしまう。


「まあこれで漸く全員を始末できたんだから別に良いと思うわよ。もう少し時間が掛かってたらこの子を救えなかったもの」


◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆


《来栖拓未》が安堵したのも束の間。

《フェニックス》が切り飛ばされた足を炎の中から元通りに復活させて見せた。


「やはりあの程度では止められないか」


男性は両手で剣を構え向かい合う。


「普段なら楽勝なのだけどね。アイオーンに力を使い過ぎたせいか効きが悪い」


女性は拓未を抱えながらフェニックスから距離を取り、男性の背中を見詰めている。

そんな三者を前にしてフェニックスは両翼を広げた。膨大な熱量と強大な炎を纏っている。まとめて薙ぎ払おうと言うのだろう。

其処へ新たな乱入者が現れた。

途端にフェニックスが動きを止める。

いや、フェニックスだけではない。

拓未の視界に映る全ての炎が凍り付いたように僅かな揺らぎも起こさず静寂に伏す。


「い、一体何が……?」


そんな拓未の疑問に答えるかの如く乱入者が女性と男性へと気軽に呼び掛ける。


「父さん、母さん、大丈夫?」


乱入者は一人の少年だった。


◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆


少年は拓未と変わらずあまり離れていない、まだ10才にも満たない年頃のようだ。


「助かった。ありがとうルレシオ」


父親だった男性が礼を言う。


「その歳でもうこんな事が出来るなんて」


母親だった女性も拓未を抱えたままで周囲を気にせずルレシオという少年に話しかける。

フェニックスや街を燃やす炎は停止して沈黙しており気を払う必要すら無いのだろう。

色々なことを考えている拓未の元へとその華奢で美形な少年が近付いてきた。

街を焼く炎が鎮火していく。


「父さん。その鳥は任せたよ」


ルレシオの言葉に男性はフェニックスの体を斬り刻み、(ちり)も残さず消してしまう。


「相当疲れているはずなんだけどあっさりと倒しちゃったな。流石は父さん。まだまだ追い付けそうにない。もっと頑張らないと」


拓未の前でルレシオが嬉しそうに笑う。


「さて、後はこっちの方を終わらせよう。俺の名前は《ルレシオ・ジン・シェイリアス》。君の名前を教えてくれないか?」


思えばこの時からだ。

来栖拓未が[クルセイダー]と呼称される『時の守護者』へ興味を抱いたのは。

そして自分を助けてくれたシェイリアス家との長きに渡る交流が始まったのは。
 
 

 
後書き
今作はこの段階で黒幕全員死亡。

原作は黒幕の存在を匂わせて終わってます。

原作だとこの時に過去を変えたいと拓未は思うようになります。助けてくれた人も女性ということ以外は全く情報が不明のままですしね。

伏線は張っていたんでしょうけど1巻で打ち切りになったせいで全く先が予想できない。

お陰で改変し放題ですが。
(*`・ω・)ゞ 
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