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麗しのヴァンパイア

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第百二話

                    第百二話  復讐は
 赤音は華奈子に強い声で言った。
「復讐位いいじゃない」
「それも徹底的な」
「セーラあんなことされたのよ」
 酷いいじめを受けたからというのだ。
「だったらね」
「やり返してもなのね」
「当然の権利でしょ」
「うちやったら自分がやられたら倍返しどころか
 亜美が言うには。
「いじめを糾弾するサイトあるから」
「そこになのね」
「通報したるわ、そうしたら糾弾する人達が大挙して学校に押しかけてきて」
 ミンチン先生が経営している破産寸前の学院にだ、この先生はお世辞に経営能力はあるとは言えなかったのだ。
「そうしたらや」
「ミンチン先生達は報いを受けるのね」
「セーラが友達でも通報してるわ」
 そうしたサイトにというのだ。
「それで地獄見せたるわ」
「悪人には報いがあるべきでしょ」
 美樹も厳しい声で言う。
「何があっても自業自得よ」
「私はそこまでは思わないけれど」
 七人の中で一番大人しく温厚な春奈はそう思うが。
「けれど悪い人達よね」
「正直セーラはいい人過ぎるわ。そりゃずっとお嬢様に戻ったセーラと対するのは辛いわよ」
 梨花は日本のドラマの方の小公女の話をした。
「自分がいじめていた相手、自分が弱くて醜かった姿をずっと見させられるのはね」
「それって凄く酷い報いじゃない?」
 華奈子もそのドラマの話に応えた。
「殺されたりするよりも」
「そうかしら」
「だって。自分の嫌な姿をずっと見させられるのよ」
 華奈子は目を顰めさせて言った。
「しかも自分に何もしないしかもお嬢様に戻ったセーラから」
「自分がいじめていた相手から」
「あたしだったら逃げるわ」 
 自分の醜悪な姿を見ることに耐えられなくてだ。
「皆もそうならない」
「そう言われたら」
「そんなことになったら」 
 五人もそうした状況に自分がなればと思った、それで華奈子に答えた。
「もうね」
「逃げるわ」
「セーラって凄い復讐をしたのかも知れないわね」
 ミンチン先生達にというのだ、自分の醜さや弱さを常に見せるという。華奈子は日本でかつて放送されていたドラマ版の小公女のことから話したのだ。
 美奈子も華奈子の言葉に頷く、そう言われるとその通りだと思ってだ。双子の姉妹の言葉に無言でそうした。


第百二話   完


                 2018・10・28 
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