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ドリトル先生と日本の鉄道

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第六幕その六

「車両に思えます」
「この古風なデザインが」
「かえって」
 そう思えるというのです。
「ノスタルジーですね」
「そうですね、昔のものを懐かしむこともですね」
「鉄道の楽しみで」
「こうしてですね」
「楽しめることは」
 まさにと言う先生でした。
「こうした場所の特徴の一つですね」
「はい、それに」
「それにですか」
「ここもカップルが多いですね」
 日笠さんは先生に芽を細くさせてこうも言いました。
「家族連れだけでなく」
「そうですね、若いカップルも多いですね」
「マニアの人達が一番多いですが」
「最近こうした場所を一緒に行って」
「そうしてですね」
「デートをしている人も多いですね」
 まさにというのです。
「鉄道博物館でも」
「この学園のこうした場所は何処でもですが」
 動物園も水族館も博物館もです、特に植物園と美術館が人気があります。
「ここもですね」
「本当にそうですね」
「そして」
 日笠さんはここから自分達もと言おうとしました。
 ですがそれを止めてこう言ったのです。
「あっ、何でもないです」
「そうですか」
「はい、ただ」
「ただ、ですか」
「こうして先生と一緒にいられると」
 ミルクティーを飲みつつ言うのでした。
「楽しいですね」
「そうですね、素敵な場所ですしね」
「そうですよね」
「紅茶も美味しいですし」
「ただカップは」
 日笠さんはこちらのことについては申し訳なさそうに言いました。
「申し訳ないですが」
「紙コップですか」
「風情がなくて申し訳ありません」
「いえいえ、日本の鉄道の旅ではです」
「紙コップだからですか」
「今僕達は車両の中にいますから」
 だからだというのです。
「相応しいですよ」
「そう言って頂けますか」
「はい」
 実際にというのです。
「ですからこれで、です」
「いいですか」
「はい、では今もお茶を楽しんで」
「お昼と三時にも」
「そうしましょう」
「それでは。ただイギリスでは鉄道の中でもですか」
 この中でもと言う日笠さんでした。
「ティータイムを楽しまれますか」
「鉄道によりますね」
「長旅の場合はですか」
「はい、楽しみます」
「それが出来る車両の中でですね」
「楽しむ人がいまして」
 それでというのです。
「僕もです」
「先生もですね」
「はい、やはり僕はティータイムがないと」
 十時と三時のです。
「調子が出ないので、特に三時にです」
「おやつの時間ですね」
「これがありませんと」
 どうしてもというのです。
「夕食まで元気が出なくて」
「それでティーセットですね」
「そうです。十時は軽くですが」
 ティーセットはティーセットでもです。 
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