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ドリトル先生と日本の鉄道

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第五幕その七

「そう言いますよ」
「そうなんだね」
「はい、二人で行ってきて下さい」
 トミーは王子に微笑んで言いました。
「そうして楽しんできて下さい」
「それじゃあね」
「二人で行くのもいいものですよ」
「皆が一緒でなくてもだね」
「はい、というかです」
 ここでこうも言ったトミーでした。
「先生は人気あるんですよ、実は」
「そうだね、動物の皆がいてトミーがいて王子がいてくれてね」
 先生はトミーが言っていることと別の解釈をして言いました。
「学生の皆がいてくれて学園の中にもお友達が沢山いて」
「そして日笠さんもですね」
「大切なお友達の一人だよ」
「いえ、お友達でなくて」
「違うのかな」
「はい」
 そうだというのです。
「そこはそう思わずにです」
「どういうことかな」
「まあそこはお考えにならずに」
 トミーもこう言いました、わからないのならもう考えるのを止めてというのです。
「お二人だけで行って下さい」
「そうしていいんだね」
「はい、今回は」
「何か皆引っ掛かること言うけれど」
「引っ掛かるっていうか」
「何かな」
「ありのまま言ってますよ」
 トミーにしても動物の皆にしてもです。
「そうしていますよ」
「そうなのかな」
「というか先生文学における恋愛って何だと思います?」
「色々なことを思えて言えるね」
 先生はトミーにはっきりと答えました。
「人間の非常に重要なものの一つだからね」
「それ故にですね」
「うん、恋愛を題材にした作品は多いし」
「日本でもイギリスでもそうですね」
「その作品ごとに書かれ方、描かれ方は違っていて」
「現実でもですね」
「実に多彩だよ。だからその恋愛ごとにね」
 先生は文学や芸術で描かれている恋愛についてお話しました。
「深く考えていくことがね」
「大事ですね」
「そう思うよ、恋愛は非常にね」
 まさにというのです。
「難しくかつ美しいものだよ」
「それで先生ご自身は」
「僕はもてたことがないからね」
 これが先生のお返事でした。
「だからね」
「それで、ですね」
「うん、とてもね」
 先生ご自身の恋愛はというのです。
「全く縁がないよ」
「そうしたものですか」
「これまで生きてきてもてたことがないから」
「一度もですか」
「本当にないんだよ」
 主観に基づき言うのでした。
「これまでね」
「違うって思ったことないの?」
 ホワイティはかなり真剣に尋ねました。
「そうは」
「少しでも思ったことないの?」
 ジップも自分の頭の上にいるホワイティに続きました。
「自分はもてるとか」
「実は違うとかね」
 トートーも言います。
「ちらっとでも思ったことない?」
「あの娘自分のこと好きとか」
 ダブダブはトートーの横から先生に聞きました。
「思ったことない?」
「学生時代とか自分を見ている人いるとか」
 ガブガブはそうしたことはあったかと尋ねました。
「意識したことない?」
「ひょっとしてとか」
「あと何かお誘い受けたとか」
 チープサイドの家族も言います。 
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